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『人間変換装置』

50万ヒット記念50本リクエスト
№05『自分の性器を自身の本体だと思い込ませて、色んなものに変身させる』話です。
 
それでは続きからどうぞ!
 
 
『人間変換装置』



 私は『鍵穴』だ。
 だから、帰って来た家主様に対して、着ていたスカートを自らまくりあげて『鍵穴』を晒す。
「どうぞ。御解錠ください」
 家主様は私の言葉に頷くと、そのポケットから一本の『鍵』を取り出す。それは『鍵穴』の大きさにきちんと合った『鍵』だった。その『鍵』を見た途端、私は自分の気分が高揚するのを感じる。これから『鍵』が『鍵穴』を満たしてくれる。『鍵穴』にとっては、そのなんということはない普通のことがとても幸せなことなのだ。
 しかし、家主様が『鍵』を『鍵穴』に入れようとしたけど、抵抗が強くて中々入らない。家主様はちっ、と苛立つ。
「おい、全然入らないぞ。『鍵』の挿入がスムーズになるようにしとけって言っといたのを聞いてなかったのか」
 そういえばそんな指示が出ていたのだった。家に侵入しようとする不埒者がいないかどうかを警戒するあまり、大事なことを忘れてしまっていた。
「申し訳ございません。少しお待ちください」
 私はそう家主様に断ってから、自らの乳首とクリトリスを両手で弄り始める。『鍵穴』に『油』を注すためにはこの動きが必要だった。
「んっ……ぅ……」
 そうやって『メンテナンス』を続けていると、徐々に『鍵穴』が湿り気を帯び、十分に『油』が注された状態になる。
「や、家主様ぁ……」
 準備が出来たことを家主様に伝える。
「ん」
 家主様は軽く頷き、その手に持っていた『鍵』を再び『鍵穴』に差し込んだ。
 今度は『油』が潤滑剤となって、『鍵』は穴の奥まで一気に入りこんでくる。
「んぁ、っ」
 『鍵穴』を奥底まで満たしてもらえると同時に、果てしない多幸感が私を満たして行く。『鍵穴』なのだから『鍵』を挿してもらえることが幸せであることに不思議はない。
 家主様はきちんとその『鍵』を回転させて、解錠を促した。
「んー、中々開かないな」
 くりくりっ、と家主様が右回し、左回しと鍵を動かす。
「ひぅ、っ、あっ」
「もう少しメンテナンスが必要かもな?」
 にやにやと笑いながら、家主様は『鍵』を回転させ続ける。
「もう、しわけ……ありません……っ」
「無駄口を叩くな。ほれ、開けよ」
 ぐりっ、と『鍵穴』の奥を掻き回される。私はその感覚に集中し、一刻も早く解錠出来るように頑張った。
 やがて、何度目かの『鍵』の回転の衝撃によって、私は大きく仰け反りながら『解錠』する。
「っ……! ……は、ぁっ、あっ……!」
 『解錠』の余韻に浸っていると、家主様は私の中から『鍵』を抜き取って行く。寂しい感覚が胸を焦がすけど、『鍵』を『鍵穴』に挿したままでは防犯上問題があり過ぎる。仕方ない決別だった。
 へたり込みそうになるのを堪える私の脇を、家主様は通りすぎる。その足音が突然止まった。
「……おっと、忘れるところだった」
 私は家主様に背中を向けていたから、家主様がどう動いたのかはわからなかった。けれど、何をしたのかはすぐに理解する。
 『内鍵穴』に『鍵』が挿し込まれたのだ。その衝撃というか感覚に、私の背筋が勝手に伸びる。全身を言いようのない衝動が駆け巡った。
「――――ッ!」
 ただでさえギリギリだった私の膝はその一押しで容易く崩れてしまった。お尻から倒れ込むと同時に、突き出していた『鍵』が『内鍵穴』のさらに深くまで押し込まれて、電流を流された魚のように身体が跳ねた。慌てて立ち上がったけど、膝がガクガクと震える。生まれたての小鹿のよう――という形容はありきたりすぎるけど、まさにそんな状態だ。
「『鍵』はキチンとかけないとな?」 
 鍵を開けっぱなしでは防犯上問題が起きる。
 さすが家主様はよくわかっている、と感心しながら私は『鍵』が穴を満たす幸福感に溺れていた。
 『外鍵』と違い、この『内鍵』は挿しっぱなしで放置される。つまり私はこれから家主様が再び外に出かけるまで、ずっとこの幸福感を抱き続けられるのだ。
 なんと、幸せなことだろうか。
「ああ、そうそう。その『鍵』だけどな。より『開けやすく』するために、色々機能を追加しておいたから。いまのお前にゃ、ただ挿してるだけでも十分かもしれないが、それだけじゃなく楽しめると思うぜ」
 そう言って家主様はもう一つの扉を開けて家の中に入って行った。
 家主様の言葉を理解出来たのは、それから暫く経ってからのこと。
「ッ…………ひゃ、うぁっ!?」
 突然、後ろの『内鍵穴』に刺さった『鍵』が震動し始めた。どうやら、『鍵』の中にランダムで震動する機能を取りつけたみたいだった。その震動が穴をほぐし、『外鍵穴』の中を十分に潤滑剤で満ちた状態にする。
「うぅ、あっ……あぅぁ……ッ」
 穴の中をかき混ぜられる感覚に、私は思わず喘ぎ声を上げてしまう。『鍵』として余計な機能が勝手に動いてしまうのは、情けない話だった。
 『鍵穴』のメンテナンスを忘れない家主様は、やっぱりしっかりした方だと思う。
(いつか、『鍵穴』以外の機能を削ぎ落してしまうように……家主様に頼んでみよう……)
 『鍵』によって齎される幸せな感覚に浸りながら、何気なくそう思った。

