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『人外による人外のための人間式性交講座』

この短編はリクエスト№22『見た目と年齢が一致しない人外の主人公のストーリー・エロ重視』を書いていた時に、ほぼ書きあげたものの、リクエストからちょっと外れてしまったかな、と思って没にした作品です。
人間も人外も女性しか出てきませんので、ガチ百合です。

それでは、続きからどうぞ!
 
 
 
『人外による人外のための人間式性交講座』
 


 人は常に人外に襲われる危険を持って生きている。

 それは食われるという意味での襲われる可能性であり、性的な意味での襲われるということでもある。
 特に知能を持つ人外であればあるほど、人間をそのまま食す者は少なくなる。究極的にいって食べるために長年飼育され、そのために肉質などを調整した家畜には美味しさという点で人間は劣るからだ。知能を持って強い人外であればあるほど、食事は選ぶようになり、わざわざ不味い人間を食べようという人外はいなかった。
 代わりに、知能が高い人外は人間から生命力を吸うようになる。吸血鬼のように血からそれを得る者もいたが、それよりもよく見られたのは男性の精液からそれを得る者だった。特にサキュバスを代表する魔人達がそれを好んで摂取する。
 人間達はその強い人外達に対抗する術を持たず、殺されないならば仕方ないと思うようになっていた。むしろ、強い人外が他の物理的な意味で人間を食べる頭の悪い人外から人を護るケースは多く、共存という形で人と人外が共に暮らす町は多い。
 
 
 
 
 火砕竜ヴァーンが護る町、クラフトもそんな町の一つだった。
 ヴァーンは万年を生きると言われるドラゴンの中でも強大な存在の一匹であり、そんなドラゴンが庇護下に置く町は絶対安全の誉れが高い。かつてケンタウロスの大集団が襲いかかってきた時、その何百からなるケンタウルスの一団を、ヴァーンが尾の一振りで撃退したのはあまりにも現実味がなさすぎて、クラフト以外のところで口にすれば笑い話にされるほどだ。
 そんなヴァーンは普段町の側にある山の中心におり、滅多に人里に姿を表すことはない。町にはヴァーン以外の人外も住んでいるが、人はともかく人外が新たに町に住むためにはまずヴァーンに挨拶しに行かなければならない。

