FC2ブログ
  1. Top
  2. » スポンサー広告
  3. » 『思い通りになる世界』
  4. » 外伝
  5. » 『思い通りになる世界・外伝』 ~つづきも喫茶店~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • ジャンル :

『思い通りになる世界・外伝』 ~つづきも喫茶店~

50万ヒット記念50本リクエスト
№07『思い通りになる世界・外伝 ~はじまりは喫茶店~ の主人公のその後のお話』です。

(記事のカテゴリを『50万ヒット』か『外伝』かどっちにするか迷いましたが、『外伝』の方で登録してあります)

それでは、続きからどうぞ。
 
 
 
『思い通りになる世界 外伝』 ~つづきも喫茶店~
 


 ぐちゃぐちゃ、と卑猥な水音がその店内に響いていた。
 極々普通の喫茶店の一角、四人がけのテーブル席の上で、一人のウェイトレスが全裸で寝転んでいる。
「んぁっ、はっ、あっ、ああっ」
 その膣にはペニスが何度も出入りし、感じていることを示す愛液の量が半端じゃないことになっていた。
 鈴の鳴るような声で嬌声を上げるそのウェイトレスを犯している青年は、彼女を犯しながらも手に雑誌を持って、その記事を読んでいた。まるで読書の際にコーヒーを呑むように、行っていることのついでとしてウェイトレスを犯している。この店は極普通の喫茶店であり、そんなことが許されるような場所ではないことは誰が見ても一目瞭然だった。
 けれども、誰も問題にしないし、誰も騒ぎ立てない。犯されている当人が嫌がっていないのだから、他の誰かがどうこう言うことはなかった。
 ただ、それはあくまでも『店の常識』に沿うものであって、『元の常識』からすればそれは異常な行為以外の何物でもない。
 もっとも、その行為が異常であると認識出来るのは、この場ではたった一人しかいないのだ。
 見るとはなしにその異常な光景を眺めていた僕は、別のウェイトレスが注文したコーヒーを持ってきたことで、ようやくその光景から視線を外すことが出来た。
「お待たせしました」
 そのウェイトレスは当たり前のように服を身に付けており、至って普通の様子だったけど、現在進行形で犯されている向こうのウェイトレスに何も思っていないということがすでに異常だった。
「ありがとう。ねえ、向こうでやってる特別メニューだけど……」
 僕がそう口にしかけると、そのウェイトレスは申し訳なさそうに眉を下げた。
「お客様、申し訳ありません。少々お待ちいただくことになりますが……」
「ああ、いいよ。いくらでも待つから。順番だもんね」
「はい、申し訳ありません」
 特別メニューのことは彼女も認識しているし、どんなことをやっているかもきちんと理解している。
 ただ、それを異常だと思えないだけだ。
 この喫茶店に通い詰め初めて早一か月。だいぶこの店のこともわかるようになっていた。
 最初はそれこそ面食らったし、夢だったんじゃないかと何度も思った。けれど、こう何度も訪れていると、さすがにもう夢ではないことも理解したし、幻でもないことを知った。
 僕はコーヒーを飲みながら異常な行為に没頭しているウェイトレス――西上鈴さんの手が空くのを待ちながら、ここ一カ月のことを思い返していた。
 そもそもの始まりは、一か月前偶然この店に入ったことから始まった。
 全裸で接客をしている鈴さんを最初に見た時の驚きは一言では言い表せない。自分の頭がおかしくなったじゃないかと本気で思ったものだ。さらに度肝を抜かれたのは、メニューの一つにあった『特別メニュー』の項目だ。『鈴のフェラチオ』『鈴とセックス』『肉便器鈴』、とあり得ない内容のオンパレード。風俗店でありそうなメニューを、鈴さんも含め、僕以外の客が普通のことだと受け入れていた。最初はどこまでの異常を普通のことだと受け入れているのかがわからなくてその線引きに迷ったものだ。
 例えば、「お店でセックスしよう」という言い方はセーフだが、「外でセックスしよう」と言えばセクハラになる。
 これは二度目の訪問の時に判明したことで、実際に聴いた内容は「鈴さんは店の外でもその格好なの?」というものだった。その言葉を聴くと鈴さんは真っ赤になって、全力で首を横に振ったのだ。「そんなわけないじゃないですか!」という声には本当に驚いて恥ずかしがっているという想いが込められており、明らかにセクハラ発言を受けた女性そのものの反応だった。その場は「冗談だよ、冗談! そんなわけないよね! 何言ってんだろ僕!」と無理やり笑い話に持って行って誤魔化したものだが、あれほど冷や汗を掻いた覚えは他にない。