 こうして考えている私の意識自体――『鍵穴』としては不要のものなのだけど。




 玄関を開けて家に入ってきた家主様は、家に帰って来て安心したのか、大きく息を吐かれました。
「おかえりなさいませ、家主様」
 わたしが挨拶をすると、一瞬家主様は視線を彷徨わせ、足元を見て驚かれます。
「っと! ……あ、ああ。ただいま」
 どうやらわたしのことを忘れていた御様子。まあそれも仕方ありません。わたしはここに設置されてまだ数日しか経っておりませんし。
 家主様は驚いてしまったことを恥じておられるのか、少し急いで靴を脱いで家に上がろうとなさいます。
 そんな家主様をわたしは呼びとめます。
「お待ちください、家主様。手に持っている物を御戻しください」
 その言葉に、家主様は自分が手に持っている物のことを思い出されたようです。
「あ……そうだな。忘れてた」
 期待をしつつ、わたしはそれが戻されるのを待ちます。けれど、家主様は無情な言葉を口になさいました。
「いや、でもこれ濡れてるしなー。ちょっとこの辺に開いて置いておいた方がいいな」
「な……っ!」
 衝撃でした。せっかくそれが戻って来ると思っていたのに。
「い、いえ、家主様。その程度であれば、大きな問題ではございません。開いてそこにおかれては邪魔になられますよ?」
 出過ぎたことだとは思いつつ、わたしはそう捲し立てます。家主様は苦笑を浮かべておいででした。
「おいおい、言葉が乱れ過ぎだぜ。動揺するのはわかるけど、少し落ちつけよ」
「……大変失礼いたしました」
 たかが『物』が本当に出過ぎた物言いでした。もしも家主様が穏やかな人でなければ、いまごろわたしは廃棄処分されていたかもしれません。
 家主様は手に持っていたそれを畳み、きちんと丸めて行きます。
「まだ設置して三日だしな。役割に徹することが出来ないもの仕方ないさ。特にお前はずいぶんな跳ねっ返りだったからなぁ」
「……申し訳の次第もございません」
「いいって。そんな『素材』が、いまこうして俺みたいなのに対し、慣れない敬語を使って仕えてる……いや、使われてるっていうのは中々興奮するんだぜ? 犯そうって気にはもうならねーがな」
 そういいながら家主様はわたしのあそこを触ります。わたしは特に何を思うでもなく、その家主様の指を受け入れました。
 暫くそこを触っていた家主様は、にっこりと笑顔を浮かべられます。
「まぁ、小降りだったしな。濡れてるって言っても大したもんじゃねえ。それに……どうせ入れたら濡れるしな」
 家主様がその手に持っていた物を、綺麗に丸めて留め金で止めたものを、わたしのそこにあてがいます。
 瞬間、わたしの心に喜びが満ちました。だらしなく笑み崩れそうになる顔を、必死に平静のものに保ちます。
「じゃ、立てといてくれや」
 ぐりり、と家主様がわたしの――いえ、『傘立て』に持って行っていた傘を挿し込んで行きます。
「んぎ、っ!」
 それなりの太さがある傘を立てるには『傘立て』の直径は少し細すぎます。ゆえに、家主様は無理やり押し込むようにして傘をさし入れていかなければなりませんでした。
 もう少し慣れれば、使いこまれれば何本もの傘を立てられるようになるのかもしれませんが……いまの『傘立て』には一本を立ててもらうのも苦労します。
「やっぱ、新品は、使い、辛い、なっ……!」
 力任せに奥へ奥へと傘が入りこんで行きます。かなり深くまで入りこんだところで、家主様はようやくその手を止められました。
 軽く額に滲んだ汗を袖口で拭っておられました。
「ふぅ。まあこんなもんか」
 わたしはそんな家主様に対して何もいうことが出来ませんでした。ただでさえ傘を立ててもらえるというのは誉であり、幸せなことであるというのに、それに加えて中を強い力で掻き回されたのです。わたしは『傘立て』自体が倒れないように、まんぐり返しの格好を崩さないようにするので精一杯でした。
「うぁ……あ……っ……うう……っ」
「中々いい格好だ。くくっ、そんな状態で居続けられるようになったことを感謝するんだな」
 わたしは家主様の『感謝せよ』という言葉に条件反射のように、お礼を口にしていました。
「あり、がとう、ございます……家主様……」
 どろりとした液体が『傘立て』の中からはとめどなく零れ、流れ落ちて来ていました。
 わたしはその液体を排出する構造もまた傘を受け入れるための工夫の一つであることを知っています。
 家主様が満足した御様子で家の中に上がって行くのを見送りながら、わたしは早くもっとたくさんの傘を受け入れられるようになりたいと思いました。

