FC2ブログ
  1. Top
  2. » スポンサー広告
  3. » 『望み』シリーズ
  4. » ~天使空間~
  5. » 『あなたの望み、叶えます』 ~天使空間~ 第十章 前編

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • ジャンル :

『あなたの望み、叶えます』 ~天使空間~ 第十章 前編

『あなたの望み、叶えます』~天使空間~ 第十章 前編 です。
MC・常識変換・奴隷化・ペット化が含まれます。

それでは、続きからどうぞ。
 
 
 
『あなたの望み、叶えます』 ~天使空間~ 第十章 前編
 


 どれくらいの時間が経っただろうか――車に乗せられて数時間は経ったと思う。
 走り続けていた車が止まり、ドアが開かれる音が聞こえてきた。ほどなくして、背面のドアが開かれ、カメラがまた私を捉えていた。
 身を竦ませる私に構わず、スタッフの人達が私の入っている檻を協力して持ち上げ、車から降ろす。
(また、始まるのね……)
 すでに散々な目に合わされているというのに、まだ悪夢は続くらしい。車の中で何度夢なら覚めて欲しいと願っただろうか。こういう悪夢に限って、全然目を覚ます気配がない。
 檻の扉が開かれ、麻貴の手が伸びて来て、私の首に巻かれている首輪にリードを取りつける。
「さあ、ついたわよルルちゃん。出て来てちょうだい」
 この状況に異常を感じていない麻貴は相変わらずだった。あまりにも自然すぎる態度を見ていると、私の方がおかしくなってしまったのかと思ってしまう。
 そんなわけがないことはわかっているけど、いまの私は疲れ切っていて、何がなんだかよくわからなくなっていた。
 リードを引かれて檻から出ると、また次々フラッシュが瞬く。二度目だから驚きこそしなかったけど、撮影されているということに対する羞恥心は消えてなくなることがない。
「さ、行きましょう、ルルちゃん。天使の館に」
 私は麻貴の声に導かれ、地面に落としていた視線を上げた。するとそこには、極普通の一軒家があった。
(これが……天使の館?)
 この家のどこが天使の館なのだろうか、と考えていると、その家の玄関が開いて、一人の女の子が顔を覗かせた。アイドル並みに整った顔立ちをした子だ。
 その子はテレビカメラや私の姿を見つけると、笑顔を浮かべて近づいて来た。
「いらっしゃいませ! 天使の館にようこそ! お待ちしてました!」
 どうやら出迎えに出てきたようで、その子は私の傍に来ると、しゃがみこんで視線を合わせてくる。
「テレビで見るよりずっと可愛いですね! いらっしゃい、ルルちゃん」
 犬にするのと同じ視線と態度で、その子は私の頭を撫でてくる。振り払いたかったけど、麻貴が「待て、よ。ルルちゃん」と命令してきたので体を動かせなかった。
 ひとしきり私の頭を撫でた女の子は、麻貴の方に笑顔を向ける。
「ご主人様もお待ちしてました。今日と言う日を楽しみにしていらしたんですよ」
「お待たせして申し訳ありませんでした。今日はどうぞお楽しみください」
「はい。それではここからは私がリードを持って行きますね」
「宜しくお願いします」
 私に対することなのに、私を無視して私の頭上で交わされる会話。まるで犬のような――実際、犬そのものの扱いを受けてるけど――気分だった。
 リードが麻貴から見知らぬ女の子に渡る。私は良く知りもしない相手にリードを握られているという事実に、言いようのない不安を覚えた。あるいはもしかしたら、飼い主ではない人にリードを握られた犬というのはこんな気分なのかも、とそう思いかけた私は慌てて首を横に振る。
(私は、何を考えてるの……っ。そんな、犬の気持ちなんてわかるわけないっ)
 犬のような姿にされたからと言って、心まで犬になることはない、はず。
 私は自分が覚えた自分の感情に、背筋が凍るような恐怖を覚えていた。身も心も、犬にされてしまいそうな、なってしまいそうな恐怖。
 その恐怖はじりじりと私の心を侵食していた。
 女の子は私のリードを引いて、家の方へと連れて行こうとする。
「ここが天使の館です。ルルちゃんがこれから住むことになる家ですよ。早く慣れてくださいね」
 彼女の言葉に、私は血の気が引く想いだった。これから住む、ということは、四六時中こうやって犬として扱われるということを示している。人間である私がそんなことに耐えられるわけなかった。
 逃げ出したかったけど、女の子はしっかりとリードを握っているので逃げられそうにない。
 この先に何が待ち構えているのか。恐怖だけを感じながら、私はその家へと入って行った。