 その日も、ヴァーンの元に新たな移住希望の人外が挨拶に訪れていた。

 その山には火口が出来ていた。ヴァーンという強大な火竜が住んでいるため、活火山でもなかったはずの山の内側が溶け、溶岩が溜まっているのだ。それだけでもヴァーンの有する熱量が凄まじいものであると知れる。
 そんな竜工的な火口に近づいたとある人外――サキュバスのフェルニールはその圧倒的なエネルギーを感じて思わず息を呑んだ。
(火砕竜ヴァーンがとんでもない化け物だって聴いてたけど……これは……想像以上ね)
 フェルニールはサキュバスの中では古参の一人だ。見た目こそ二十代前半の女性に見える彼女だが、千年を越える時を生きている。人間と交わった回数は数知れず、その身に込んだ生命力と魔力はそんじょそこらの人外とは一線を画する。
 そんな彼女ですら鳥肌が立つほどの力を、ヴァーンは有していた。
(そりゃ、あの町が絶対安全だって言われるわけだわ……)
 これとやり合うくらいなら数ヶ月性交を断つ方を選ぶと、サキュバスの彼女が思うほどヴァーンの力は圧倒的だった。
 フェルニールが火口の端に立つと、火口から巨大な竜が顔を覗かせる。
 そして、フェルニールに対して、地鳴りのような大音声が叩きつけられた。
『……新しい移住希望者か?』
 ヴァーンの体は大きく、首しか出していないのにフェルニールはその頭部を見上げなければならなかった。フェルニールは慌ててその場に膝を突き、丁寧な挨拶をする。
「わたしはサキュバスのフェルニールと申します。火砕竜殿には、麓の町に移住することをお許しいただきたく――」
『良い』
 挨拶を続けようとしたフェルニールを、ヴァーンは遮った。
『町の治安を乱さぬのであれば移住は許可しよう。乱せば殺す。以上だ。それ以上我からお前に求めることはないし、行動を縛ることもしない』
 あまりにもあっさりとしたヴァーンの許可に、フェルニールは拍子抜けする感があったが、それだけヴァーンが自分の力に絶対の自信を持っているのだと悟った。もしも彼女が何か不用意な行動を取れば、ヴァーンはフェルニールを羽虫のように指先で潰すだろう。それくらいの実力差がお互いの間にはある。
 サキュバスの中でも古参に数えられるフェルニールにとっては少し矜持が傷つけられることでもあったが、人間が像と力比べをする気にならないように、二者間の間には潜在的な力の差が存在する。ありがたく許可を受け取っておくことにした。
 彼女はヴァーンに向けて頭を下げる。
「ありがとうございます。火砕竜殿」
 その場を辞去しようとした時、再度ヴァーンがフェルニールに話しかけた。
『……時に、フェルニールよ。貴様はサキュバスだと言ったな?』
 突然の確認にフェルニールは戸惑いつつ、頷く。
「はい。そうですが……それが、どうかしましたか?」
『人間の雄と交わる機会は多いのか?』
 繰り返すが、フェルニールはサキュバスである。
 彼女にとってその問いは『ご飯を食べるのか』と訊かれるようなものだったので、不思議に思いながらも素直に頷く。
「はい。サキュバスですので」
 その彼女の答えに、ヴァーンは満足そうに頷いた。
『そうか。ならば一つ頼みがある。……実はな、我が娘のヴェルニアが人との性交による生命力の吸収をやってみたいと言うのだ。だが、我はそのような行為の必要がないゆえ、教えることが出来ぬ。サキュバスの貴様であれば良き師になるであろう。強制ではないが、受けてくれるのならば、それなりの礼をしよう』
「指導……でございますか」
 フェルニールは少し考え込んだ。下手に関わってヴァーンの怒りを買うような展開にならないとは限らない。ヴァーンとの実力差は真っ向から向き合っているいまも実感している。本気で攻撃されれば、フェルニールといえどもひとたまりもないだろう。それとなく断るのが無難な選択肢ではある。
 しかし同時に、ドラゴンという本来であれば関わり合いになるのも避けたいような相手と、良好な師弟関係を結べるという魅力にはあらがいがたいものがあった。
 もし、これでうまく恩を売れれば、いざという時に二匹のドラゴンからの庇護が約束される。サキュバスの中でも強いフェルニールが二匹を頼るような事態はそう起きないだろうが、そういう縁はあって損するものではない。
 なにより、フェルニールは最強種の一角を担うドラゴンに『人間式の性交を教える』という誘惑に抗えなかった。
「わかりました。私で宜しければ、ご息女に性交の仕方をお教えしましょう」
 フェルニールの承諾を聴いたヴァーンは満足げに喉を鳴らす。それが雷鳴よりも遠くに響いたことは言うまでもない。
『では頼むぞ。ヴェルニアは普段から人化して町におる。基本的な人との関わりについては問題なかろう』
 ヴァーンは言いたいことだけ言うと、そのまま溶岩の中に潜っていった。
 絶対的な力を持つ者がそういう自分を中心にした行動に出るのはよくあることだったので、フェルニールは特に気にしなかった。普段なら自分がそういうことをする側であるということもある。
「……さて、と。まずはヴェルニア殿と合流しましょうか」
 フェルニールは町に向かって降りて行った。


