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『神様のお仕置き』

新年最初の一本は、それっぽい短編小説にしました。
MC・露出要素などが含まれます。

それでは続きからどうぞ。
 
 

『神様のお仕置き』



 最悪だ。

 年明け早々そんなことを考えたくはなかったのだけど、そう思わざるを得なかった。
 新しい年が始まったその日、僕は近所の神社に初詣に来ていた。別に僕は信仰心の高い方ではないけれど、この神社は僕が子供の時から何かとお世話になっている神社で、それなりに感慨はある。毎年ここで初詣をするのも、一種の伝統みたいなものだった。
 だから今年もここに来たのだけど……忘れていた。この神社が極々最近ひょんなことから旅行雑誌に取り上げられ、縁をより深くする神様ということで、デートスポットの一つになっていたことを。
 いつもは閑散として、元旦でさえ参る人は近所の人達ばかりなのに、今年はやけに人が多かった。
 それも、カップルばかり。いかにも週刊誌や旅行雑誌が好きそうな、突き詰めていえば単に流行りすたりに流されるタイプの人達ばかりだった。
 彼らにはそもそも神社に対する尊敬の念などなく、ただ近くに丁度いいデートスポットがあると考えてのことだろう。だから神様に参るという意識もなく、ただひたすら自分の相手といちゃつくのを楽しんでいる。
(リア充爆発しろ……!)
 真面目にそんなことを考えていた僕だが、さすがにカップルだらけの中で一人孤独でいるのは中々の苦行だ。周囲の笑い声が僕に向いているようにさえ感じる。
 けれど、いまさら列を離れるのも負けたような気がするので、僕はその苦行に耐えて、ようやく賽銭箱の前までやってきた。
 財布から十円を取り出しかけ――思い直して五百円を取り出す。
(このリア充どもに制裁を……!)
 意味のないことだとは思いつつ、僕は五百円玉を賽銭箱に投げ、ガラガラと鈴を鳴らして手を打ち鳴らす。目を閉じて、神様に祈る。
(リア充爆発しろ……とは言うけど、さすがにほんとに爆発されると困るしなぁ)
 じゃあどうしたものか。
 僕は少し悩んだ。
 そんな僕の方に、誰かがぶつかってくる。
 目を開いた僕のとなりには、やたらと派手な化粧と冬なのに無駄に露出の激しい女の人が立っていた。その隣には強面の彼氏っぽい人がいる。
「あらぁ、ごめんなさぁい」
 鼻にかかった声で、女の人はそう謝って来るが、本心からの言葉でないことは明らかだった。
「ああん? なんだよ?」
 さらに強面の彼氏がすごんでくるのだから、びびりの僕には少々分が悪すぎた。
「な、なんでもないですごめんなさい」
 慌ててその場を離れる。その二人は周りが不快になるレベルでいちゃつきながら、賽銭を適当に投げ、ガラガラとやかましく鈴を鳴らす。作法も何もあったもんじゃない。
 信心の強い方では断じてないんだけど、あまりにぞんざいな様子に軽く怒りを覚えた。
「「なんだよあれ、気分の悪い」」
 一人で呟いたつもりが、別の誰かの呟きが重なった。
 驚いてそちらを見ると、そちらも驚いた顔をして僕の方を見ていた。同い年くらいの青年が立っている。
「あ。あなたは」
 その人は僕を見て目を見開く。どうやら、僕のことを知っているらしい。着物を着ているところをみると、この神社の関係者なのだろう。見たことはないけど、近くを歩くのを見られていたのかもしれない。
「ど、どうも」
「ずいぶん大きくなりましたね。昔は入口の石段をあがるのも苦労してらしたのに」
 朗らかな笑みでその人は笑う。どうやら、この神社の関係者であることは間違いなかったようだ。というか、幼い頃のことまで知られているらしい。
 同い年くらいなのに、やけに昔の記憶がしっかりしているところを見ると、童顔なだけで僕より結構年上なのかもしれない。
「そ、そうでしたっけ? まあ、確かに幼い時からここで参拝してましたけど……今年ほど、騒がしい時はなかったですけどね」
 僕がそう口にすると、その人は微かに眉を顰めた。
「そうなんですよね……全く、こちらとしては正直いい迷惑ですよ。人が来てくれるのはいいですが、ゴミはその辺に捨てていくし、掃き清めた場所も平気で踏み荒らしていくし、なにより信仰心が全くといっていいほどない! 近隣住民も迷惑していますし、普段はここでゆっくり参拝するという方も、今日は人手が多すぎて諦めてしまわれたようですし」
 ぶつぶつとその人は愚痴を呟く。神職についていようが――あるいはついているからこそ――この人達の暴挙は許しがたいものであるようだ。
 僕はそれに全面的に同意した。
「全くですよね! いや、正直僕だってそんなに信仰心がある方じゃないですけど、それでもここまでじゃないですよ!」
 人混みから離れたところだったから、僕もその人もつい激しく愚痴を言い合ってしまった。
 やがて二人して同時に溜息を吐く。
「……でもまあ、言ったところで無駄ですよね……天罰なんて下るわけないし」
 最後に僕はそう呟いた。
 すると、その人が少しだけ目を逸らす。
「……どんなお仕置きがいいと思いますか?」