 そして、私は絶望を知る。
 
 
 
 
 天使の館の中は綺麗に掃除が行き届いていて、まるでモデルルームか何かのような輝きっぷりだった。
 よほど掃除をしている人の腕がいいんだろうとぼんやり思う。私の家では家事に関してはハイスペック極まりないお母さんがいたからそれほど違和感は抱かなかったけど、ついてきているテレビ局のクルー達は感心しているのがその様子で伝わって来る。
「っと、家に上がる前に……」
 家に上がりかけた女の子が何かを思い出したのか、私をその場に留めて玄関収納を開けた。暫くごそごそする音が聞こえたかと思うと、その手に柔らかそうな布を持っていた。
 そして私の傍にしゃがみこみ、右腕を掴んでくる。
「手を上げてください」
 短い間とはいえ、地面に直接四つん這いになっていた私の手は汚れていた。それを彼女は拭いてくれる。まず掌を拭かれて次に膝小僧から足の指まで丁寧に拭う。
 そういえば、いままで意識出来ていなかったけど、地面に直接手や足を付いていた割には私の肌には掠り傷一つなかった。テレビ局の廊下やロビーとかはともかく、コンクリート敷きの道路を四つん這いで歩いてよく怪我しなかったものだと感心する。それは多分、ただ運が良かったというわけじゃないんだろけど。
 私のて足を拭いてくれた女の子は、再びリードを引いて私を家の中へと案内する。
 とある部屋の前で、女の子は立ち止まった。手で軽く三回ノックを行う。
「ご主人様。ルルちゃんが到着いたしました」
「入っていいぞ」
 男の人の、声。それを確認した女の子が部屋のドアを開ける。
 そこは、どうやら書斎みたいだった。部屋のほとんどが本で埋まっていて、机は席に着くと入口側を向くように椅子が用意されている。つまり、そこに座っている人と、部屋に入ろうとする者が向きあう形になるわけだ。だから、私は見た。そこに座っている人が、笑っているのを。はっきりと。
「ようこそ、天使の館へ――三奈崎ルル、歓迎するぞ」
 どこにでもいそうな、平凡な容姿の男。だけど、私はその男の笑い方を見て、何故か直感していた。
 こいつが黒幕だと。
 わけのわからない現象も、状況も、おかしくなった麻貴や他のスタッフ達も全部、こいつがやったのだと直感した。こいつのせいで、何もかもおかしくなったんだと。それは、その男の浮かべている笑みが『客を歓迎する』笑みではなく、『この状況を楽しんでいる』笑みだったからだ。私の姿や状況を異常だとわかっていて、それでいて、それを楽しんでいる。最悪の存在だとわかった。
 こいつが全ての元凶。
「……ウウゥーッ」
 そう感じ、敵意を向けた時、私の喉は勝手に唸り声をあげていた。尻尾の毛が逆立ち、耳が天を向くのを感じる。それはきっと、獣が怒り狂う時の姿に良く似ていたと思う。
 男はそんな私の様子を見てか、笑顔を少しだけ収めた。
「くくく……不満そうな顔だな、三奈崎ルル。気の強いことだ。恐れではなく、怒りが先に立つとはな」
 そんな言葉を放つ時点で、直感は確信に変わった。
「ぐるる……ッ」
 殺してやりたい。そんな殺意を人に抱くことがあるなんて思わなかった。私は性格上、人と衝突を繰り返すタイプなので、激しい怒りや腹が煮え繰り返るような苛立ちを人に向かって抱いたことは数え切れないほどある。けどそれもあくまで怒りや苛立ちの範囲で、殺意にまで昇華することはなかった。
 初めての殺意を存分に向けていると、その男がにやりと笑った。椅子から立ち上がり、机の前に移動しながら口を開く。
「おい、綾歌。リードを外してやれ」
 突然の言葉に、リードを握る女の子――綾歌というらしい――が驚く。
「いいんですか?」
「構わん」
 何のつもりかわからなかった。それは綾歌という子も一緒だったのか、首を傾げながらも私の首輪からリードを外す。