 そうすれば、きっと家主様のご家族様の傘も、立てかけて頂けるようになるはずですから。




 家主さまが帰ってきた。
 あたしは期待で胸を膨らませながら、急いで居間の方へと向かった。
 居間に続く扉を開けると、そこでは丁度家主さまがコートを脱いでいるところだった。
「家主さま! お持ちいたします!」
 あたしが声をかけると、家主さまは優しい笑顔であたしにコートを差し出してくれた。
「ああ、頼むよ」
 頼まれたことを嬉しく思いつつも、あたしは丁寧に家主さまのコートをハンガーにかけ、皺を伸ばして、そしてかけるべきところにかけようとした。
 けど、コートをかけるべき金具の高さは、あたしの身長では背伸びをしても届かない位置にある。
 あたしは踏み台を持って来ないと思い、あたりをきょろきょろ見渡して――家主さまがニコニコとあたしを見ていることに気が付いた。
 一気に頬が熱くなる。
「や、家主さま、あたしが届かないのわかってて!?」
 コートを渡すときにやけにまぶしい笑顔をされているのかと思ったら、そんな意地の悪い思惑があったなんて。
 家主さまは悪びれもせず、笑いながら頷く。
「うん、そう。そこには自分でかけるからいいよ。ほら貸して?」
 あたしは釈然としないものを感じながらも、コートをかけたハンガーを家主さまに手渡す。家主さまはそのハンガーをあっさり金具にかけてしまった。
「むー、酷いです、家主さま」
 少しむくれてしまうあたしに対し、家主さまは誤りながら頭を撫でてきた。
「ごめんごめん」
「あたしだって、もう少し背が高ければ……」
 出来たのに、と悔しく思っていると、家主さまは真剣な表情であたしに言う。
「いや、別にいいんだよ。だってお前は家政婦でもメイドでもないんだから。ちゃんと役に立つべき場所で役に立てばね」
 優しい言葉に少し救われた気がする。けど、いずれにせよ役に立てない情けなさは拭えない。
「でも……本来の役割が……」
 そう呟くと、家主さまは頬を指で掻いた。
「あー、まあ、そこは俺としても申し訳なかったというか……思いつきで『設定』してみたけど、よく考えてみればうちってあんまり『あれ』を買わないからなぁ……」
 けれど、と家主さまは続ける。笑顔と共に。
「その代わり、お前には他の者とは違って自由に動ける権利があるわけだ。それは幸せなことじゃないか?」
「いいえ、家主さま。そんなのは要らないです。……そりゃ、家主さまのお役に立てるってことは大事かもしれませんけど……けど」
 だけど。
 結局のところ、あたしの幸せはそこにはない。
 世の中にはおまけのために本来の物をないがしろにする人もいるとは言うけど、やっぱりあたしは本来の方で役に立ちたい。
 かといって、あまり言い過ぎても家主さまを困らせてしまうだけだ。あたしはぐっと堪えるしかない。
 はずだった。
 家主さまは相変わらずの笑顔で、机の上を指し示す。
「ほら、見てみろ」 
 あたしは促されるまま、机の上を見て――そこにある物を認識した瞬間、胸一杯に歓喜が広がった。
「家主さま!」
 見上げると、家主さまは朗らかな笑みを浮かべていた。
「ま。本来の役割じゃないところで役立ってくれた御褒美ってところかな。枯れるまではそれに徹してて構わない」
 時間制限付きというのが少し残念だけど、いまはそれ以上にようやく本来の役目を果たせる喜びが勝った。