 お仕置き、と来た。僕は少し悩む。さっきも思ったが、爆発するのはやり過ぎだ。もっと、ささやかで効果的なことがいい。
「うーん、と……そうですね。ちょっとした不幸とかでも十分じゃないですか? それもすっごく恥を掻く感じの!」
「恥、ですか?」
「ええ、ああいう若い子達って、妙にプライドは高いんですよ。だから、地面に蹴躓いて転んだりして皆の注目を集めたりするようなことがあると、死にたくなるくらいに恥ずかしく思うみたいです」
 さっきの無駄に露出の高い服装をしたカップルが目の前を通り過ぎて行く。ヒラヒラとしたスカートが鬱陶しい。
「あんな格好なんですし、転んでパンツ丸出しになるだけでも相当恥ずかし――」
 言いかけた言葉は最後まで呟けなかった。
「きゃっ!?」
 なぜなら、僕の目の前で、その短いスカートを履いた女の子が、何もないところで突然転んだからだ。しかも、どんなこけ方をしたらそうなるのか、スカートがほとんど全部めくれ上がって、黒いパンツが丸出しになったのだから。
 周囲の注目はそこに集中し、隣を歩いていた彼氏も思わず硬直する。
 数秒間はそのままだっただろうか。転んだ際の痛みを堪えていたらしい女の子が、小さく呻き声をあげて、ようやく彼氏も動き始めた。慌てて彼女のスカートを降ろし、抱え起こして立たせる。そして周囲に向かってガンを飛ばして牽制する。慌てて僕も目を逸らした。
「いったーい! なんなのよ、もー!」
「ばかっ、とっとと帰るぞ! ……怪我してねえか?」
 さっきはひたすら強面だった男の人だけど、一応彼女を気遣う程度の器量はあったようだ。
 女の子を半ば抱えるようにして、そのカップルは去って行った。
 二人が去ってからしばらくして、僕は呟く。
「……思いっきり転びましたね」
「あんな感じで恥をかかせたことになるんですかね?」
 その人の言い回しはなんとなく気になったが、とりあえず頷いておく。
「少しは懲りたんじゃないですか? 少なくともあんなヒールの高い靴を履いて、短いスカートでは二度と来ないと思いますよ」
 元から二度と来ないような気はしたが、それを関係者の前ではっきりいうのも若干躊躇われたから、そう言った。
 その人は満足そうに頷く。
「なるほど、これくらいなら丁度いいお仕置きになりそうですね」
 まるでいまのを自在に起こしたことのように、その人はいう。
「他にはどんなお仕置きがありますか?」
「え? えっと……そうですね……」
 なんとなく違和感を覚えつつ、僕は考える。
 その時、ちょうど煙草をふかして歩いているヘビースモーカーカップルが目に止まった。いくら信仰心が薄いとはいえ、色んな意味で最悪の行為だ。そもそも人混みの中で煙草を吸うということ自体、周りのことを一切考えていない行為である。やたらと豪華な着物を着ているのが、逆に腹立たしい。
「……火が服についてしまう、とか。火傷しない程度ならいいお灸になるでしょ」
 そう言った瞬間だった。不意に強い風が吹き、その喫煙カップルを襲う。男性の方はともかく、女性の方は煽られてよろめいた拍子に、うっかり煙草から手を離してしまった。それがたまたま運よく袖口に入り込む。
「あっ! やばっ」
 そう女のひとが慌てる間も刹那。一気に袖口が燃え上がった。
 煙草の火でそんな馬鹿な燃え方をするわけがない。思わず皆悲鳴をあげることなく、それを見詰めてしまう。
 そして、もう一度強い風が吹き――皆が気付いた時には、彼女の右袖から右胸にかけての着物が焼失していた。その下の肌には火傷一つなく、白い肌が目に眩しい。
 ブラジャーもしていたみたいだけど、それも綺麗になくなっていた。つまり、彼女は現在裸の胸を晒しているということで――
「きっ、きゃああああああああああ!?」
 その彼女は神社中に響く悲鳴を上げ、自分の身体を庇いながらその場に蹲る。
「お、おいっ、大丈夫かっ」
 彼氏が慌てて上着を脱いで彼女にかけてあげていた。そしてざわめく周囲をかき分けて、逃げて行く。
 残された人達がざわめくのを見ながら、一番茫然としていたのは僕だった。
「ちょっとやりすぎましたかね?」
 隣に立つ人がそう呟いてくる。僕は思わずそちらを見て、その人が火のついた煙草を手に持っていることに気付いた。吸い掛けのそれは、さっき男の人が放りだしたものらしい。
 それはいい。問題は、その煙草の持ち方だ。その人は、目の前に広げた掌を上にしていて、煙草はその上に浮かんでいた。だから、正確には持っているではなくて、引き寄せていたのだ。
 男の人はそれを握り潰し、消し去ってしまう。火を消したというレベルじゃない。その煙草自体をまるで霧のように消してしまった。
「着物だからもう少し抵抗力はあるかと思ってたんですが……どうやら、粗製乱造された着物らしき何かだったようですね。でなければ神の火によってあんなに簡単に焼失するわけがありません」
 僕は男の人が何を言っているのか、理解がついていかなかった。
「あ、あなたは……一体……?」
 僕がそう問いかけると、その人は少しだけ傷ついた顔をする。
「あなたにさえ、私は顔も覚えられていないんですか……。まあ、普段顔を出したりしていませんしね。仕方ないでしょう」
 そう呟いて、男の人は続けた。