 男はその間に、なぜかズボンを脱ぎだしていた。下着まで降ろし、その股間にある変なものを露わにする。以前、私を付け狙っていた露出狂の変質者のことを思い出し、私の背筋に悪寒が走る。男はそんな私の顔を見てか、楽しそうな笑みを浮かべながら股間にそそり立つそれを指差した。
「ルル、こいつを舐めろ」
 こともなげに、男は最低の命令を口にする。
「……ッ!」
 息が止まるかと思った。男はにやにやとした気持ち悪い笑みで私の反応を見ている。
「ほら、ご主人様の命令だよ。早く行って」
 私の隣に立つ綾歌がそんなことを口にする。
 そんなこと、出来るわけがない。私は殺意をさらに強めて男を睨み続けた。男は余裕綽々の態度で、綾歌の方に向いて言う。
「待て、綾歌。ルルはきっとフェラチオというものを知らないんだよ。元アイドルだしな」
 だから、と男は続ける。
「まずはお前が手本を見せてやれ」
「あ、はい。わかりました。……そっか、初めてだったらわからないもんね」
 しょうがないなぁ、とまるで子供に教える先生のように、綾歌は優しい笑顔を浮かべて私に言う。
「それじゃあ、ちょっと見ててね」
 そんな優しい笑顔が何よりも異常だった。
 楚々とした足取りで男の前に膝をついた綾歌が、愛おしげな手つきで男のそそりたつそれを手にする。
「失礼します」
 そう一言断ったかと思うと、口を開いてそのものを口の中に含んだ。思わず嫌悪感で顔を顰めてしまった私に対し、綾歌の方は当たり前と言わんばかりの態度でそれを口に含んでいる。
「ん……っ、さすがは綾歌だ。しかし今日はいつもにも増して気持ちいいな……テレビが来てるからか?」
 男が笑いながら綾歌の頭を撫で、綾歌はそれを嬉しそうに受け入れている。どうやっているのかもわからないけど、無理やり変えてしまっているくせに、よくそんな風に当然だといった態度が取れるものだと、私は男に対する嫌悪感から明後日の方向に目を逸らした。
 それに気付いた男が溜息を吐く。
「おいおい、綾歌はお前のために見せてやってるんだぜ? こっちを見ろ」
 命令は、まるで呪縛のように私の心に染み込んで来た。リードを握られている時は絶対に逆らえなかったけど、いまはそうじゃない。ただ、自然と「見なければ」という気持ちが高まってしまっていた。
 見たくないのに、見なければならない。そんな矛盾した感情が同時に湧き出して来て、気持ちが悪い。
 それでも暫くは耐えていたけど、ついにそれに屈して、視線を二人の方に向け直してしまった。
 すると、二人はいつのまに体勢を変えたのか、綾歌が男のそれを咥え込んでいるのが良く見えるように、私に対して横を向いていた。すぼめた口で綾歌は男のそれを根元まで咥え込んでいる。頭を上下させ、全体に刺激を与えられるようにしていた。
「はははっ、どうだルル。これがフェラチオって奴だ。実際に見るのは初めてだろう?」
 楽しげに笑いながら男が私に向けてそれをことさらに示して来る。私はおぞましい行為を見せ付けられて吐きそうなくらい気分が悪かった。変質者に迫られた時のことを思い出す。
 やがて暫くして綾歌の動きが止まり、代わりにその喉が嚥下しているのがわかった。何を呑みこんでいるのか――それは、聴かなくてもわかる。
 その後、口の中で何かやった後、綾歌がようやく男のものから口を離した。唾液が糸を引いて垂れるのを、綾歌は手を使って拭う。そそり立っていた時よりも若干サイズの小さくなった男のそれは、それでもまだ元気に勃とうとしていた。
 わかっていたけど、恐れていた命令が来る。
「さて、それじゃあ今度はルルの番だ。こっちに来い」
 逃げられない。
 命令を投げかけられた私は覚悟を決めた。けど、ただ言われるがままになる私じゃない。
 こうなったら、せめて一矢報ってやるつもりだった。
 