「ありがとうございます!」
 あたしは急いで仮に着せてもらっていた物を全て脱ぎ捨てる。家主さまが「はしたないな」と苦笑いを浮かべていたような気もするけど、あたしはこれが本来あるべき姿なのだから気にすることもない。
 全ての服を脱ぎ捨てたあたしは期待を込めて家主さまを見上げた。
「家主さま、準備できました!」
「ああ、じゃあ机の上に乗れ」
 家主さまの指示に従ってあたしは机の上に登った。そんじょそこらの安物のテーブルと違って、しっかりとした作りのテーブルはあたしが載ったところでびくともしない。
「スタンドに固定する。急がなくていいから慎重に寝転がって――」
 いうとおりに動くあたしの手足を取って、家主さまは机の上に置いてあったスタンドの各部に備え付けて行く。
 あたしは腰から下をほぼ真上に向けた状態で固定された。脚は大きく開いた状態で固定されていて、非常に合理的な作りになっている。
「よし、じゃあまずは……これから行くか」
 家主さまはあたしの目の前で『それ』の包装紙を解き、中からあたしが求めてやまないものを一本取り出す。
 それを認識した瞬間から感じていたけど、服を脱いだことでよりはっきりと自覚する。あの場所が限りない熱と湿り気を有し始めていることを。本来の役目を果たせることが嬉しいのだと、あたしにもわかった。
 家主さまは取り出したその一本を、無造作に『それ』に突き立てた。
 ぞわりと固定された身体が震える。水が満ちる代わりに、あたしは喜びで満たされた。
「んぅ……ふ、ぁあああああッッ!!」
 最初は穏やかなそれが、突然強い波になってあたしを襲う。あたしは訳もわからないまま、その波に翻弄された。
「な、なにっ、これぇ……っ」
 思わず零れた言葉に、家主さまが苦笑を浮かべる。
「あー、やっぱ知らなかったか。んー、まあ、いわゆる女の快感って奴なんだけどな……初めては衝動のままに奪っちゃったし、これが初めての絶頂っつーことになるわけか……」
 家主さまはぶつぶつ呟いてから、あたしに向かって再び優しい笑顔を浮かべた。
「その感覚はな、ようやく本来の用途通りに使われた喜びって奴、なんだよ。つまりはまぁ、ようやくお前は女になれた……ならぬ、ようやくお前は――」
 大きく広げられたあたしの足の、内股を触りながら家主さまは言う。
「『花瓶』になれた、ってわけだ」
「こ、れが……花瓶の、喜び……?」
「そう。まあ、じっくりと味わってくれ」
 花はまだまだあるからさ、と家主さまは笑った。
 その後、あたしは花を生けられるたびに広がる強い快感と充足感に蹂躙されながら、十数本あった花を全て『花瓶』の中に受け入れた。
 身体が跳ね、息が荒れ、涙が零れて、汗が滲んで、嬌声を上げて。
 全てが終わった時にはあそこから流れた透明な液体があたしの身体を艶めかしく濡らしていて、奇妙な匂いが漂っていた。その匂いは花の匂いとは全く似ても似つかない、不思議と身体を熱くさせる匂いだった。
「さて、こんなものか。生けた花が枯れるまで……のつもりだったけど、予想を上回って素晴らしい光景だな……いやらしさが半端ない。そこに綺麗な花が加わって、なんともミスマッチで逆に興奮するぜ」
 家主さまにも満足していただけたようで、あたしは何重もの幸福に包まれていた。