 全裸で接客しているのにあの反応はどうかと思わなくもなかったが、鈴さんは店の外では極々普通に過ごしている。このことから、この店の中だけが特別なのだと推測出来た。実際、店の中でならばかなりアウトなことを聴いても平気だった。「いままで何人くらいとしたの?」とか「アナルセックスは特別メニューの『鈴とセックス』の内に入るの?」とかだ。鈴さんは躊躇わず「一日に十人くらいでしょうか」「それは……すいません、アナルセックスはそのメニューに含まれていません」と応えてくれた。恥ずかしがる様子はもちろんなく、お客さんに聴かれたことを素直に応えているという様子だった。
 それ以外にも、わかったことはあって、店での行為はあくまでも鈴さんを対象にする時だけ、異常ではないと認識される。鈴さんを相手にすれば胸を触ってもあそこを触っても怒られることはなく、「もう少し試しに触ってみますか?」なんて言われる始末。しかしそれ以外の子を相手にするときは、極普通に触ることすら敬遠される。これは、鈴さんを呼び止める時のように通りかかったウェイトレスの肩を叩いたら、本気で嫌がられたからわかったことだ。本気で嫌がられたことでへこみはしたが、そのおかげで鈴さん以外の店員への対応を心得られたのだからあの店員には感謝しなければならない。(ちなみに、肩を叩いた程度であんなに嫌がった時点でわかっていたが、そのウェイトレスは客とのトラブルが絶えなかったようですぐにやめてしまったらしい)
 また、鈴さんを相手にしている時でも油断は出来ない。なぜなら、鈴さんが異常なことを異常だと思わないのは、あくまで店のメニューとしてのことであって、単なるセクハラ発言や行為を許してくれるというわけではないからだ。
 最初の行為を鈴さんとした際、経験不足から僕は彼女をイかせることが出来なかった。その悔しさもあって、何度目かの挑戦の際、僕はバイブやローションといった道具を持って行った。特別メニューの『鈴とセックス』を注文して、鈴さんとやる時に道具を使っていいかどうかを尋ねたら、鈴さんは首を横に振ったのだ。曰く「メニューに道具を使うといったようなオプションはついておりません」とのことだった。道具という言い方をして助かったと言える。あくまでメニューのオプションとしてのことだと強調して「オプションにはバイブとかもないの?」と聴いた時でさえ、鈴さんは若干表情を歪めていた。それを考えれば、普通にバイブのことを口にしていたらどんな風に思われていたことか――想像しただけでも背筋が凍る。下手すれば変質者のように扱われて警察の世話になっていたかもしれないのだ。
 こんな風に店を、鈴さんを変えたのが誰かはわからないが、そいつはきっと相当適当に変えたに違いない。楽しませてもらっている身であまり贅沢を言うのもどうかとは思うが、もう少しきちんと変えて欲しかった。
 絶世の美少女である鈴さんと店のメニューの一環として気楽にセックス出来るのはいいけど、メニューにある以外のことがしにくいのは明らかにマイナスだ。きっと変えた人はたまたま見つけた店と鈴さんを気まぐれに変えて、通うことをしなかったに違いない。一時的に楽しむならそれでもいいかもしれないけど、何度も通うことを考えていないのだ。
(ただでさえこっちは制限されてるんだから……気を使って欲しかったよなぁ)
 顔も存在すらよくわからない誰かに恨み事を向ける。この一カ月、僕は色んなところに行ってこの喫茶店以外に変えられた場所を探していた。
 裸婦像のように人が設置された大通りも凄かったし、いきなりすれ違った薄汚れた女子大生に精液を処理させてくれと頼まれた時には慌てたし、どこの学校かはわからないが全裸で市内マラソンをしていた女子学生の集団に遭遇した時は目を疑ったものだ。
 そして、この町では最大級のデパート。
 一つ一つの階があり得ない現象と販売物のオンパレードだった。値段が高級指向だったこともあって、売られていた物を購入することこそ出来なかったが、その変えられた現実の確かな証明の数々は、誰かが色んな物を変化させていっていることを僕に知らせていた。
(もうこの町にはいないかもしれないけど……出来ればいないで欲しいな)
 僕は心の底からそう思う。他の全員が異常なことを異常だと認識出来ないようになっている中、自分のように異常を異常として認識出来ている者は、その何者かにとってはイレギュラーな存在だろう。もしも仮に自分が逆の立場にあったら、そんな危険因子は詰んでおこうと考えても不思議じゃない。