 具体的には――男のそれを、食いちぎってやる。
 
 私はそう決心して、男に近づいて行った。大人しく命令に従うのは男の想定通りなのか、不敵な余裕の笑みを浮かべて男は待ち構えている。その余裕の笑みを打ち砕いてやる。その後たぶん私は酷い目にあわされるだろう。ひょっとしたら殺されるかもしれない。けれど、もう私は散々酷い目にあわされてきた。あれより酷いことがあるとは思えない。殺されたって構わない。こんな風に、犬としてずっと辱めを受けるくらいなら、その方が数段マシだ。
 けど、男の目の前まで近づき、改めてその男の人独特のそれを見ると、気持ち悪くて決意が鈍る。逃げ出したくなる。いきなり噛みつくのは無理だった。
「おっと。ちょっと待て」
 突然男がそういったかと思うと、机の上に置かれていたリモコンを操作して、壁際にあったテレビの電源を付ける。一拍置いて、番組が流れ出し、私は思わず硬直した。
 そのテレビの中には、いままさに自分の状況が映し出されていたのだ。とある部屋の中で、下半身を丸出しにした男と、その前に四つん這いで座り込んでいる裸の私。お尻に挿された尻尾と、首に巻き付いている無骨な首輪。そして頭の上に犬耳があったけど、確かにそれは私の姿だった。テレビ画面の右斜め上には番組のコーナー名なのか、『犬になったルル、初めての芸に挑戦!』なんて下らない言葉が表示されている。改めて自分の痴態が全国放送されている事実を突き付けられ、私は気が遠くなりそうだった。
『さて、ルルちゃんがいよいよ芸に挑戦するわけですが、どうでしょうね?』
『んー、まだ動きが硬いよねぇ。もっと喜び勇んで飛び付くくらいじゃないと……』
 司会者の勝手な声がスピーカーから流れている。全てをこんな風に解説されていたのかと思うと、本当に死にたくなってきた。その元凶である男は何か手元で弄っているようだった。それが何かは、直接でもテレビ画面の中でもわからない。
『そういえばですね、番組プレゼントのアイドル達はこのフェラチオと言う芸を最初か――』
 その時。
『――というわけで、この芸は舌の動きにポイントがあるわけ』
『へー、なるほど。勉強になりますね』
 相変わらずの変な解説が続いているみたいだったけど、私はそこに違和感を覚える。
 いま、何かがおかしかった。まるで時間が跳んだみたいに、司会者達の話題も変わっている。
(……?)
 奇妙な違和感の正体を突き止める前に、目の前に立つ男が声を投げかけてくる。
「そろそろ覚悟は決まったか? ルル」
 男のそれはいつの間にか再び最大限に膨れ上がっていた。
 そして、命令が口にされる。
「咥えろ」
 命令を言われたことで、私は改めて決心を固める。
(覚悟……しなさいよ……っ)
 苦しみに悶えさせてやるつもりで、私は気を引き締め、ゆっくりと体を起して男のそれに顔を近づけて行く。もっと生臭い臭いがするかと思ったけど、思ったよりはましだった。一度綾歌が舐めていたからかもしれない。
 そそり立つそれをこんな近くにするのはもちろん初めてのことで、つい怯んでしまう。男はそんな私の反応すら楽しんでいるかのように、笑みを浮かべていた。
「ほれ、どうした。さっさと咥えろよ」
 命令に従わなければならないという想いがさらに強まる。私はそれを自覚しつつ、それ以上の敵意で男を睨み付けた。
(そんな命令を出したことを……後悔しなさい……っ) 
 私は大きく口を開けて、なるべく口の中にそれが触れないようにして咥え込む。気持ち悪くて頭痛がした。
「おい、ちゃんと舌を使って、口全体で俺のもんをしゃぶれよ」
 薄笑いを浮かべた男の言葉。
 私は覚悟を決めた。本当は触れるのも嫌だけど、こうなったらもう一瞬で決めるしかない。
