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死神輪舞18

死神輪舞17の続きです。

前回の話はこちら↓
         10
11 12 13 14 15 16 17

 では続きからどうぞ。

死神輪舞18




 暫く経って。
「ごめん……」
 泣いてしまった恥ずかしさから、星斗から顔をそむけながら言った僕の言葉に、星斗は軽く笑みを返してくれる。
「気にするな。それより……話してくれてありがとな、亮」
 再び僕と向かい合う位置に座った星斗は顎に手をやり、考え込む姿勢を取った。
「問題は、お前を変な生物から助けたという死神だな……数日後に、戻ってくると言っていたんだろ?」
「うん……」
 色々あって忘れかけていたけど、コルドガルドさんは僕の対処を決めるために、死神界に行って死神大王に指示を仰いでいるはずだ。
 その結果、たぶん僕はシェルちゃんの体から分離させられるだろう。星斗だって悪気はないとはいえ、死神の体で死神の力を使ったのだから無事では済まないはず。
 かといって死神達の手からいつまでも逃げられるとは思わないし……いや、星斗がこれまで見つからなかったのだから、ひょっとしたら逃げ続けることはできるかもしれない。
 でも逃げれるとしても、これから先ずっと追っ手に怯え続けるのは出来れば遠慮したいところだ。
 一番いいのは話し合って猶予を与えてもらうことだろう。でもシェルちゃんの反応から言っても、それを許してもらえるとは思えない。
「会っちまったら終わりかもしれねえし……かといって逃げればそれはそれで都合が悪い……か」
「一度逃げたら、確実に反抗の意思ありって認定されるだろうし……なんとか、上手く説得出来ないかな」
 僕も星斗も考え込んでしまった。確実にこれで大丈夫、という方策なんて思いつかない。
 逃げるにしても、コルドガルドさんには逃亡したら地獄へ落とすとまで言われているし……。
「なにか、俺達をこのままにしておいてもいい、と思わせる理由があればいいんだけどな」
 星斗がそう呟いたのを僕はなんとはなしに聞いていた。
 確かに死神達がそう思ってくれたら。僕達がこのままでもいいと言ってくれるなら一番いいんだけど……そう上手くはいかないだろう。何か代償が必要だ。例えば死神の仕事をシェルちゃんやアルちゃんの代わりにするから……とか。
 いや、そんなんじゃ認めてくれないか。考えておいてなんだけど、無茶苦茶過ぎる。
「難しい……かな」
「ふむ……俺達の状態ってのはかなり珍しいんだろ?」
 僕は星斗の問いに対し、軽く頷いて答えた。
「たぶんね、コルドガルドさんも聞いたことがないって言ってたし。シェルちゃんの話だと、コルドガルドさんって凄い死神みたいだからね……そんな人が知らないっていうくらいだから……」
 その時、ふと思った。
 アルちゃんがシェルちゃんの魂を封じたために、いまこの体の中では僕の魂だけが活動している。アルちゃんに言わせれば、一つの体の中で魂が二つ活動していることは危険なことだそうだ。アルちゃんは歴史ある死神の一族の一員だとはいえ……シェルちゃんがあそこまでいうくらいの上級死神が、シェルちゃんの気付いたことに気付かなかったのはおかしくないだろうか?
 そういえば、アルちゃんは言っていた。『あのままで放置すれば、数日の後に動けなくなっていた可能性がある』と。もしかしなくても……コルドガルドさんがよく知りもしない僕を監視もつけずに現世に置いて、死神界に平然と帰って行ったのは――
「言葉は悪いが、俺達自身が貴重なサンプルになるどうかってところだな。そうなるなら、上手く交渉すれば一か月くらいは……」
 星斗がそんなことを言い出したので、僕は思考を切り替えた。あまりいい結論にならない気がしたし。
「そうだね……やっぱり猶予時間を交渉する、が一番現実的かな」
「ああ、そうだな。出来れば人間の寿命と同じだけ欲しいけど……それはちょっと虫が良すぎるよな。でも、最低でも一ヶ月は欲しい」
「……星斗は逃げてもいいんだよ?」
 コルドガルドさんと約束を交わしたのは僕だ。星斗はとりあえず逃げておけば、いざ見つかっても「何も知らなかった」と言えば地獄行きは免れるかもしれない。僕は逃げたら地獄に落とすと言われているから無理だけど。
 むしろ猶予を与えてくれるかわからない以上、星斗は逃げておいた方がいい。僕が猶予を得られるのなら僕の後で交渉すればいいし、与えられなかったら……そのつもりで逃げればいい。
