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死神輪舞12

死神輪舞11の続きです。

前回の話はこちら↓
         10
11

 では続きからどうぞ。


死神輪舞12




 死神。
 そんなものは幻想小説やら最近の漫画やらでしかありえないと思っていた。
 でも、俺が車に跳ねられて死にかけた――いや本当に死んだその時、僕の前に死神が現れた。

 その手に大きな鎌を携えて。

 よくある骸骨のような外見ではなく、人と変わらない姿だった――むしろ可愛らしいと表現できる――女の子の姿をしていた。
 死にたくなかった僕は必死に抵抗を試みて――何故か彼女と同化してしまうと言う事態に陥った。
 しかも僕の方が体の主導権を握っている。
 でも何の力も持たなかった僕はたちの悪い不良に絡まれ――犯された。
 そんな僕を拾ってくれたのは、僕と同じように死神と同化した一人の少年。

 星斗。

 死神の力を扱いこなし、人を洗脳することもやっているから、ちょっと恐ろしいけど。
 でも同じ境遇の僕に仲間意識を感じているのか、親しげに接してくれている。
 そしていま、僕は星斗と一緒に街のショッピングモールにやって来ていた。





 賑やかな喧騒が流れている中、一際楽しげな声が上がる。
「亮! どうよこれ! このパーカー、お前に似合うと思うぜ!」
 快活な笑顔と共に突き出された服は、動きやすそうなフード付きのパーカーだった。
 確かに形状と言い、色合いといい、僕に――正確にはこの体はシェルちゃんのなんだけど――似合いそうだった。
「あ、うん。ほんとだね。……でも、さ。あの、星斗。もうちょっと静かに……」
 高い声で大きな声を出されると凄く良く響くのだ。
 その上、星斗の言葉遣いがよくない。
 今の星斗は外見的には物静かな美少女なのだ。
 それが酷く男勝りな喋り方をしていると、違和感どころの話ではない。
 もっとも、星斗本人は周りに与える影響など微塵も気にならないらしい。
「んなこと気にすんなって。亮は気にしすぎなんだよ」
「せ、星斗は気にしなさすぎだよ!」
 さっきから周囲の人が怪訝そうな顔で星斗を見てるのに、本人はまるで気にする素振りを見せない。
 度胸があるというか、図太いというべきか……間違いなく後者だ。
 むしろ傍にいるこっちが恥ずかしい。
 僕の気持ちなんて知らないという風に星斗は次の服に手を伸ばす。
「今時ミニスカってのはいまいちだが、これくらいの長さなら適度じゃねえ? 試着して見ろよ!」
 快活に笑う星斗。言葉遣いを改めるつもりはないらしい。
 僕は深くため息を吐いた。




「いやー、大分買ったな」
 ハイテンションな星斗に振り回され疲れきった僕は、休憩を提案した。
 星斗はまだまだ元気そうだったけど、嵩張るようになってきた荷物を纏めるのも兼ねて休息を取ることに賛成してくれた。
 ショッピングモールの適当な位置に置かれたベンチで休息を取ることになった僕らは、大量に買い込んだ服を抱えて座り込む。
 僕は取っ替え引っ替え試着させられた肉体的なものと、気苦労などの精神的なもので疲れ果てていたけど、星斗の方はまだまだ元気そう。
「中々いい買い物が出来たなー。もうちょっとあの店では粘りたかったけど、ま、初めてだし、十分か。またいこーぜ」
 にっ、という擬音が聞こえてきそうなほど快活な笑顔を浮かべている。
 その笑顔は儚げな印象を与える体には合っていなかった。けど――その笑顔はどこまでもたのしそうで。
 思わずこっちまで楽しくなってくるような、そんな感じだった。
 どうして星斗はこんなにも楽しそうなんだろう?
 ホテルで目が覚めた時には、もう少し冷静そうというか、落ち着いた印象を受けたのに。
「次はアクセでも見に行くか? イヤリングとかネックレスとか、見てるだけでも楽しいぜ? それから……俺が見つけた穴場のレストランで何か食うか。お前も腹減っただろ――」
 疑問を言葉にはしなかったけど、思わず不思議そうな顔を向けてしまっていたらしく、星斗が一瞬こちらを見て苦笑いを浮かべた。
「あー、悪い。俺、はしゃぎ過ぎだよな。ついてけねえだろ」
「いや……別にそんな……」
 咄嗟に否定しようとした僕を、星斗は手を掲げることで遮る。
「自覚はあるからフォローしてくれなくていい。わりいな、テンション上げすぎで……」
「……えっと」
 言葉に詰まる僕から星斗は目線をずらし、ほとんど独り言のように呟いた。
「こんな風に誰かと一緒に出掛けたりするのって初めてでさ……楽しくって、つい、な」
「初めて?」
 何故か妙にその言葉が気になった。
 鸚鵡返しに言葉を返すと、星斗は軽く頷く。
 そして星斗はどこか空虚な表情で言う。

「俺さ――生まれつきの病気で死んだんだよ」

 その言葉を聞いて――僕は絶句して何も言えなくなった。
 そんな僕に構わず、星斗は続ける。
「ま、そういうわけで学校にも行ったことないし、病院から外に出ることもなかったな。金ばっかかかって親には疎まれてたし……生きていたころにあったいいことってのが全然思いつかねえ」
 だから、なのだろうか。
「死んでから言うのも何なんだが――今の方がよっぽど楽しいし生きてるって感じがするぜ。同じ境遇にいるお前にも知り合えたしな」
 誰にも必要とされず、死んでしまった星斗。
 だから、死神の体を奪い取るほど、生きたいと願ったのだろうか。
 だから――同じ境遇にいる僕に、優しくしてくれるのだろうか。
「…………星斗」
「わりいな。つまんねえ話をしちまって。気にしないでくれ。さっ、そろそろ次の店に行こうぜ、亮!」
 話はそれで終わり、というように星斗は立ち上がって歩き出した。
 歩き出す星斗の後を慌てて追いかけながら――僕はどうするべきかわからなくなっていた。
「……そうだ」
 数歩先に行った星斗がこちらを振り向き、にかっと笑う。

「いまさらだけどさ、亮。俺と友達になってくれないか?」




~13へ続く~

Comment

No.148 / toshi9 [#YK3S2YpI] ともだちか

お買い物にはしゃぐ姿は同じ境遇の相手に出会えた喜びなのか、それとも?
どこか不安定感やアンバランスを感じさせる星斗との生活、さてどうなりますか。そして死神たちの追撃は?
展開が楽しみですね。

2009-02/18 00:05 (Wed) 編集

No.149 / 光ノ影 [#-] コメントありがとうございます

toshi9さん、さっそくのコメントありがとうございます!
ようやく死神輪舞も執筆を再開することが出来ました。まだこれからの展開がどうなるかは微妙なところですが、楽しんでいただけるよう、全力を尽くす所存です。
では、またどうぞお越しください!

2009-02/19 23:26 (Thu)

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