 綺麗な花を生けてもらい、その光景に満足していただく――『花瓶』としてこれ以上の幸福はない。




 部屋に入ってきた家主様は開口一番深く溜息を吐いた。
 出過ぎたこととは思いつつ、私は声をかける。
「家主様はお疲れのご様子。どうかなさいましたか?」
 私の問いに対し、家主様はちらりと私の方に視線を向け、もう一度溜息を吐いた。
「いや……まあ色々と『仕事』が忙しいっていうのもあるんだがな」
 家主様の仕事というのは、様々な方法で手に入れた素材に特殊な加工を施して『商品』とする、というものだ。
 実際、私もその『商品』の中の一つではあるのだが、売りには出されず家主様に使っていただいている。
 最初の頃に訊いた話では素材が家主様にとって特別なものであるということであったが――所詮『商品』でしかない私には覚えのない話だった。
「左様ですか……それでは、ぜひ私をお使いください」
 そう提案しながら、私は自分自身の内部機能がウォームアップし始めたことを自覚する。使っていただくために、自分の状態を整えるのは当たり前のことだ。使われることが本望な私達『商品』は常にそのことを意識し、いついかなる時に使っていただいても構わないようにしている。使われない道具など、何の意味もないのだから。
 私はそれを常に心がけている。この手足も、顔も、身体も。結局のところ『あそこ』の具合を整えるための付属品でしかない。いまこうしている瞬間も、私の手は『あそこ』に刺激を与え、いつでも使用可能な状態を保っている。どうしても零れる液体のせいで私の立っている場所が水浸しになっているのが難点だけど、機能を維持するためには仕方ない。
「準備はいつでも整っております。さあ、家主様」
 早く使って頂きたかった。けれど、家主様はそっぽを向かれてしまう。
「んー、今日はいいや。疲れてるしな」
 そっけない態度に、私は胸が潰れるような想いがした。それを抑え込みつつ、私は喰い下がる。
「そういう日こそ、私を使うべきです。私を使うことで、疲れをも吹き飛ばすことでしょう」
「いや、でも……」
「満足していただけるよう、常に『ここ』の機能は最適化しております。それは連日連夜お使いになられている家主様が一番よくご存知のはず」
「……正直、さあ」
 家主様は三度溜息を吐きながらいう。
「結構マンネリしてるんだよなー。そう設定して調整した俺がいうのもなんだけど、入れてもらうことしか考えてないのがなぁ。……もう少し素材の味を生かせばよかったかな。『花瓶』みたいに」
 ぞくりと悪寒が背筋を這いまわる。家主様の続ける言葉を考えたくなかった。
 けれど、無情にも家主様は言葉を紡ぐ。

