FC2ブログ
  1. Top
  2. » スポンサー広告
  3. » 『雑貨店へようこそ』
  4. » 雑貨店 ~牛~
  5. » 『雑貨店へようこそ』 ~牛~ その4

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • ジャンル :

『雑貨店へようこそ』 ~牛~ その4

これは前書いた雑貨店シリーズ『牛』の続きです。
これまでの話はこちら→   

では、続きからどうぞ。

『雑貨店へようこそ』 ~牛~ その4




 私は牧場の入り口でその車の到着をいまかいまかと待ちわびていた。予定の時間は既に過ぎている。渋滞に巻き込まれたという連絡はあったが――私はもう待ちきれないほどに胸を高鳴らせていた。
 意味もなく牧場の入り口を行ったり来たりすること数十分、ようやくその車が牧場へと続く道に現れた。私は思わず喜びが溢れて、その車に向けて大きく手を振る。運転席で迎えにやらせた世話役が苦笑しているような気もしたが構うものか。
 すぐ近くに滑り込んできた車に駆け寄りつつ、私は口を開いた。
「やあやあよく来てくれたね! 我が牧場は君を歓迎するよ!」
 そういう私の前でドアを開いて外へと出てきたのは、男の子だった。子、といっても二十歳はすぎている。
「ありがとうございます。これから頑張りますのでよろしくお願いします」
 そういって軽く頭を下げたその青年は、その比較的整った顔を上げる。うむ。礼儀正しくていい子じゃないか。面接の時にもちゃんと確かめたが、こうやって理想通りの子が来てくれると嬉しいものがある。
「荷物は最小限で、とのことでしたので出来る限り少なくしてきました。トランクの中にあります。どこに運べばいいですか?」
 そういって車のトランクの方へいこうとした彼を、私は呼び止める。
「まあ待ってくれ。この牧場に来たらまずしなければならないルールというものがあるんだ」
「ルール……ですか?」
「ああ、安心してくれ。そう難しいことじゃないから。…………手の甲に、この『スタンプ』を押してくれればいいだけだよ」
 そういって私は一つの『スタンプ』を取り出した。彼は怪訝そうな顔をしつつも、ルールなのだからそうしなければならないという顔になった。
「はい、わかりました。左の甲でいいですか?」
「構わないよ」
 そう、構わない。
 押しさえすれば、どこでもね。
 この牧場内においては、私が制定したルールには絶対服従だ。青年は何のためらいもなく、そのスタンプを自分の手の甲に押しつけた。一瞬顔をしかめた青年だが――次の瞬間には膝から力が抜け、気を失って倒れそうになる。そこを素早く支えたのは世話役の女性達。
「連れていきます」
「ああ、手はず通りにな」
 世話役達が青年を抱えてあるところに運んで行く。
 ふふふ。材料は手に入った。あとはあれをどう料理していくかだが…………くくく、これからが楽しみだ。