「私は、この神社に祭られている神です。毎年今日だけ、出て来ているんです」

 そんな馬鹿な。
 そう言いたいのはやまやまだったが、さっきの超常現象を見たあとでは受け入れざるを得ない。
「いつもは皆さんが連れて来てしまう穢れとか怨念とかをこっそり清めたり、特に信仰心の高い方に加護を与えたりしているのですが……今日はどうもいつもと様子が違いましてね。いつもの人達はあなた以外一人も来ていませんし、来ている人達の態度は悪いしで散々でしたよ。それにしても、お仕置きをするのはいいですね。胸がすっとしましたよ」
「……な、なるほど」
 神様といっても、割と人間味もあるらしい。
 しかし、神様に対してお仕置きを覚えさせてしまったのは、実は結構まずいんじゃないだろうか。
 僕はそう思ってこっそり息を呑んだ。なにせさっきの様子を見てもわかるように、この人はおおよそなんでも出来るみたいだ。それはつまり、その気になれば転んだ拍子に頭を打って殺すことも出来るし、さっきの火で身体まで焼き払うことも出来るだろう。
 いまどき、神様に対抗できるような陰陽師がいるとも思えないし。このまま放置すれば、とんでもないことになるんじゃないだろうか。
「その心配は無用ですよ」
「っ……」
 心を読まれた。……当たり前か。それくらいは簡単に出来るよね。
「これでも神ですから、むやみやたらに人を呪い殺したりしませんよ。確かに人間の中に対抗できる人はもういないですが、同じ神ならば対抗出来ますしね。所詮私は小さな神ですから、力も立場も上な神は山のようにいるのですよ」
 それもそうか。少し安心した。
「さて、ところで次はどんなお仕置きをしましょうか?」
 安心したところで、再びそんな問いかけをされる。僕は少し考え込む。
 彼らを程良く懲らしめられるお仕置きの方法を。
 男の人が神様とわかったからには、その超常的な力を活用する方法で考えてみよう。
「……そう、ですね」
 すでに二件立て続けにお仕置きをしてしまっている。
 最初のは偶然で済むレベルだけど、二件目は不自然極まりない。同じような超常現象を起こしていたら、皆参拝せずに帰ってしまうということもあり得る。
「じゃあ……こういうのはどうでしょうか?」
 僕が提案したその『お仕置き』に、神様はにっこりと笑って賛同してくれた。