 ヴァーンが護る町はそれなりに広く、ヴェルニアと合流するのも大変かも知れないと、町に降り立ったフェルニールは初め思っていた。
 だが、さすがに町の守護竜ヴァーンの娘だけあって、ヴェルニアという存在は有名だった。適当に道を歩いていた人間に尋ねただけで、居場所はすぐに知れた。
 ヴェルニアは町の工房、火を扱う鍛冶屋に住んでいた。住んでいるというよりは竈の中にいるという体で、その体から立ち上る火力を工房に提供しているらしい。竜の火で作った武具、ということでそれなりに人気商品だと説明された。
 工房に着いたフェルニールが挨拶に来たことを職人を通じて伝えてもらうと、その竈の火が消え、中から全裸の美女が這い出てきた。さすがにこの工房の人間はそれに慣れているらしく、大きく騒ぎはしなかったが、若い男の職人を中心に少し顔を赤らめる者もいた。
 竈から出てきたその美女は、職人に手渡された布を羽織り、フェルニールに近づいてくる。
「お主がサキュバスか。我が母ヴァーンに頼まれたと?」
 余談だがフェルニールはヴァーンのことを雄だと思っていたため、フェルニアに母と言われて少し驚いた。
 その驚きは内心に留め、ヴェルニアに対して丁重に挨拶をする。
「はい。フェルニールと申します。ヴェルニア殿ですね?」
「ああ、敬語など使わずとも良い。妾はまだ未熟じゃしな。ここの工房におる者達にもいらんと言っておる。我が師となってくれる者ならなおさらじゃ」
「なるほど。わかりました。……いえ、わかったわ。サキュバスとして、しっかり教えるつもりだから安心してちょうだい」
「うむ、よろしく頼むぞ」
 人化している年齢的には同い年くらいだったが、ヴェルニアは人懐っこい笑顔を浮かべた。それはまさに幼い子供の笑顔で、フェルニールは少し穏やかな気持ちになる。
 ヴェルニアはきちんと服を着込み、フェルニールを伴って鍛冶場を出た。
 並んで歩きながらしばらく何気ない会話を続ける。
「仕事は良かったの?」
「元より毎日働いておるわけではないのじゃ。町中で行動するのには貨幣が必要で、それを得るためにやっておることじゃからの。気が向いた時だけでいいと向こうからも言われておるし」
「あなたの立場なら別に対価なんて必要ないんじゃ?」
「実際に町の守護をしておるのは我が母じゃし、その娘であるからといって特別扱いしてもらうのはおかしな話じゃろ。代価はきちんと支払うのが世の理じゃ」
「真面目なのね」
 いくらヴェルニアが未熟といっても、ドラゴンはドラゴンというだけで強い。その気になれば町を数個滅ぼせる程度の力は持っているだろう。
 そんな彼女が労働に勤しんでいるのは、いくらか滑稽ではあったが、微笑ましくもあった。
「そういえば……ヴェルニアは生まれてどれくらいになるの? 百年?」
 軽く万を生きるドラゴンにしてみれば、人間の寿命分を生きても、ドラゴンとしては未熟な範疇だろう。そう考えて聴いたフェルニールだったが、返ってきた答えは彼女の予想外だった。
「十年じゃ」
「じゅうねん!?」
 思わずフェルニールは声をあげてしまった。彼女自身がそうであるように、人外の外見と実年齢は一致しないことが多い。フェルニールが二十代前半の女性の姿をしているものの、その実年齢は千歳を越えるように、だ。
 外見年齢よりも実年齢が大きいというパターンはよくある話だが、その逆のパターンはフェルニールも初めてだった。
(十歳……これは教えていいのかしら……)
 人間だったら間違いなく駄目だろう。フェルニールが悩んでいると、ヴェルニアが補足して口を開く。
「知識は我が母より受け継いだゆえ、大体のことは問題なかったんじゃがな……問題は我が母が経験しておらんことはわからんということじゃ。我が母が精力的に活動していた頃は、まだ人間と人外の間で性交を行うということが一般的ではなかったらしいのじゃ。この町を守護するようになってからも、そういう機会はなかったそうでの」
「なるほど……まあ、任せておいて。私たちの種族はこっちの方面の専門家だから」
 結局、フェルニールは『まあいいか』という結論に達した。
 興味を持ったということはそういうものに触れる機会があったということだろうし、きちんと学んでおかなければとんでもないことになる可能性もある。身体的には成人女性の体なので何も問題ない。
 フェルニールは早速ヴェルニアを伴い、それを教えるのに都合のいい店へと向かった。