「ふぅぅ……ッ、あぁッ!」
 唸り声を上げ、私は『渾身の力で男のそれに歯を立てた』。
「んっ、ぁ……ッ、うぉ……!」
 男が『苦しげな』呻き声を上げる。けど、顎の力が足りないのか、男のそれは喰い千切れなかった。けど、激痛は味わっているはずだ。私は『さらに力を込めて歯を突き立てる』。
 男の腰がぴくりと跳ねた。
「ぬおぉ……っ、中々、やるじゃねぇか……っ」
 まるで余裕だと言わんばかりの男の言葉に、私は苛立つ。
(強がりを……ッ、これなら、どう!?)
 私は頭を『左右に』振り、食い千切ろうとする動きをさらに強めた。さすがにこれには耐えれないだろうと思ったのに、男は呻くばかりでそれ以上痛がらない。
 けれど、確実に限界は近づいているはずだった。それは男の放つ言葉に表れている。
「うぉっ、それ、やべぇっ」
(いまさら謝ったって、許さないんだから!)
 『さらに力を込めて頭を左右に』振る。男がどんどん追い詰められているのがわかった。
(私が味わった苦痛の何十分の一でも味わえ!)
 トドメとばかりに、思いっきり『歯を立てる』――突然、苦い味が口の中に広がった。
「ぅ、っ、く、ふぅ!?」
 喉の奥にまで迸ったそれは、凄まじく生臭さを伴って口の中に広がる。溜まらず私は男のものから口を離し、激しく咳き込んだ。
「げっ、げほっ、げぇっ!」
 外聞なんて考えている余裕もなく、口内に迸ったそれを吐きだす。それは白い液体だった。
(なに……これ……っ?)
 咳き込み過ぎて苦しい。涙が滲む。
 そんな私を見下ろしている男が、大きく息を吐いた。
「ふーっ。驚いたな。まさかこれほどとは……つくづく、俺は運が良い」
 苦しがっていたはずの男は、まるでなんともなかったかのような態度だった。苦しみながらも、私は男を睨み上げる。男は下着とズボンを履き直しながら口を開いた。
「ふふ……腑に落ちないという顔だな。それはそうだろうさ。恐らくお前は、俺に危害を加えるつもりで俺のを咥えたんだろ?」
 心臓が、跳ねる。こちらの敵意に気付いていたという。それなのに、なぜ。
 疑問符を浮かべる私に対し、男は得意げな顔で説明を始めた。
「簡単に言うとだな……認識をすり替えたのさ。お前は噛み千切るくらいのつもりだったんだろうが、その前に『噛みつく』という行為を『舐める』という行為にすり替えておいた。つまり、お前が力の限り噛み千切ろうとする行為は、全力で俺のものを舐めあげる行為にかわっていたわけだ」
 そんな、馬鹿な。
 信じられない私に対し、男はテレビ画面を指差す。そこではリプレイ映像が流れていた。その映像では、私が男のものを口に含み、懸命に舐めあげているのが外面からでもわかった。私は確かに歯を立てていたはずなのに、実際にやった行為は恥じらいも何もない、卑猥な行動だった。
 茫然としている私の前で、男は楽しげに笑っていた。
「俺が危害を加えられる可能性を見逃すわけないだろう。特にお前は気が強いってことを良く知っているからなぁ」
 確かに、私は元々気が強すぎて、もう少し大人しく振る舞えないものかと、麻貴がマネージャーだった頃から言われていた。
 だから男が私のことを知っていて、その対策を取っていたとしても何の不思議もないのだけど……なんだろう。何か、妙な感じがする。
 いいように弄ばれた屈辱を強く感じると共に、違和感はさらに増していた。何か、とんでもないことがまだ潜んでいる気がした。
 不意に、男が話題を変える。
「ところで……フェラチオ自体は想像以上に良かったが、こんな風に撒き散らして、いいと思ってないよな?」
 男の指が示す先には私が吐き出してしまった白い液体が零れている。