 変化は唐突に、かつ劇的に起こった。
 敷き詰めた藁の上に寝かされた全裸の青年の体を、手の甲に押されたスタンプから伸びた文様が浸食していく。刺青が広がるかのように、その文様は瞬く間に青年の全身へと及んだ。そして、肉体部分の変質が始まる。
 青年の顔つきはその歳相応の女性のものへと骨格から変貌していく。
 たくましいというほどではなかったにせよ、確かに男性の輪郭をしていた肩は、柔らかい曲線を描く撫で肩に。
 平らだった胸は普通の女性を遥かに超えて大きくなり。
 腰も丸みを帯びてしっかりと肉つきの良いものへとなった。
 手足も細く、細い線を描くように変わり、全身の色素が薄くなって肌が白くなる。
 そこまでは一言で言い表すなら『女体化』だった。そこまででも十分に現実感のない異常事態だったが、さらに現実離れした現象は続く。
 耳が大きくなり、垂れ下がる。尾てい骨の辺りからは、先端に筆の先のような柔らかな毛がついた細い尻尾が生えた。
 ただでさえ巨乳だった乳房はさらに大きさを増し、四つん這いの態勢では両手を突っ張らなければ先端が地面にこすれてしまいそうなほどになる。
 一見しただけではわからないが、膝の部分の皮が分厚くなり、多少のことで傷つかないようになって――変化は終わる。
 数十秒前までいた青年の姿はどこにもなく、そこに横たわっているのはすでに唯の『牛人間』とでも言える存在だった。
 私はその様子を一から十まで観察し終えて――その変化が一週間前の自分に起こっていたのだと考えると、何やら妙な気分になる。
 この牧場を手に入れて今日で丸一か月。
 一週間ごとに『スタンプ』によって『牛』に変わり、搾乳しなければならなかったのだが、いまはこうして自分の代わりがいる。
 正直なところ、搾乳は気持ちが良いのだが、このような人間とも言えないものに身をやつすのは拒否感があったので、こうして身代わりを用意したのは間違いではなかった。
 『牧場での仕事』ということで募集をかけて誰も来なかったらどうしようかと考えていたが、目論見が成功して一安心、といったところだろうか。
 私は『牛』へと変わってしまった青年の頭を撫でながら、愛しさがこみあげてくるのが感じられた。
「私の代わりに牛乳を提供してもらわなければならないからね…………壊さないように、優しく飼ってあげるよ」
 人間に戻す気はない。彼には一生牛乳の提供者として暮らしてもらうことにする。
 そこで私は世話役の女性達に言って、ある準備を始めてもらうことにした。その準備が整うまでの間に、彼に全てを認識させておかなければ。
 自分の役割、仕事、これからの生活――精神が崩壊しないように気をつけながら。
「……そうだ、一応名前を決めておこうか」
 もちろん青年にも人間の名前はあるのだろうが、いまや彼は『牛』だ。それならばそれにふさわしい名前を与えてやるべきだろう。
 『牛』に相応しい名前……そうだな。
「『モモ一号』にしようか。うん。そうしよう」
 適当かついい加減なネーミングだが、『牛』につける名前としてはまずまずだろう。
 私はモモの体を揺らし、起きてもらうことにした。
 揺すられたモモは微かに眉を顰め、ゆっくりと瞼を開く。
 私は笑顔を浮かべてモモに語りかけた。
「さあ、起きなさい。モモ」
 起き抜けで揺らいでいたモモの目の焦点がゆっくりと定まる。
「ん…………ここは……?」
 不思議そうなモモの声。
 私は彼――いや、もはや彼女ですらないその『牛』が自分で状況を認識し、騒ぎ出す前に先手を打った。
「やあ、おはよう。さっそくだけど、仕事を始めてもらおうか」
「……仕事……?」
 この牧場内で、私の言う『ルール』は絶対。
 なぜ命令ではなくルールの形を取らなければならないのか、疑問はあるがそれは重要ではない。過程が少しばかり違っても、もたらされる結果は同じだからだ。
「そう、仕事だよ。君の仕事はその『牛』の姿で定期的に牛乳を提供することだ。君はこの仕事に関する一切の事柄に疑問を抱いてはいけないよ。『牛』の姿になっていることにも、どんな扱いを受けても、それが当然だと思うんだ。それが『ルール』だからね」
 いまだに意識はぼんやりとしているらしかったが、私の言葉は理解出来たのか、ゆっくりと頷く。
「…………それが、ルール…………はい、わかりました」
「いい子だ。まずは自分の体を確認してもらおうか。その姿で仕事を行ってもらうことになるからね」
 どういう反応になるのか、私は注意深くその動きを観察した。私が見ている前で、身体をひねり、両手を地についてと四つん這いの状態になったモモは、自分の体を眺めていく。時折目を大きく見開いて驚いていたようだが、特に騒ぎ出したりする気配はない。これならいける、と感じた私は話を次に進めることにした。
「いいかい。まずは装着品について説明するよ」
 そう言って私は近くに置かれていた小机の上に並べて置いた物の内の一つを手に取る。
 それは一週間前までは私も嵌められていた――鼻輪だった。それをモモの目の前で揺らして見せてやる。
「これを――」
 私はモモの顎を片手でつかむと、もう片方の手に持った鼻輪をモモの鼻に空いていた穴に通してぶら下げた。鼻の中を金属が通っていく感覚は経験があるから想像できる。いきなりの鼻輪装着には面食らったのか、目を白黒させていた。そんなモモの鼻からぶら下がって揺れる鼻輪を指先でつまんで、軽く持ち上げる。引っ張られたモモは痛みがあったのか顔を歪めて身体を前に少しずらした。私はそんなモモの反応を見て楽しみながら、その鼻輪に犬の首輪につけるようなリードを繋いでしまう。
「こうやって鼻輪にリードが繋がれたら、必ずそのリードを握っている人に従って歩きなさい。まあ、歩かなかったら君が痛いだけだけどね」
 言いながらリードを軽く引っ張ってやると言われるまでもなくモモはぎこちない四つん這いで前に進んだ。
「は、はい……」
 矢継ぎ早に進む展開についていけないのか、消えるような声量で返事をするモモ。ふふ、中々可愛いじゃないか。
 顔もいまや女の子のものになっているし、痛みのためか若干涙目になっている姿にはそそられるものがある。
 私はあえて事務的な態度を崩さないまま、さらにリードを引っ張ってモモを誘導した。
「さて、これから君の一日の仕事の流れを確認するよ。ついてきなさい」
 まだまだぎこちない四つん這いで進むモモを連れ、私は牛舎から外へ続く扉へと向かった。
 これから向かう先は――外に広がる放牧地だ。