 豊かな町には、必ずその手の店が存在する。それはそれだけ余裕を持った人間からの需要が高いということだ。
 とはいえ、基本の営業時間は夜中で、昼間から営業している店は中々ないのだが、この町にはそういう店が数件存在した。その中でも一番都合の良さそうな店に入る。
「いらっしゃ……ってあら? ヴェルニアちゃんじゃない。なんでこの店に……」
 妖艶な雰囲気をまとった給仕係が店に入ってきた二人を見てそう呟いた。それを受けてヴェルニアは少し首を傾げる。
「リーフェ、じゃな? 我が母の知識にはあるが、お主と妾自信は初対面だと思うのじゃが」
「あらやだ。この町に住んでいる者でヴァーン様とその娘を知らない人がいるわけないじゃない。ヴェルニアちゃんが鍛冶場で働いているのは有名な話だし。っていうか、ヴァーン様はあたしの名前覚えてくれてるの? すっごい嬉しいんだけど」
 町人にとってヴァーンは守護神そのものだ。
 その神から記憶されているという事実に、リーフェの瞳は輝いていた。
 ヴェルニアは深く頷く。
「無論じゃろう。我が母はこの町に暮らしておる全ての人間の顔と名前を記憶しておるぞ。お主も挨拶しにいったことはあるじゃろ?」
「そりゃ、あるけど……他のみんなと一緒だったし。へー。ヴァーン様、あたしのこと覚えててくれるんだ……嬉しいな」
 話が際限なくそれていきそうだったので、フェルニールが間に割り込んだ。
「ごめんなさいね。とりあえず、席についてもいいかしら?」
「あら、ごめんなさい。もちろんどうぞ。……ところで、ヴェルニアちゃんと一緒にいるあなたは……?」
 リーフェの目には若干の警戒心が覗いていた。ヴェルニアに害を及ぼす者ではないかと警戒しているようだ。
 その警戒心から、ヴェルニアがちゃんと町人に慕われていることを知り、フェルニールは朗らかな気持ちになる。
「私はさっきヴァーン殿に挨拶してきた人外よ。サキュバスのフェルニールっていうの。暫くこの町に厄介になるからよろしく。……ヴァーン殿に頼まれて、ヴェルニアにちょっと『イイこと』を教えて欲しいって頼まれてね」
 サキュバスという種族名と、『イイこと』という言葉の言い方でリーフェは察したようだった。
「あらあら……ヴェルニアちゃんもお年頃……ってこと? なんだったらあたしが教えてあげたのに……」
 少し不満げに言うリーフェに対し、フェルニールは微笑む。
「うふふ。なんならあとであなたも混ざる? 楽しいわよ」
「ぜひ、お願いしたいわ!」
 サキュバスの誘いに乗り気なリーフェだった。望んでその手の店で働いているだけのことはある。
「御主ら、さっきから何の話をしておるんじゃ?」
 話が見えないヴェルニアは首を傾げる。
「いい話よ、ヴェルニアちゃん。……それじゃあ、こちらにどうぞ」
 それを流して、リーフェは彼女達を席に案内した。
「とりあえず、店の一番奥でいいかしら?」
「ええ。ありがとう。あとで呼ぶわね。とりあえず何か強いお酒をちょうだい」
 リーフェが了承して去っていったあと、フェルニールは席に座り、すぐ側にヴェルニアを座るように促す。
「さて……と。ヴェルニアはその手のことは全然知らないってことでいいのよね」
「うむ。全くわからん」
「ちなみに、興味を持ったきっかけは?」
「妾は夜、火の消えた竈の中で休んでおる。人にはあまり教えておらぬことじゃがな。ある日そうやって休んでおったら、灯りの消えた工房内に一組の男女が入ってきおった。最初は物盗りかと思うたが、よく見ると男の方は若手の職人じゃった」
 この時点でサキュバスは全てを把握していた。
 よく……とまでは言わないが、たまにあることだ。
「その二人はその場で性交を初めたんじゃ。それを見ていて、どんなものかと興味を持ったんじゃよ」