 それがどうしたというのだろうか。大体、あんな生臭いものを呑みこめるわけがない。
 反抗心を込めて男を見上げると、男は実にいい笑顔を浮かべていた。こちらの背筋が凍るほどに。
「汚したんだから、綺麗にしろよ?」
 要求自体はそんなに無茶なことではなかったけど。
「もちろん、犬は手が使えないから……舌でな」
 方法は、最低極まりなかった。
「うぅ……っ!」
 この男は床を舐めろと言っている。モデルルームになってもおかしくないくらいに綺麗に掃除が行き届いているとはいえ、床を舐めろと。
 それがどれほど人格を無視した最低の命令なのか、この男はわかって言っている。改めてこの男に対する敵意が燃え上がった。
「次のイベントもあるんだ。さっさとしろ」
 男の冷徹な声が私を動かす。体が無理やり動くと言うわけではなく、そうしなければならないと思わされるのが私にとっては辛かった。心の中を無理やり捻じ曲げられている嫌悪感が凄まじい。
(嫌……なのに……!)
 私は床に落ちた白い物に顔を近づけ、舌を伸ばす。生臭いニオイが鼻を突く。意を決して舌でなめると、苦みが一気に広がって、また吐き出しそうになってしまう。それを気合いで何とか堪えて、床に散らばったそれを舐め取っていく。
 屈辱しかない掃除を進めていると、不意に小声で男が呟いた。
「しかし……やっぱり似た者同士なんだな」
 私はその言葉の意味がわからなかった。けれど、嫌な予感はした。それを振り払うために、掃除の方に集中する。
 数分後、何度も履き戻しそうになりながらも掃除が終わった。床ギリギリまで顔を近づけるという苦しい姿勢でずっと動いていた私の呼吸は完全にあがってしまい、荒い呼吸が犬のように聞こえて恥ずかしかった。
 男は掃除が終わったのを見ると、私の目の前で腰を落とし、両手を使って私の頭を撫でてくる。犬を撫でまわす時のように、髪の毛を掻き回された。
「よーしよし。中々手際ならぬ舌際が良かったぞ。フェラチオの時も思ったけど、やっぱお前犬の才能あるぜ」
(全然嬉しくない!)
 そう心の中で叫んだ私だったけど、理性とは違う心の別のところが喜びを感じていることに嫌でも気付かされた。『犬扱いに』というわけじゃなく、『飼い主に褒められることに』だ。それはまさに犬の心情とも言えるべきもので、私は変わってしまいかけている自分の心にこそ恐怖を覚えていた。
 撫でまわすことに満足したのか、男が私から離れる。
「さて……それじゃあそろそろ次のイベントに行こうか。ついてこい」
 男はそう言って私の横を通り抜け、部屋から出て行く。
 その背中について行きながら、次はどんな辱めを受けるのか想像したくもないのに、想像してしまっていた。
 男が足を止めたのは、廊下の一角。あにやら白いシートのような物が無造作に置かれている場所だった。
「よし。ルル、これが何かわかるか?」
 絨毯にしては小さすぎるし、そもそも材質が違う。滑り止めにしては変な場所だし、固定されていないので簡単に動いてしまうだろう。
 私の持つ知識ではそれがなんなのかわからなかった。それを私の表情から悟ったのか、男は唇の端に笑みを浮かべながら言う。
「これはな――お前の室内用トイレだよ」
 ぞわり、と背筋が泡立つ。戦慄というのも生ぬるい、物理的に背筋を舐めあげられたかのような悪寒の塊が背中を滑り落ちた。
 こんなトイレでもなく、囲いさえないところで、用をたせとこの男は言っているのだ。それがどれほど鬼畜な所業か。男はきっと、わかってやっている。
「さ、練習だ。安心しろ。このシートは特別製でな。人間の尿だって簡単に吸収してしまう。しかも何度使っても汚れない優れモノだ。こんなにいいトイレを使わせてもらっている犬なんて、世界でルルだけだろう」