 そのことに思い至ってからは変えられてしまった場所を新たに探すことは控えている。というのも、どういう風に変わっているのかわからないところにいくと、自分の反応が目立ってしまうからだ。幸い僕の生活圏で露骨に変えられた場所はないため、気を付けていれば目を付けられることもないと考えていた。この喫茶店に頻繁に足を運ぶのも考えようによっては危険だけど、この中でなら店の中に入ってこなければ僕の反応がおかしいということに気取られることもないはず。そもそも鈴さんへのいい加減な命令を顧みても、こんな風に変えた誰かがもう一度ここを訪れることはないだろうと踏んでいた。
(それに……鈴さんとの行為は、やっぱり気持ちいいし)
 これもある意味一目ぼれと言えるかもしれない。単なる一目ぼれと言うにはちょっと刺激が強すぎるけど。
 そんな風につらつらと考えていると、その当の本人が僕の傍にやってきた。たくさんの人と交わっているとは思えない、綺麗な身体はいまだ健在だ。その股間自体は行為の後で拭っていたようだが、周りには愛液が溢れた跡が残っており、ほんのりと上気した頬と身体が事後の女性の魅力を滲み出している。
「お待たせしております、お客様。いつもご注文ありがとうございます」
 色々変なことを言ってしまった――僕からすればそれが変だと思えないのだから仕方なかったけど――から、鈴さんの僕に対する印象は微妙なラインだ。歓迎とは行かず、どちらかといえば厄介な客の相手をしなければならないという想いの方が強いだろう。しかし特別メニューを何度も注文するのは僕だけだから、それなりに大事にはしてくれているようだった。
 鈴さんは僕に対して静かに頭を下げる。
「制服を整えて参りますので、もうしばらくだけお待ちください」
「あ、いや、いいよ。そのままでも気にしないから」
 たまにはこういう趣向も面白いかもしれない。そう思っての提案だった。これなら鈴さんも別に断りはしないはずだし、妙にも思うことはないはずだ。目論見通り、鈴さんは不思議そうな顔をすることなく、ただ「身支度が整ってないのにいいのだろうか」ということを気にしている風だった。
「よろしいのですか?」
「うん」
 客がそれでいいというなら、店員である鈴さんはことさらに身支度に拘ることをしなかった。
「わかりました。それでは今日はどのようにいたしましょうか?」
「ああ、今日はね」
 僕はあらかじめ決めておいたことを口にする。
「まず、注文は『鈴のフェラチオ』なんだけど……」
 そこで一度言葉を切って、大丈夫かどうか緊張しつつ、口を開いた。
「ちょっと変わった体勢でやって欲しいんだ」
「変わった体勢……ですか?」
 まだ単に怪訝な顔をしているだけ。一つ一つ反応を見ながら僕は話を続ける。
「まず僕が机の上に寝そべるから、鈴さんは頭を僕の股間側にするようにして……」
 そこまで行った時、鈴さんが何かに気付いたようだった。それを読み取った僕の身体に緊張が走る。
「ああ、もしかしていわゆるシックスナインの体勢ですか?」
「そ、そうそう!」
 僕は鈴さんの反応を見て心の中でガッツポーズを取った。自ら何の抵抗もなく言い出したということは、それは『フェラチオ』の範囲に入っているということだ。これがもし、フェラチオと関係ないと思われていたら、嫌な顔をされていただろう。そうならなくて良かった。
 彼女の許容範囲は非常にわかりにくい。セックスの範疇にアナルセックスは含まれていなかったり、フェラチオの範囲にパイズリは含まれていなかったり。鈴さんが動くのはいいけど、こっちが動くのにはより多くの制限があることが多い。セックス中に胸を触るのはセーフだが、フェラチオしている時の彼女の胸に触れることはアウトだったり。偶然や間違いを装ってそのラインを探って行くこちらの苦労はひとしおだった。
 それゆえに、上手く行った時の喜びがより大きいのは事実だが……面倒なことには違いない。
 僕は気持ちを切り替えて、とりあえずは上手くいったそれを楽しむことにする。
「それじゃあ、始めようか」
 ズボンを脱いで机の上に寝転び、鈴さんを待ち構える。すでに僕のペニスは興奮で立ち上っており、舐めやすそうな位置にあがっていた。
 鈴さんが机を揺らさないようにしながらあがってくる。
「失礼します」