「……そろそろ、お前は処分するべきかな?」

 この世で最も聴きたくない言葉が紡がれたことに血の気が引く。
「や、家主様」
「あー、そんな悲痛な声をあげなくていいって。処分つっても別に捨てるわけじゃなくて……売り渡すって意味だからさ。そうだな……元彼にでも売りつけてやろうか?」
 元彼のあの人などどうでもよかった。この家主様に捨てられることが、どうしようもなく辛い。
「お、お待ちください、家主様。何か私にいたらぬことがあれば、改善いたします。ですから、使用しないなどと……おっしゃらないでください」
「別に至らないところがあるってわけじゃないんだけどな……まあ、それはそれとして、だ」
 家主様はベッドまで行くとその上に寝転がる。
「その顔じゃ、使用してやろうって気にならないんだよなぁ。完全無表情設定は余計だったぜ。必死さが全然伝わって来ねえ」
 びくり、と肩が震える。確かに、私はそういう風に設定されていたから。
 設定は書き変えることが出来ない。家主様でもそれは不可能な現実だった。
 だから私はまだ命じられてはいなかったけれど、動く。
「……だから、まあ、悪いけど新しい所有者の元で頑張って、ってことで――」
 私は寝転がっている家主様を跨ぐようにしてベッドの上に登る。微かに家主様が驚いたようだった。そんなことはともかく、私は跨いだ家主様の手を取る。
「ご無礼をお許しください、我が家主様。ただ――確かめて頂きたいのです」
 私が――いや、私の本体である『あそこ』が。どれほど使われることを欲しているか。
 見れば。触れば。感じれば。
 きっと家主様も理解してくださるはず。
 私としては必死な求め。家主様にどう伝わったかはわからない。
 けれど、家主様は一瞬だけ笑顔を浮かべてくれた。その笑みはすぐに消えてしまったけど。
「仕方ないなぁ……じゃあ、確かめてやるよ」
 家主様の手が『あそこ』に触れる。ぐちゅ、っと実に卑猥な音が響いた。微かに家主様の目が見開かれる。
「これは……! 凄いな、物凄く濡れているじゃないか」
 手ごたえあり。私は充実する気持ちを感じる。
「家主様に気持ち良く使っていただけるよう、朝からずっと準備しておりました……ひぅ、っ」
 入ってきた指が動き、その刺激で声が押し出されてしまった。家主様はふむふむと頷いている。
「なるほど、なぁ……十分すぎるほどに濡れてて、程よく柔らかく解れてて。熱いくらいに熱が籠っている」
 これほどとは、と家主様が感心するような呟きを落とす。
 そこに希望を見出した私の心を読んだように、家主様は私から手を離して、再び寝っ転がってしまった。
「いいんじゃないか? それだけの名器であれば、きっと購入希望者はたくさん集まってくるぜ」
「家主様!」
 私は家主様に懇願する。
「お願いです。どうか、どうかここで使ってください。あなたに使っていただくことこそ、最高の栄誉なのです」
「……そうかな? お前だってもっと大きなイチモツを包みたいと思っているんじゃないか?」
「家主様のものは、最大ではなくても、最高です」
「……嬉しいけど、地味に傷つくな。その称され方」
 深い溜息。私は終わってしまったと思ったけど、家主様の唇の端には微かな笑みが浮かんでいて、そこに希望が見えた。
 家主様が身体を起こし、私を逆に押し倒す。
「そこまで請われちゃ仕方ない。使ってやる。ただし――その先も使い続けるかは、俺次第だ」
「あ、ありがとうございます!」
 私は首の皮一枚で繋がった気分だった。