 破格の待遇だろう?とでも言いたげな男に、改めて殺意が湧いた。
 けれど私にはどうすることも出来ない。
「うぅ~っ! うわぁうっ!」
 せめてもの抵抗で唸り声を上げるが、男は意に介さず、私をそのシートの上に導いた。お座りの時と同じような、腰を落とした姿勢で大きく股を開かされ、それだけで私は死んでしまいたくなった。
「まだ出すなよ? ……カメラさん! 映しやすいようにこっち来て!」
 呼ばれたカメラマンが私の前に陣取り、腰を落として私のそこをアップにする。改めてカメラの存在を意識させられて、私は羞恥で顔が燃え上がりそうだった。しかも今回は目の前から至近距離で一番恥ずかしいところを捉えられているのだ。恥ずかしくないわけがない。
 男がいつの間にか私の横に立っていて、私の首輪にリードを付ける。
「普通に命じると時間かかりそうだからな。これでさっさと進めるぜ」
(ああ……ッ、や、やめて……っ!)
 思わず私はリードを握る男に対し、無駄な懇願をしていた。見上げた先で男はリードをしっかりと握りしめて、こちらの様子をしっかり観察しながら口を開く。
「ルル。その場で排泄しろ」
(やめて――――ッ!!)
 心がどれほど嫌がっても、男にリードを握られている以上、身体は勝手に動いてしまう。あそこが緩まるのが感じられた。
 一拍の間もなく尿が排出されて、足元のシーツに広がって行く。こんなところで、見られながら、撮影されながら、排泄してる。
 気が狂いそうなほどに恥ずかしかった。気が狂えたら、逆に幸せだったかもしれない。
「あっ、あぅっ、ふぅ~」
 恥ずかしさと情けなさ、悔しさと怒り。色んな感情が胸中で渦巻いていた。胸が張り裂けそうなほどの勢いでその感情は畝っていた。
 徐々に収まってきた尿の勢いに、ようやく終わった、と安心する間もない。
「ふ、ぅ――っ!? あっ、ああっ、わぅぅ!!」
 その感触は間違いない。焦り以上に凄まじい恐怖が私の胸を焦がす。
 私の様子が変わったことに男が気付き、その理由にもすぐ思い至ったようだ。
「あー。そうか、そうだな。あの言い方じゃ、そっちも含むよなぁ」
「わぅう! わうっ!」
 早く止めて欲しくて、私は叫ぶ。けれど男は冷静だった。
 私のすぐ傍にしゃがみこんだかと思うと、こともなげにそこに刺さっていた尻尾を抜いてしまう。
「今度からは外でやるように。今回はまぁ、せっかくテレビもいることだし、やっちゃいな?」
「わあぅーッ!!」
 そして私は、人間として最高に恥ずかしい、最低な行いをテレビカメラの前でしてしまった。
 これ以上に死にたいと思うことはないだろう。
 匂いこそ、人並み以下だったけど、することはする。やってしまえと言った男もさすがに顔を顰めていた。
「やれやれ……仕方ないな。片付けてもらわないと」
 そう言って男が何かの合図をする。家政婦でも呼ぶ合図だろうか、と私は茫然自失の心中のまま、何となく思った。ちなみにした後のお尻は、綾歌が拭いてくれていた。そのあとで尻尾も再度挿し込まれた。最初の時ほど抵抗する気が起きなかったのは、嫌じゃなくなったわけではもちろんなく、気力や体力が根こそぎ奪われていたからだ。
 そうこうしている間に、誰かが近づいて来た。
「悪いけど、その子がシートの上に出しちゃったものを片付けてくれる?」
 出させたくせに、出しちゃったとは本当に最低の男だ。
 そう思った私の耳に。
「わかりました。掃除は任せてください」
 信じられない声が響いた。
 俯けていた顔を思わず上げるとそこには、聞こえた声の通り――