 僕の身体を跨いで、四つん這いの姿勢を鈴さんが取る。彼女のあそこが僕の目の前に来て、その卑猥な形を示す。使いこまれている割にはラビアが広がることもなく、ぴっちりと閉じたスリットは美しささえ感じさせる。
 エロい光景に満足していると、鈴さんがペニスを舐め始めた。
「っ……ぁ、っ」
 すでに百人以上の相手をしているであろう鈴さんのテクニックは非常に研ぎ澄まされている。どこをどういう風に刺激すれば男が射精に至りやすいのか、彼女は熟知していた。
 だから僕はなるべくこの気持ち良さを持続するためにも頑張って耐えなければならなかった。
 目の前で揺れる秘部を見ながら、僕は鈴さんに向かって指示を出す。
「鈴さん、もうちょっとだけ足を開いてもらってもいいかな?」
「ふ、むぁ……ふぁい」
 僕のものを口に含みながら鈴さんが応え、その足を心持広げる。すると当然、二つの足によって空中に支えられている秘部は下にさがることになり、こちらの息が当たるほどの近くに彼女の秘部が降りて来ていた。フェラチオやセックスは何度も注文してきたが、こんなに近くで彼女の秘部を観察するのは初めてのことだった。匂いすが感じられる近くにあるそこは、女の香りを漂わせ、僕の興奮材料の一つになっていた。爆発しそうになるのをやり過ごしつつ、僕は考える。
(さて……ここからだ……)
 ここからどこまで許されるのかを探っていかなければならない。どこまで平気かわかれば、こちらとしても楽しみやすくなる。
 まずは手始めに、その体勢のまま息を彼女のあそこに吹きかけてみた。彼女のお尻がビクッ、と反応して震える。
「んぁ……っ」
 不明瞭な声を上げたが、嫌がっている様子はない。これはまだ『鈴のフェラチオ』の注文の許容範囲内ということだ。
 次に、何気なく横に転がしていた腕を動かし、手の甲で彼女の胸を弾く。さも動かそうとした時に偶然当たってしまったという体を装った。
「んぁっ!?」
 その瞬間、鈴さんがフェラチオを中断し、驚愕の目でこちらを見た。僕はあえて視線を逸らさず、何気ない風で彼女の視線に応じた。
「あ、ごめん。ちょっと手の位置が悪くてさ。どこかに当たった?」
「……いえ……なんでもないです」
 何とか誤魔化せたようだ。内心は戦々恐々としていた。
 予想はしていたが、『フェラチオでシックスナイン』の体勢の際の許容範囲に胸を触ることは含まれていないらしい。
 再び咥えてフェラチオを再開した彼女に対し、僕は再び命令を与える。
「鈴さん、もうちょっと上半身を低くすることは出来る?」
「ふぉうふぇすふぁ?」
 腕の位置を調整して鈴さんが上半身をさげる。すると、僕の下腹部から胸の下くらいの間に、丁度鈴さんの乳房が当たるようになった。こちらから触るのはアウトでも、向こうが近づいて接触することはセーフのようだ。理不尽な境界線だとは思うが、仕方ない。
「この体勢はキツイでしょ。なんなら、上半身の体重を僕に預けてくれてもいいよ」
「ふぁい」
 素直に応じた鈴さんが上半身を僕の身体の上に載せる。そうすれば当然、鈴さんの柔らかな乳房が僕の身体で押しつぶされることになり、こちらはその感触だけでヌけそうだった。
「っ……」
 さらに、上半身をさらに下げたことで、下半身も連動してさらに下がっていた。もはや目と鼻の先どころではなく、ほとんどくっついてしまいそうな距離に彼女の股間がある。アップもアップ、どアップだった。
(さて……これは、どうだ……?)
 僕は慎重に口を開き、熱い息をそこに吹きかける。さっき確かめたからこれは大丈夫。
 熱い息を至近距離から吹きかけられた鈴さんは、感じたのか切なげな呻き声を漏らした。僕は息を吐くために開いた口からそっと下を伸ばし、可愛らしい鈴さんのスリットを軽く舐める。触れた舌先に塩辛いものに触れた時のような刺激が走った。
「ひゃぅ!」
 すぐに舌は引っ込めた。そのまま暫く鈴さんの様子を窺うが、さきほどと違ってフェラチオは止まっていない。
 許容範囲なのか、どうなのか。さらに確かめるため、もう一度舌を伸ばした。今度はさっきよりも強く、広い範囲を舐めあげる。
「ひゃあっ、ぁんッ!!」」
 今度こそ、はっきりと感じいった声をあげる鈴さん。けれど、フェラチオは中断しない。これは行けるようだ。
 そうと決まれば、遠慮なく彼女の股間を舐め続ける。自分が行く前に彼女の方を行かせることが出来るか。本筋とは違うが、ちょっとしたミニゲームのようだ。
 股間全体を舐めあげたり、スリットの中まで舌を差し入れたり、クリトリスを直接刺激したりと――色々な手法を試してみる。