 『あそこ』を使い続けて頂けさえすれば、首なんていくらでも差し出すけど。




 ベッドの上に押し倒した、全裸の元『幼馴染』を見ながら、俺は服を脱いでいく。
 長年想い続けた相手だった。けど、幼馴染同士が結ばれるなんて絵空事で、あっさり他の男に奪われてしまった。そんな俺がこうしてこいつを自由に出来ているのも、全てはとある商店で手に入れた『人間変換装置』のおかげである。
 その言葉通り、その装置は人間を変換することが出来るものだ。詳しい説明は省くが、単純にいえば定めた特定の何かの物品に人間やその一部を定義してしまうことが出来る。例えば、ある人間全体を指して『椅子』だとすれば、その人間は完全に椅子の形で定義される。椅子としての機能以外なにも持たなくなるわけだ。それはそれで興奮するのだが、俺の嗜好に完全には合わない。そこで俺が行ったのが部分指定だった。女性の性器を特定の役割を持つ何かに置き換えたのだ。
 それが『鍵穴』であり、『傘立て』であり、『花瓶』であり――『オナホール』である。
 外科手術的な方法で作り変えているわけではない。そういうものだと『定義』することで身体の構造自体も変わっているようではあるが。
 まあ、細かい話はどうでもいい。要はいまの彼女らの性器は定められた役割を果たすことしか出来ない『モノ』に変わっているのだ。彼女らにとってはその性器が自らの中心であり、そこに自意識というものはない。ゆえに、その場所がいかに良く使われるか、あるいは定められた役割通りに使われるか、彼女達はそれだけを考えるようになる。
 もちろん装置の設定や調整にもよって変化に違いは出るのだが、基本的に彼女達は『そう』なるようになっている。
 この元幼馴染を変えた時は、俺もまだ装置の使い方をよくわかっていなかったため、純粋に使われることしか考えない存在になってしまった。
 それはそれでもちろん興奮するのだが、元のそいつを知っている身としてはそういう部分も残しておいておけばよかったと思うことがたまにある。
 だから今回のように意地悪を言ってみたりして、少しでも違う反応を引き出すことを試みている。
 これはこれで中々面白いから結果オーライというべきだろうか。
「家主、様?」
 きょとんとした――無表情なのだが――声で『オナホール』が呟く。
 押し倒した姿勢のまま固まっていたことに気付き、俺は慌てて一つ咳払いを落とした。
「すまん。ちょっと考え事をな」
 彼女にしてみれば使われさえすれば満足なのだろうから別に謝る必要はないのだが、つい習性で謝ってしまうのは仕方ないだろう。
「さて……それじゃあ、使ってやるよ」
「はい。存分に、お使いください」
 自己犠牲というよりは、ただそれしか考えていない、考えられないという言葉。
 俺は早速、『オナホール』に向けて自分のペニスを突き入れる。
「んぁっ!」
 入れた途端、彼女の身体が大きく跳ねた。入れられただけでイってしまったのだと、サルでもわかる。
 この辺りは普通の人間を相手にしていては経験の出来ない征服感だろう。俺の動き一つで彼女はイき狂うのだ。
「ほれ」
 軽く腰を引いて、もう一度前に突き出す。
「くぁっ、あぁんっ」
 彼女の嬌声と共に、じゅぶっ、と大きな水音が鳴った。元から濡れそぼっていた『オナホール』は、実際にペニスを受け入れたことで、よりいやらしく、より卑猥に、より濡れて、挿入されたペニスを奥へと吸い寄せようとする。
 かつての思い人を犯しているという充実感。
 そして、その目的のためだけに研ぎ澄まされた『オナホール』が与えてくるこの世のものとは思えない快感。

 これを生み出す『人間変換装置』は、当分手放せそうにない。
 
 
 
 
『人間変換装置』 終
 
 
 
 

Comment

No.843 / Torainu [#CNtCm3fU]

執筆お疲れさまでした

不思議な作品でした
このジャンルの作品はそんなに読んだことがありませんから、感想が上手く表せません(汗)
「思い通りになる世界」の人間家具みたいな感じでしたね

光ノ影さんも少しいつもと違う苦労をされたんじゃないかな、と思います

次作も楽しみにしています

2012-12/31 22:26 (Mon) 編集

No.844 / ごんべー [#-] No Title

あけましておめでとうございます。

これはまたなんとも形容しがたいですね…いや、悪い意味ではないのですが、いつもとは別ベクトルでカオスですよこれは。
鍵穴ちゃんはまるでスターウォーズのハン・ソロみたい(固まってた姿)ですね…w

その気になれば「楽器」「耳かき」「浴槽」「ミルクサーバー」と色々できそうですね。

2013-01/01 00:23 (Tue)

No.845 / KTM [#-] No Title

年末の忙しい中、お疲れさまでした。

新年早々何見てんだって気もしますが、非常に楽しく読ませていただきました。今年も期待していますので残り10分の9、頑張ってください。

2013-01/01 00:35 (Tue)

No.848 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

Torainuさん、いつもコメントありがとうございます!