 フェルニールはなるほど、と頷きつつ、ひどく微妙な表情をしていた。
(なんていうか……幼子が両親の夜の営みを見ちゃった翌日に、そのことを直に聴いてきたような、なんというか……複雑な気持ちになるわねぇ……)
 人外だからそういうことは秘める物だという知識だけはあった。だから節操なしに工房の職人たちに聴くことや試してみようとすることはなかったのだろう。そう考えると、ヴェルニアが人外で良かったといえる。
(ま、あんまり衝動をため込みすぎるのも危ないし……うまく発散できるようにしてあげようかしらね)
 そう考えたフェルニールは、さっそくヴェルニアに教育を始めることにした。
「ヴェルニアは自分の体をよく観察したりはするの?」
「いや、ドラゴン形態であるのならば身繕いくらいはするがの。基本的に人化するのは人と同じ形でなければ不便な時くらいじゃ。服も職人たちに着ろと言われたからとりあえず着ているだけじゃな」
「じゃあ、自慰の経験もない? これはドラゴン形態でも人間形態でもどっちでもいいけど」
「自慰、とな?」
「……えーと、発情期とかに、自分で自分の性器を刺激したりすることなんだけど」
「ふむ。ドラゴン決まった発情期というものはないからのぅ。行為としても……ないのぅ。どちらの形態でもじゃ」
「あら、そうなんだ」
 フェルニールはいまさらながら、やっかいな案件に首を突っ込んでしまったことを察する。
 自慰の経験もないとなると中々難しいかもしれない。
「……じゃあ、とりあえず服を脱ぎましょうか」
「うむ」
 その行為の際に裸になることは記憶していたらしく、ヴェルニアはあっさりと服を脱いだ。羞恥心もなさそうなことを考え、フェルニールはとにかく刺激を与えていく方向で指導を行うことにする。自分も服を脱ぎ、素裸になる。その体には小さな翼と細長い悪魔のような尻尾が付随していた。
 そんな彼女体を見ていたヴェルニアが呟く。
「フェルニールの人化は変わっとるのぅ」
 その言葉を受け、フェルニールは首を傾げた。
「そうかしら?」
「うむ。尻尾と翼を残しておるではないか。わざわざ人化しておるのに残す必要があるとも思えないんじゃが……」
 そういってヴェルニアはフェルニールの尻尾を掴む。フェルニールはくすぐられた時のように笑いつつ、ヴェルニアの疑問に答える。
「ふふっ、本来なら、これで触れた相手の性欲を高めて、理性を失わせることが出来る力があるんだけどね」
 幼くともヴェルニアはドラゴンだった。サキュバスの魅了は全く通じないようだ。本気を出せばどうかはわからないが、あえてする必要もないのでしない。というよりはドラゴンに理性を飛ばされると、町が消える程度じゃ済まなくなる危険があるために出来ない、というのが本当のところだった。
「ヴェルニア。ちょっとこっちに」
 フェルニールは腕を伸ばしてヴェルニアを自分の方に引き寄せた。ヴェルニアはされるがまま、フェルニールの腕の中に収まる。フェルニールはヴェルニアの肩に腕を回し、その手でヴェルニアの乳房を掴んだ。掴まれたヴェルニアは、特に抵抗無くそれを受け入れる。
「うーん。全然使い込まれてない、弾力のある乳房の感覚……やっぱりいいわね」
「……フェルニール。少し、くすぐったいのじゃが」
 サキュバスの指使いで乳房を揉まれているヴェルニアは、理解はしていなくとも何かしら感じることはあるらしく、居心地が悪そうに身を捩った。それをフェルニールは押さえ込むようにやんわりと腕に力を込める。
「我慢して。その感覚に集中してみて。くすぐったいようなむずかゆいような、そんな感覚が感じられればいいの」
 しばらくフェルニールは胸の刺激に終始した。途中からは右手も動員し、両方の乳房に対して、しきりに刺激を与える。
 やがてヴェルニアの吐息に熱いものが混じるようになってきた。