 その度に鈴さんは切なげに感じている声を上げるのだが、中々絶頂までには達しないようだった。中々達しない彼女にじれている内に、こちらの方が追い詰められ始める。
(くっ……くそっ……これは……っ、またっ、負け――)
 とうとう、根負けして僕は彼女の口の中に向かって射精した。体勢上、喉の奥を直撃したのか、鈴さんが咽るような声をあげたが、吐き出すようなことも、ペニスから口を離すようなこともしない。
 僕の射精が終わってようやく、鈴さんは僕のそれから口を離した。少し咳き込みながら、喉を嚥下させているのが密着している腹部から伝わってきた。
「ふ、ぁっ……はぁ……はぁ……」
 鈴さんが荒い呼吸を繰り返すと、その吐息が当たってまた元気になってしまう。
 満足の行く射精の幸福感に浸りつつも、僕は軽く打ちひしがれていた。
 一番最初に彼女とした時、僕は彼女をいかせることが出来なかった。それが悔しくて知識を増やし、この喫茶店に通い詰め、技を磨いて来たつもりだった。しかし、それ以上に鈴さんは経験を積み、体力を温存するため、というだけの理由でなるべく自分はイかずに相手だけをイかせるようにしていた。そのせいで、僕はいまだに彼女を先にイかせることが出来ずにいた。
 いつしか彼女を最中に行かせることが自分の目的になっていた。
(あー、くそーっ、また勝てなかった……)
 自分の技が効いていないわけではないはずだった。その証拠に彼女はまだ僕の身体の上から退いていない。以前だったら行為が終わればすぐにでも離れていたはずだ。それは彼女の方も結構ギリギリの状態で僕を先にいかせたということを示している。
 勝てなかったことに違いはないけど。
 重なり合ってじっとしている僕達だったけど、そこに恋人同士のような甘い雰囲気はない。それが少し残念といえば残念だった。
 その時。
「おい、ショウジキ」
 聞き覚えのある声がかけられて、思わず身体が硬直した。慌ててその姿を探すと、テーブルの横にその男が立っていた。
「えっ……あっ! 藤木!? どうしてここに!?」
「どうしてもこうしても……単にたまたま目についたここに入っただけだが。そしたらちょうどお前の姿が見えたもんでな」
 藤木は僕の友達で、運動部に所属する筋肉馬鹿だ。黙っていればイケメンでモテモテなのに自分の身体を鍛えることと勝つことにしか興味が無く、酒や煙草、女などの娯楽に興味のない男だった。それがなぜ文化系の自分に話しかけてきたかというと……それは単純に藤木と僕が同じ教授のゼミを取っているからに過ぎない。そういうグループ内での絆は大事にする男なので、僕のような明らかに生きている世界が違う者にも気さくに話しかけて来てくれる。
 しかし、これは気まずい。下半身丸出しの恥ずかしい格好で藤木に出会ってしまったのは不幸としか言えない。
「あー、えっと……その……き、奇遇だね?」
「そうだな。相席いいか?」
 平然と求めてくる藤木の言葉に、僕は少しずつ冷静さを取り戻していた。
(そうだ、藤木はこの光景を別に異常だとは思ってないんだから……堂々としていればいいんだ)
 自分がそう思い直すのと同時に、ようやく体力が回復したのか、鈴さんが僕の身体の上から降りる。口元を軽く拭いながら、鈴さんは藤木に向かって頭を下げた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
「いや、まだだ」
「そうですか。お決まりになりましたら、及びください。お冷をお持ちしますね」
「ああ、頼む」
 大概何も知らない女子は藤木を前にすると頬を染めるか、挙動不審になるかのどちらかなのだけど、鈴さんは藤木が好みではなかったのか、特に表情も態度も変えることなく、バックヤードに引っ込んで行った。そのことに少しだけ安心した僕は情けないと自分でも思う。
 僕はいそいそと服装を正しながら席に座り、その対面に藤木が座った。
「ゼミ以外では普段あまり合わないのに、本当に奇遇だね」
「そうだな、ショウジキはいつもここに来ているのか?」
「……あのね、藤木。僕の名前は正直と書いて『スナオ』って読むんだよ。何度言ったらわかってくれるんだ?」
「ああ、すまん。そうだったな。一度間違えて覚えると、いつもこうなんだ……俺の頭は上書き保存が出来んらしい」
「……君は良く受験に通ったよね」
「スポーツ推薦だ」
「……そうだったね」
 何度繰り返したわからない馬鹿なやりとり。
 悪い奴じゃないんだけど、馬鹿なのが珠に傷だった。
 