『雑貨店へようこそ』~牛~その5へ続く



Comment

No.156 / toshi9 [#YK3S2YpI]

1から4まで読ませてもらいました。いやあ倒錯的ですね。
虐と被虐、屈辱と快感、いろんな要素が絡み合っていく展開はほんと面白かったです。

2009-03/07 09:26 (Sat) 編集

No.159 / 光ノ影 [#-]

嬉しいコメント、毎度毎度ありがとうございます!
人を牛に変えて飼育する、まさに倒錯的の極みだと思います。この話の主人公は無駄にプライドが高いので、再び被虐側になるかどうかはわかりませんが、今後の展開は色々考えているのでお楽しみに!

2009-03/07 17:55 (Sat)

No.164 / nekome [#lWxbDKCI]

とうとう部外者が毒牙にっ。
詳細に描かれた変身シーンが良いですねえ。
なるほど、ただ女体化するだけでなく、「牛人間」としての生活に向いた形態に変化していたんですね。

主人公はなかなか容赦がなさそうですし、果たして青年にはどんな未来が待っているのか(^^;

2009-03/10 21:53 (Tue) 編集

No.165 / 光ノ影 [#-]

nekomeさん、コメントありがとうございます。

前回主人公が変化したときにもこうなっていたんですが、思いっきり説明不足でした(笑)。文字だけの表現では「書き忘れる」と絶対に伝わらないので気をつけないといけませんね。

この主人公は結構容赦がないです。割合自分の欲望に正直というか……欲望を満足させるために他者を利用するのを厭わないというか。こういう人とはお近づきになりたくないものです(笑)。
青年にどんな未来が待っているか……ご期待ください。

2009-03/11 09:07 (Wed)

Comment Form
コメントの投稿
HTMLタグは使用できません
ID生成と編集に使用します
管理者にだけ表示を許可する

Page Top

Trackback

Trackback URL

http://kuroitukihikari.blog60.fc2.com/tb.php/74-fc1e263c

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Page Top

カウンター
投稿先サイト
『小説家になろう』ノクターンノベルズ
(ユーザーページに飛びます)
運営サイト
暁月夜色
 どんなジャンルでもOKな投稿小説サイトです。お知らせには必ず目を通してください。

黎明境界
 自己満足小説の展示サイトです。
 注意事項には必ず目を通してください。
 以下、連載中の作品概要


『私の名前はまだない』
(MC物、ペット化、女性視点)
(最終更新日:2013/12/07)

『思い通りになる世界 ~forガール~』
(カオスジャンル、世界改変系)
(最終更新日:2016/02/28)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
プロフィール

光ノ影

Author:光ノ影

連絡先は kuroitukinokage×yahoo.co.jp (×を@にしてください)

つぶやき
作品紹介
検索フォーム
FC2アクセス解析
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。