 その様子を把握してフェルニールは唇の端を持ち上げる。
(いい感じの感度じゃない。これなら……)
「ヴェルニア。こっちを見て」
「んぁ……?」
 ヴェルニアが口を半開きにしてフェルニールの方を向いた瞬間、フェルニールはその唇に自分の唇を重ねていた。
「……っ!」
 彼女が驚くのが伝わってきたが、気にせずフェルニールはヴェルニアの口の中に舌を入れる。フェルニールの舌は特別長く出来ていて、ヴェルニアの口内を隅々まで嘗め尽くす。
 キスも初めてだったのか、ヴェルニアはしきりに目を瞬いていた。その滅多に見せない驚愕の表情は、彼女がどれくらい驚いたかを端的に示している。
 フェルニールはキスを続けながらも、手の動きを休めなかった。執拗に刺激を与えられたヴェルニアの乳首は、もうすっかり硬くなり、より強い快感を生み出しているに違いない。
 さらにフェルニールは尻尾を使い、最後に残ったところに刺激を与えることにした。その尻尾に宿す『性欲を高める』という効果は利かなくても、ただそれによって刺激を与えるだけで十分な効果は発揮する。
 尻尾をヴェルニアの腰に回し、足を開かせながら尻尾の先端をあの場所に触れさせる。尻尾から返ってきた感覚では、その場所はすでに十分に濡れていた。
 尻尾の先端を使い、その場所に対して刺激を加える。
「ふぁっ!」
 ヴェルニアが体を震えさせる。そして自分自身でそんな反応をしてしまったことに驚いていた。初めての経験だろうから無理もない。
「いい感じよ。他のことは気にせず、触られている部分の感覚に集中していてね」
 フェルニールはそう声をかけながら、さらにヴェルニアへの愛撫を続けた。
 ふと、そこにリーフェがお酒を持ってやってきた。絡み合う様子を見て、楽しげにお微笑む。
「楽しそうね」
 お酒を机の上に置く。フェルニールはにっこりと笑顔を返した。一端キスをやめ、ぐったりとしたヴェルニアを支えながらリーフェに向けて微笑む。
「ありがと。リーフェ。またあとでね」
「はいはい。早く呼んでちょうだいね」
 心得ているリーフェはすぐに撤収する。フェルニールは運ばれてきたお酒を口に含んだ。そして、それを口移しでヴェルニアに呑ませる。強いお酒の感覚が二人の間で共有された。フェルニールは少しだけ口を放し、半分になったそれを飲み込む。唾液も混じっているであろうそのお酒はじわりと熱を広げながら喉の奥へ落ちていった。
 同じような感覚を味わっているであろうヴェルニアは、気持ちよさそうにぞわぞわと体を震わせる。熱い吐息が口の端から零れる。サキュバスが分泌する唾液などの体液は、非常に強い媚薬となる。人であれば快感に溺れてしまうほどの効果を発揮するほどのものだ。
 ドラゴンであるヴェルニアに対しては、強い効果こそ現さなかったが、全く無意味というわけでもないようで、快感を次の段階にあげる手助けにはなっていた。ヴェルニアの舌が口の端に残った酒の味を探すように、ちろりと覗く。
 それを捕らえるように、フェルニールが再びキスをした。今度はフェルニールだけが舌を伸ばさなくても、ヴェルニアの舌が伸びてくる。人間相応の長さの舌に、フェルニールは自分の長い舌を絡め、糸を引いて唾液のやりとりを行う。熱い液体が互いの間でやりとりされる。
 フェルニールは手や尻尾も休まず動かし続けていたが、その尻尾を一端外した。愛液が糸を引いた。
「あっ……」
 思わず出たのだろう。名残惜しそうな声をヴェルニアがあげる。フェルニールはキスをやめてヴェルニアの耳元で囁く。
「自分で触って見て? 私の尻尾がやったみたいにね。表面を撫でるように……指先で触るのよ」