 
 
 
 バックヤードまで引っ込んだ私は、静かに息を吐く。
(疲れた……もう、あの客……いつもいつも疲れるのよ……)
 余程『鈴の特別メニュー』が気に入っているのか、週に何度も足を運んでいるあの大学生くらいの客のことを、私は鮮明に覚えていた。
 そもそも、あの『鈴の特別メニュー』を何度も注文する客というのが珍しい。常連でも十回の来店中一回頼めばいい方で、全然頼まない者もいる。一見さんはもちろん注文したりしなかったりだけど、その頻度もおおよそ十回に一回くらいだ。ほとんどの客は頼まないのが『鈴の特別メニュー』だった。
 なのに、なぜかあの男性客はすでに何十回も頼んでいる。それだけでも異常なのに、彼に対してメニューを行う際には通常の倍以上疲れるのだ。その上、向こうも何かとこちらに刺激を与えてくるため、折角体力温存のためにイかないように努力しているのが無駄になってしまっている。幸いテクニックが大したことないため、いまのところイかずに済んでいるが……今後どうなるかはわからない。
(そもそも、あの特別メニュー、私しか出来ないってのが問題なのよね……)
 他のウェイトレスも出来ればいいのだが、特別メニューなだけあって私にしか出来ないのだ。店としてそんなことでいいのかと思わなくはないのだけど、事実なのだから仕方ない。
 溜息を吐きながら私は流しに行って、口の中をすすぐ。こうやって状態を整えておくのも立派な仕事の内だ。いつ特別メニューを頼まれても対応できるようにしておかなければならない。
 私はそれを仕事に対して必要な誠実さだと考えている。
 