 彼と腕を組んで、必要以上に身体を密着させて歩く。
「ねー、寒いー。もっと近付いてよー」
「はいはい」
 自慢の彼氏は、私の甘え声にデレデレした顔をしながらも、まんざらでもなさそうな表情で微笑んでいた。胸が当たっているのを喜んでいることがバレバレだ。全く、自分の彼氏ながら男ってちょろくて時々心配になる。
 まあ、多少馬鹿なくらいの方が都合がいい。せいぜい私に飽きられないように頑張ってもらうことにしよう。
 私たちは初詣に向かっていた。本当ならもっと大きな神社に行きたかったんだけど、遠くまで出かけるのも面倒だし、どこの神様でも変わらない。たまたま近くにデートスポットとして有名な神社があったから今年はそこに行くことにしていた。
 同じ魂胆の人が多かったのか、その神社は人でごった返していた。
 正直帰りたくなってきた。けど、ここまで来て引き返すのも癪だ。
「凄い人だな……どうする?」
 私は少し迷う振りをしつつ、彼の腕に掴まる力を込めた。
「いいよ、少しくらい並んだって。それに……きっと話してればすぐだよ!」
 こういう態度が、男は嬉しいのだとわかっている。案の定、彼はだらしなく笑った。
「ああ、そうだね。じゃあ並ぼう」
 ちょろい。
 神社の外まで伸びている列の最後尾に私たちは並んだ。暫く話しながら列が進むのに任せて、神社の鳥居を潜る。
 その瞬間、話に集中していた彼氏がふと、上を見上げた。
「おっと、ここから先は神社の中だね」
 私は気付かれたことに内心舌打ちをしながら、仕方ないかと割り切る。出来れば気付かれないまま行きたかったけど……さすがにそこまで抜けてはいなかったみたいだ。

「それじゃあ、服を全部脱いで」

 彼の眼は真剣で、誤魔化しが聞きそうな目じゃなかった。
「はーい……」
 私は渋々、コートを脱ぐ。ああ、寒い。
 全く嫌になる。この冬の寒空の下、脱がなきゃいけないということにうんざりだ。
 いくら『初詣の正式な格好は全裸』とはいえ――女子にしか適用されないその風習なんて早くなくなればいいのに。
 それでも、従わなければならない。
 コート、マフラー、上着、スカート、ストッキング、ブラジャー、ショーツ。そして、靴に至るまで。
 全てを脱いで、彼に渡した。彼はそれらを纏めて、神社の人が用意してくれていた籠に放り込み、どこかに持ち去ってしまう。
 彼が帰って来るまで、私は全裸で一人震えているしかなかった。話すことで気を紛らわせることも出来ない。
(うぅ……恥ずかしい……)
 気付けば前も後ろも女の子は皆裸になっていて、そういう意味では恥ずかしさも和らぐけど、それでも人前でこんな格好になっているという恥ずかしさはある。
 身体を丸め、手で身体を摩りながら私は彼が帰って来るのを待つ。
 戻って来た彼は、細い縄を手に持っていた。
「おまたせ。貰って来たよ」
「早くしてよぉ」
「ごめんごめん。じゃあ、行くよ」
 彼が私の腕を後ろで組ませて、それを縄で縛りあげる。さらに胸の上下にも縄が通されて、股縄もかけられる。最後に縄尻を持った彼が強くそれを引き、私の身体に縄を食い込ませた。
「ぐっ……ちょ、っと……キツイってば……!」
「ああ、ごめんごめん。ちょっと緩めるね」
 少しだけ緩めてもらって、ほっとした。
 この縄装束は神様の前に立つときには必ず身につけなければならないという類のものだ。余った縄尻を彼が握ると、私はまるで縛りあげられて連行される罪人のような風になる。まあ、風なだけで実際は神様の前に立つ時の正式な形なのだけど。
 縄の締めつけに悶え、寒さに震えながら、私と彼はようやく賽銭箱の前にまでやって来た。前にやって来た、と言ってもまだ三メートルほどの距離がある。
 そこで、私は彼に神社が用意していた新品の十円玉を咥えさせてもらい、縄尻を離してもらった。
「じゃあ、神様に挨拶してきて」
「ふぁい」
 お賽銭を落とすわけにはいかない。私は冷たい石畳に、痛みさえ感じつつも、賽銭箱に向かって歩き出した。賽銭箱へのこの道は一人ずつしか通れないから、私は一人で賽銭箱まで辿り着かなければならなかった。
 けれど、歩き出した瞬間、私は想像以上の羞恥心が心の中から湧きあがって来て、戸惑った。まるで全裸で人混みの中に放り出されたような、そんな恥ずかしさだ。
 ここまでの行為に特別変なところは何もなかったのに、私はそう感じるのを止められなかった。
(……っ!? は、早く終わらせなきゃ……!)
 私は内心から湧きあがる羞恥心に耐えながら道を急ぐ。
 足が滑ったのは、焦っていたからか、それともどうしてか震える身体のせいか。
 まずい、と思った時にはすでにバランスが崩れ切っていた。
「きゃあっ!」
 後ろ手に拘束されているから、手を突くことも出来ない。身体を盛大に打ちつけてしまった。
「だ、大丈夫!?」
 後ろで見ていた彼がそう声をかけてくる。
 私はなんとかもがきながらも、身体を起こす。両手が使えないのが、こんなに大変なことだとは思わなかった。
「だ、大丈夫……怪我は、してない……」
 そう応えてから、私は大変なことに気付いた。咥えていたはずの十円玉がどこかに行ってしまっていたのだ。
 慌てて周囲を見渡すと、私の足元にその十円玉は転がっていた。十円玉は奇跡的に縦向きに立っている。これなら膝ついて屈んで、口で拾い上げることが出来るだろう。
 私は慎重に膝を突き、限界まで屈んで口を地面に近づけた。絞り出された胸の先端が石畳に擦れ、思わず身体を跳ねあげてしまう。
 ただでさえ注目を集めているのに、それがさらに強くなって私は恥ずかしさで顔に火がつきそうだった。お猿さん並みに真っ赤になっていることだろう。
 私はなんとか落ちた十円玉を拾い上げ、そして、それを賽銭箱の中に放り込む。
 そして賽銭箱の正面で肩幅以上に足を開き、そのままお尻を突き出さないように気をつけながら、九十度の礼をする。
 後ろに並んでいる人達からは私の肛門も、おまんこも全部見えてしまったことだろう。
 私はたっぷり十秒くらいその姿勢を維持して、そして顔を上げ、後ろを向いた。
 並んでいる人達の視線が全身に突き刺さる。
「うっ、くぅ……っ」
 ちくちくと針でさされているかのようだった。予定より随分動いたせいで、縄の締めつけも強くなっている。
 私は震えてしまう身体をなんとか叱咤して、彼のところに戻ることに成功した。彼は戻って来た私を、抱き締めてくれた。
 暖かい。
「よく出来ました。それじゃあ、帰ろうか」 
「……うん」
 私はどうしてか震える身体を抱えつつ、彼にまた縄尻を持って貰って、家に向かって歩き始めた。