> 執筆お疲れさまでした
正直難産でした……難しかった!

> 不思議な~
私もあまり書いたことのないジャンルだったので上手く表現できませんでした(笑)
もう少し催眠寄りの話にした方がよかったのかなー、とか思いつつ、結局『人間家具』みたいな超常現象頼りにしてしまいました。
……もう少しリアル寄りの話も書けるように頑張った方がいい気がしてきました。

> 次作も楽しみにしています
楽しみにしていただけるよう、精進を続けます!

それではどうもありがとうございました!

2013-01/01 01:10 (Tue)

No.849 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

ごんべーさん、いつもコメントありがとうございます!

> あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます! 今年もぜひよろしくお願いします。

> これはまたなんとも~
私も我ながらどう形容したらいいのかよくわかりません(笑)
書いてる身としては結構楽しかったですが。
カオス系にも色々ありますよね。カオス系を極めるためには色んな系統のカオスを書くべきでしょうか。書いてみたい気もしつつ、これ以上カオスになるといよいよ訳のわからない話になりそうです。

> その気になれば~
可能でしょうね。そういう話もいずれ書いてみたいなぁ、と思いつつ……書くまでにはまだまだかかりそうだなぁ、と思っております(笑)

それでは、どうもありがとうございました!

2013-01/01 01:19 (Tue)

No.850 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

KTMさん、コメントありがとうございます!

> 年末の忙しい中、お疲れさまでした。
忙しいとはいえ、昔みたいに一般的なイベントを全てこなしていた頃に比べれば、だいぶ忙しさは緩和されていた気がします。もっとも、その分個々のイベントの比重が大きくなって、結果的にだいぶギリギリの更新になってしまいましたが……。

> 新年早々何見てんだって気も~
新年早々何見せてんだって気がします(笑) 我ながらカオスだなぁ、と。
今年も可能な限り頑張ります! リクエストの残りも、なるべく速く書けるように頑張ります!

それでは、どうもありがとうございました!

2013-01/01 01:22 (Tue)

No.851 / リクした人 [#-] No Title

お疲れ様です、そしてありがとうございます
悩ませるリクが出来た事に感謝(えー
改造前の喋りが見たかったかなというのはちょっとあります

ちなみにこのリク
性器がヒクヒクする動きをペットの感情表現に見立てる表現
という意図でした、というか今適切な表現が閃きました(笑)
次も楽しみにしています

2013-01/01 02:05 (Tue)

No.852 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

リクエストありがとうございました。
そしてコメントありがとうございます!

> お疲れ様です、そしてありがとうございます
> 悩ませるリクが出来た事に感謝(えー
本当に悩みましたよ……けど、だからこそ意味があったという気がします。
自分では思いつかない物を書く、というのがある意味狙いの一つではありましたから。

> 改造前の喋りが見たかったかなというのはちょっとあります
あー、確かにそうですね。改造後がどれくらい改造前から変化していたのか。
それを示すためにも、改造前のやり取りを少し入れた方が良かったかもしれません。

> ちなみにこのリク~
なん……だと……?
そういうリクエスト内容でしたか……微妙にリク主さんの意図とずれてしまっていたのは申し訳ないです。
やはり中々難しいですね……精進します。

> 次も楽しみにしています
ありがとうございます。
次も楽しんでいただけるように全力を尽くす所存です。

それでは、どうもありがとうございました!

2013-01/02 08:19 (Wed)

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 以下、連載中の作品概要


『私の名前はまだない』
(MC物、ペット化、女性視点)
(最終更新日:2013/12/07)

『思い通りになる世界 ~forガール~』
(カオスジャンル、世界改変系)
(最終更新日:2016/02/28)

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Author:光ノ影

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