 
 
 
 店の通常メニューを見ながら、藤木は軽く頷いた。
「……ふぅん。ということは、お前はもう随分な常連になるわけか」
「まあね。一週間に何度も来てるからね……常連と言って差し支えないと思うよ。来始めたのは一か月前くらいからだけど」
「何がそんなに美味しいんだ?」
 常連になるほどの何かがあるのだろう、と藤木は興味を持ったようだった。
 僕は暫く考え、藤木の開いているメニューの一角を指差す。
「これなんかお薦めだよ」
「ふむ。確かに美味そうだな。これにするか――すいません!」
 体育会系独特の大声でウェイトレスを呼ぶ藤木。一瞬で店内中の注目を集めてしまう。
 僕は慌ててその声を下げるように言った。
「馬鹿っ、そんなに大声あげなくてもいいんだよっ。迷惑になるだろ!」
「そうか、すまん」
 あっさり謝る藤木。だけど俺はどうせまた同じようなことを繰り返すであろうことを確信していた。こいつはそういう馬鹿なのだ。
「お待たせしました! ご注文は?」
 慌ててやってきた鈴さん以外のウェイトレスに藤木は注文を伝える。
「はい、ティーセットお一つですね。少々お待ちください」
 ウェイトレスが去ってから、藤木はメニューを脇に置いて僕に話しかけてくる。
「セットのクッキーはどれくらいの量があるんだ?」
「そんなに沢山じゃないよ。特に藤木からすれば微々たるものじゃないかな」
「なんだ、つまらん」
「藤木が満足するくらい出すと、多分えらいことになるだろうね」
 バスケット一杯でも足りないかもしれない。そんなメニューはこの世にないだろう。
 この店にはそれ以上にあり得ないメニューがあるが、それは特殊な例だ。
 藤木は気の向く方向が変わったのか、僕に向かって別のことを聴いてくる。
「ところで……さっきお前が注文してたあれはなんだったんだ?」
「あれは……メニューにもあったでしょ? 壁にも張り出されてるけど、『鈴の特別メニュー』って奴の一つだよ」
「ふうん。随分変わったスペシャルメニューだな」
 やはり僕以外の人間にはそれくらいの認識らしい。これは自分以外の者から見たこの店の現状を知るチャンスだ。
 知識は無駄にならない。どこまでがセーフでどこからがアウトか。藤木は変わった奴……というか馬鹿だから多少変なことを言っても明日には忘れているはず。この店の現状を知るために質問する相手としてはこれ以上ない相手だった。
「……ねえ、藤木。ちょっと聴きたいんだけど――」
 次、鈴さんに挑戦する時のために、僕は藤木に問いかける。