 そんな光景の一部始終を眺めていた僕は、その想像以上の光景に呼吸が止まるかと思った。
 まさかここまで僕の進言を忠実に再現してくれるとは思わなかった。
「どうでしたか?」
「凄く良かった……と思います。さっきの女性も、来た時よりずいぶん表情が大人しくなってしましたし……けど、ほんとにあの格好で帰しても大丈夫だったんですか?」
 神様は万能な力を持っているのかもしれないけど、普通この手の力は自分の結界内とか、支配地域内だけとかいう制限がついているのが普通だ。
 だから神社の外までその力が持続するのか気になってはいたんだけど。
 そんな僕の心配に対し、神様はからからと笑った。
「大丈夫ですよ。神の力は別に距離にも場所にも影響されません。他の神様に見つかったら異変に気付かれるでしょうが、他の神様にはどういう意図かわかりますしね」
「……なら、大丈夫なんですかね」
「ええ。……さて、これでお仕置きは出来ましたかね?」
 神様がそう聞いて来たから、僕は頷いた。
「ええ、これくらいで十分じゃないでしょうか」
 ちょっとやり過ぎなくらいのお仕置きを提案した僕がいうのもなんだけど、これだけやっておけば更生されるだろう。最後のお仕置きも、本人たちは詳細に認識出来ないけど、それでもあとに影響は残る。それで充分だろう。逆に、これをきっかけに変な方向に嵌ってしまわないか、人ごとながら少し心配だ。
 男性に対するお仕置きを一切してないのが気になるけど……。
「それは大丈夫ですよ。すでにお仕置きはしてますから」
「え?」
 心を読まれたのはともかく、いつの間に。
 どんなお仕置きなんだろう。
「どんなお仕置きなんですか?」
「それはね……」
 神様はにっこりと笑って言った。
「いかなる方法を取っても、勃起しないんです。一週間くらいですけどね」
 それは確かにキツイかもしれない。
 あれだけいちゃいちゃしていたカップルたちならなおさらだろう。
 神様としてはお正月くらい慎みを持って暮らして欲しいだろうし、妥当なお仕置きかもしれない。

 初詣はきちんと参ろうと、僕は思った。




~神様のお仕置き 終~
 
 
 
 

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2016-10/17 15:01 (Mon)

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