 私のお母さんが、いた。
 
 
 
 
『あなたの望み、叶えます』~天使空間~ 第十章 後編に続く
 
 
 
 

Comment

No.900 / [#] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013-02/04 22:34 (Mon)

No.901 / Torainu [#CNtCm3fU]

執筆ご苦労様です

体が勝手に動いてしまう、特に排泄をしてしまうというのは、非常に面白いですね
それまで何ともなかったのに、急に出したくなってしまうのですから

抵抗しつつも、少し犬になりかけている、さらにそれを自覚していることの表\現が、大変上手だなと思いました
精神をいじらない限り、無理やりやらされる時に葛藤が生まれ、それを自分で客観的に見ることはできるものです
よりリアリティが出ていると思います

そして、ついに来ましたね、母親との対面
次の話も楽しみにしています!

2013-02/04 23:10 (Mon) 編集

No.902 / 疾風 [#ew5YwdUc] 感想です

 ついにルルちゃん,「天使の家」に入りましたね。まあ,彼女にしてみれば,「天使」どころか「悪魔の家」でしょうが。
 今はまだ反抗的なルルちゃんですが,お母さんとの再会と,その反応が切欠となり屈服するか,それとも反抗を続けるのか。どちらにしろ後数時間で強制的に犬になるのでしょうが,どんな形で犬になるのか,楽しみです。ただ,人として,娘として彼女が迎える最後の刻は,お母さんとちゃんとしたお別れを,出来ればカメラの前でしてほしいなと思いました。
 きっと,感動的なシーンとなるでしょうね。

 後,犬になった後のルルちゃんにも興味があります。普通の雌犬のように発情期があるのか,年中発情期となるのか。雄犬も一緒に飼われ番となるのか,お見合いにより交配相手を探すことになるのか。興味はつきません。

 それでは長々と失礼しました。

2013-02/04 23:13 (Mon) 編集

No.903 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

Torainuさん、いつもコメントありがとうございます!

> 体が勝手に動いて~
実際そうなると中々に恐怖でしょうね。身体が勝手に動くというのは。
そういう話をよく書く私がいうのもなんですが(笑)
排泄を支配されるというのは、ある意味もっとも屈辱的で効果的な支配力の現れかもしれません。

> 抵抗しつつも、少し犬になりかけている、さらにそれを~
こちらの意図をくみ取ってくださってありがとうございます。
少しずつ犬らしくなっていくのを上手く表現できていたなら幸いです。
一瞬で犬へと変えてしまうのもおつなものですが、こういうのもまたいいと思います。

> そして、ついに~
来ちゃいました、母親との対面。
ここでどう書くべきか……大まかには決めているのですが、どうなるかは実際書いてみないとわかりません。
楽しんで頂けるよう、最後まで書き切りたいと思います。

それでは、どうもありがとうございました!

2013-02/05 00:34 (Tue)

No.904 / 光ノ影 [#-] Re: 感想です

疾風さん、いつもコメントありがとうございます。

> ついにルルちゃん,「天使の家」に~
彼女からすればそうでしょうね。悪魔というか悪夢というか。とても天使の館だとは思えないに違いありません。

> 今はまだ反抗的なルルちゃんですが~
ペットとしてはまだ躾がちゃんとされていないので反抗的なのは仕方ないかな、と思っています(笑)
母親との再会がどう転がるのか……それは次回のお楽しみです。……ただ、あまり皆さんが想像しているようなものにはならないかもしれません。悪い意味か良い意味でかは実際更新した後の反応を見ないといけませんが……(汗)
失望されないように頑張ります。

> 後,犬になった後の~
獣に発情期はつきものですよね~(笑)
人間は万年発情期みたいなものなので、そうするべきか、それとも犬のように決まった周期で起きさせるべきか……その辺りは実はまだ悩んでたりします。実際に書くときにどっちの設定か、それ以外の設定にするのかを決めたいと思います。
いずれにせよ、楽しんで頂けるように頑張りますね。

それでは、どうもありがとうございました!


>
>  それでは長々と失礼しました。

2013-02/05 00:40 (Tue)

Comment Form
コメントの投稿
HTMLタグは使用できません
ID生成と編集に使用します
管理者にだけ表示を許可する

Page Top

Trackback

Trackback URL

http://kuroitukihikari.blog60.fc2.com/tb.php/290-47871b61

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Page Top

カウンター
投稿先サイト
『小説家になろう』ノクターンノベルズ
(ユーザーページに飛びます)
運営サイト
暁月夜色
 どんなジャンルでもOKな投稿小説サイトです。お知らせには必ず目を通してください。

黎明境界
 自己満足小説の展示サイトです。
 注意事項には必ず目を通してください。
 以下、連載中の作品概要


『私の名前はまだない』
(MC物、ペット化、女性視点)
(最終更新日:2013/12/07)

『思い通りになる世界 ~forガール~』
(カオスジャンル、世界改変系)
(最終更新日:2016/02/28)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
プロフィール

光ノ影

Author:光ノ影

連絡先は kuroitukinokage×yahoo.co.jp (×を@にしてください)

つぶやき
作品紹介
検索フォーム
FC2アクセス解析
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。