 僕の鈴さんへの挑戦はまだまだ続く。
  
 
 
 
『思い通りになる世界 外伝』 ~つづきも喫茶店~ 終
 
 
 
 

Comment

No.887 / Torainu [#CNtCm3fU] No Title

更新お疲れ様です

常識を改変されないままでいる人の視点からの作品、非常に面白かったです
確かに、アウトとセーフの境目を探るのはドキドキですよね
皮や人間家具を購入した正常のままの人の視点、またはそれらになった人間の視点からの作品も読んでみたくなりました

次の作品も頑張ってください

2013-01/28 15:39 (Mon) 編集

No.890 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

Torainuさん、いつもコメントありがとうございます!

> 常識を改変されないままでいる~
いつも異常な考えの持ち主だったり改変後の思考だったり被害者側でそんな余裕がなかったりというものばかり書いているので、今回の話は執筆側からしても中々新鮮でした。

> 確かに、アウトとセーフの~
下手すれば変質者として通報されてしまいますからね。男の方もドキドキだったと思います。色んな意味で。

> 皮や人間家具を購入した正常のままの~
購入した側はともかく、商品になっちゃった人達の話を書こうとすると、実に鬼畜な展開しか思い浮かびませんね……(笑)
でも書いてみたい気もする私って……^^;

> 次の作品も頑張ってください
頑張ります! 応援ありがとうございます!

それでは、どうもありがとうございました。

2013-01/28 21:50 (Mon)

No.891 / 渡りガラス [#DzVePD6I] No Title

改変された常識の中で、一人だけ異常に気づいているというのはドキドキ物ですね。
それに何処まで逝けるのかを線引きしつつ、少しづつ進めていく感じが素晴らしい。

しかし思い取りになる世界・外伝の続きを見れたのは嬉しいけれど、良い所で終わるとは正に生殺し。
これは是非とも続きの続きを!

2013-01/28 23:51 (Mon) 編集

No.892 / [#] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013-01/29 01:02 (Tue)

No.894 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

渡りガラスさん、コメントありがとうございます!

> 改変された常識の中で~
「何をやっても大丈夫」とはまた違ったドキドキ感がいいと思います。
普通なら出来ないことを出来るだけで満足してしまう人も多いでしょうけど、少しずつ先に進もうとするのもまたいいことだと思います。そうやって人は成長していくのです!……って、この話の主人公の成長はエロ方向ですけど(笑)

> しかし思い取りになる世界・外伝の続きを~
続きの続きですか……いくつか思いついてはいるのですけど(笑)
中々書く時間を捻出出来るかどうかが問題でして……。
なるべく、頑張ってみたいと思います。

それでは、どうもありがとうございました!

2013-01/29 23:50 (Tue)

Comment Form
コメントの投稿
HTMLタグは使用できません
ID生成と編集に使用します
管理者にだけ表示を許可する

Page Top

Trackback

Trackback URL

http://kuroitukihikari.blog60.fc2.com/tb.php/283-ddfd183d

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Page Top

カウンター
投稿先サイト
『小説家になろう』ノクターンノベルズ
(ユーザーページに飛びます)
運営サイト
暁月夜色
 どんなジャンルでもOKな投稿小説サイトです。お知らせには必ず目を通してください。

黎明境界
 自己満足小説の展示サイトです。
 注意事項には必ず目を通してください。
 以下、連載中の作品概要


『私の名前はまだない』
(MC物、ペット化、女性視点)
(最終更新日:2013/12/07)

『思い通りになる世界 ~forガール~』
(カオスジャンル、世界改変系)
(最終更新日:2016/02/28)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
プロフィール

光ノ影

Author:光ノ影

連絡先は kuroitukinokage×yahoo.co.jp (×を@にしてください)

つぶやき
作品紹介
検索フォーム
FC2アクセス解析
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。