 星斗だってわかっているはずだ。彼は相当賢いのだから。
 でも、彼は首を横に振った。
「馬鹿いってんじゃねえよ。俺はダチをダシにするような薄情者じゃねえぞ。リスクは均等に受ける。なんとか猶予を得させてもらうさ」
 潔い彼の言葉に僕は感動すら覚えた。今時友達のためにそこまで言える人が、行動出来る人が、何人いるだろう。少なくとも僕はそういう人を知らない。同級生達を思い出す。
(そうさ、いつだって…………そうだったんだ)
 嫌なことを思い出してしまい、思わず僕は顔を顰める。
「おい、亮。どうした?」
 しまった。星斗に見られていたようだ。
 慌てて取り繕いの笑顔を浮かべかけ――不意に部屋の窓が粉砕され、硝子が割れる音が部屋を埋め尽くした。窓は僕の背後にある。咄嗟に振り向いた僕の視界一杯に割れたガラスが降り注ぐ。
 降り注ぐ硝子に思わず顔を手で覆って目を閉じる。けれど予想していた痛みはやってこない。恐る恐る目を開けると、いつの間にか目の前に立っていた星斗がテーブルクロスを手にしていた。どうやら硝子はそれで払い落としたみたいだ。凄い反射神経と対応力だ。とても生まれつきの病で死んだ人とは思えない。それとも……アルちゃんに身体を借りてからの日常がそれだけ厳しいものだったのだろうか。
「大丈夫か?!」
 鋭く訊いてくる星斗に、僕は何とか頷きを返す。
「大丈夫、だけど……一体何が……?!」
 そう呟いた瞬間、部屋の中に誰かが入ってきた。高い場所にあるはずの、窓から。
 彼や彼女達は、表情の読めない、無表情をその一様に整った顔に浮かべていて、その手に携えているのは巨大な鎌。
「死神か……!」
 星斗がそう呟いたけど、現れた死神達はそれが聞こえていないかのように、淡々とした声で自分達の言葉を投げ掛けてくる。
「目標を発見。侵食者『赤城星斗』その器『アルミールアラミーナ』、逃亡者『青木亮』その器『シェルフェールフール』」
 僕はその言葉に目を見開く。いま、逃亡者って……!?
「てめえら、いきなり何訳わかんないことを――」
「ま、待って! 僕は逃げてなんか――」
 僕らが叫びをあげても、無意味だった。
 彼らはまるでアルちゃんのような、無表情かつ無感動な視線を、僕と星斗に向け続けている。
「死神大王の命に従い、二人の器より人間の魂を二つ回収する。しかるのちに回収した魂を地獄へ送る」
 正面に立つ、彼らの中心的存在のような青年の死神が言う。
「抵抗は無意味であると勧告します。『赤城星斗』と『青木亮』の両名は速やかに我らに従い、その身体の持ち主へと身体を返すべきです」
 青年の死神の左横に立つ、二十代前半の女性の死神が言う。
「切除し、排除し、削除する」
 女性の死神とは反対側に立つ、十代前半の少年の死神が言う。
 その三人以外にも、二名の死神が三人の後ろの空に浮かんでいた。その二人は何も言わず、ただ鎌を構えている。
 中心的存在らしい青年の死神が、僕らに向けて手に持つ鎌を突き付けてくる。
「つまり、話は簡単だ」
 その言葉には、かすかに怒りが感じられる。それは彼らに人間味を感じる要素ではあったけど……安心する材料にはならなかった。
「すでに死んでいるくせに、身体に、現世にしがみ付くな。人間が」
 その言葉と共に、女性の死神が、少年の死神が、残る二人の死神が。
 それぞれが手にしていた鎌を、僕達に向けて一斉に突き付けて来る。

「攻撃を開始する」




~19に続く~


Comment

No.179 / toshi9 [#YK3S2YpI]

遂に死神界の追っ手がやってきましたね。
さてこのまま彼らと戦いになるんでしょうか。二人の勝ち目は薄そうですが・・
次回も楽しみです。

2009-05/08 00:06 (Fri) 編集

No.183 / 光ノ影 [#-] toshi9さん

> 遂に死神界の追っ手がやってきましたね。
> さてこのまま彼らと戦いになるんでしょうか。二人の勝ち目は薄そうですが・・
> 次回も楽しみです。
 ついにやってきてしまいました……。
 ここからは怒涛の展開でお届け……する予定なのですが。
 なんだかんだで書く時間が少なく、次回の更新がいつになるか……なるべく早くお届け出来るように頑張りたいと思います。
 ではでは。

2009-05/09 10:31 (Sat)

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