 その囁きに、ヴェルニアが恐る恐る自分の指を自分のそこに運ぶ。辿々しい手つきではあったが、それは自慰を初めてするのなら仕方のないことだ。ヴェルニアは尻尾を長く伸ばしてヴェルニアの胸の上下を絞り出すにしながら、さらに乳房への刺激を強めていく。尻尾によって絞り出された乳房は張りを強め、結果として触れられる快感も強まっていた。
 フェルニールはヴェルニアの首筋を嘗める。敏感な肌を刺激され、そして湿らされたことで、わずかな空気の動きさえも感じてしまうほど感覚が研ぎ澄まされた。
「ふぁっ、ひゃう……っ」
「だいぶいいみたいね。ふふっ……可愛いわよ」
 フェルニールはそういってヴェルニアの乳首にキスを落とした。そこはとうの昔に硬くなっていて、綺麗なピンク色を際だたせている。
「さてと……それじゃあそろそろ一度絶頂というものも味わってもらうわね」
 ヴェルニアが自分でイジっている箇所に、フェルニールも手を添える。その狙いはラビアではなく、クリトリスだった。いまだに姿を現していないが、フェルニールは経験上すでにそこの準備も整っていることを知っていた。これまでの愛撫であえて重点的に狙わなかったのは、ひとまずの最後の締めに、ヴェルニアを一気に絶頂へと導くためだった。
 フェルニールの指がその場所に触れる。それと同時に、ヴェルニアは大きく体を跳ねさせた。
「ひゃ!? にっ、ふぁっ?」
 舌が回らないのか、意味不明の声をあげるヴェルニア。フェルニールはそんな彼女を微笑ましく思いつつ、そこへの刺激を強めた。
「~~っ!」
 突如わき上がる強い快感を抑えようとしているのか、ヴェルニアの体が硬くなって痙攣する。それに対し、フェルニールは優しく解きほぐすようにもう片方の手で乳房を撫で、舌を使って背筋を舐め上げた。色んなところから生じる多種多様な快感にヴェルニアは翻弄されて悶える。一瞬体の硬直が緩んだのをフェルニールは見逃さなかった。
 素早くクリトリスの包皮を剥き、中身を露わにするとそれを指先で優しく摘み擦り上げる。
「ひぎっ、ッ――――!!」
 ヴェルニアの体が一瞬大きく震え、仰け反って声無き絶頂を迎える。
 しばらくして力を失ったヴェルニアの体は、ぐったりとしていた。
「初めての絶頂おめでとう。気持ちよかったかしら?」
 優しく頭を撫でながら、ヴェルニアにそう呼びかける。初めての絶頂に疲れているようだったが、さすがにドラゴンだけあってその回復は早かった。
「……なんというか……不思議な心地じゃったな」
「人間の中にはこれがあまりにも気持ち良すぎて、廃人同然になっちゃう人もいるのよ。昔はサキュバスとかの淫魔がそれを助長してたこともあったけど……最近はあまりしないわね」
「今はせんのか? 人間が学習したとか、かのぅ?」
 いつも人間と暮らしているだけあって、人間に対して好意的な見方だとフェルニールは思った。そうだったらいいんだけどね、と前置きしてから言う。
「サキュバスの方がグルメになっちゃって、常に快感に漬かっているよりも、むしろ普段は全然そういうのに関係してなくて、するときだけ一気に乱れる人間の性欲の方が美味しい、って風潮になってるの。まあ、味の流行みたいなものかしら」
「そうなのか……よくわからんの」
 あっさり言われてフェルニールは苦笑せざるを得なかった。
「ま、好みもあるけどね……っと」
 フェルニールは店員のリーフェを呼ぶ。リーフェはいそいそと近づいてきた。
「やっとかしら? 待ちかねたわよー」
「うふふ、待たせてごめんなさい。今日は一晩中楽しみましょうか」
 そういってフェルニールはリーフェにも服を脱いで混ざるように言う。早速服を脱いで裸になったリーフェを交え、ヴェルニアに対する性交の教えは続いた。
 
 
 
 
『人外による人外のための人間式性交講座』 終
 
 
 
 

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