FC2ブログ
  1. Top
  2. » スポンサー広告
  3. » 『死神輪舞』
  4. » 死神輪舞11

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • ジャンル :

死神輪舞11

死神輪舞10の続きです。

 前回の話はこちら→          10

 では続きからどうぞ。


死神輪舞11




「まあ、とにかく……説明は大体これくらいでしいだろ。今日はもう休め。身体の方も辛いんじゃねえか? 俺達の体は結構頑丈に、タフに出来てるみたいだけど、疲労がないってわけじゃないだろ?」
 ひとしきり怒りを吐き出し続けた星斗は、少しばつが悪そうに言った。
 感情のままに怒鳴ったことを恥ずかしく思っているらしい。
「この部屋はお前が使え。俺は隣の部屋で寝てるから、何かあったら来い。次に起きたら他の質問にも答えてやるから」
 じゃあな、と一方的に星斗は言い残し、部屋から出て言った。
 玲奈さんもそれに従って外に出ていく。
 部屋の中には僕一人が残された。
 とりあえず再びベッドに寝転がりながら、頭の中のシェルちゃんに声をかける。
(……ねえ、シェルちゃん)
(なに?)
(どう思う?)
 寝る場所が確保できたのはいい。
 とりあえず真夜中に出歩いて、また暴漢に襲われる危険はなくなった。
 けど。
(星斗は……死神の体を乗っ取って、おまけに死神の力を勝手に使用してるよね。これって、死神の基準でいうと、やっぱり罪でしょう?)
(もちろんよ。許されることではないわ)
(だよねえ……)
 かくいう僕もコルドガルドさんと別れるとき、『逃げたり死神の力をむやみに使ったりしたら地獄に落とす』と言われている。
 そうなると間違いなく星斗は地獄行きだろう。
 死神の力を使って洗脳までしちゃってるし……。
(……でも、シェルちゃん。僕には、星斗がそんなに悪い奴には見えないよ)
 暴漢に襲われ、倒れていた僕を彼は助けてくれた。優しい言葉をかけてくれた。
 玲奈さんに対する洗脳など、やっていることは確かに悪いことだけど、彼が根っからの悪人だとは思えない。
 そんな彼が地獄行きっていうのは……なんて言えばいいんだろう。悲しい、でもなくて、可哀想って感じでもなくて……とにかく胸の中がもやもやする。
 僕が葛藤しているのに対して、シェルちゃんは素っ気なくこう言った。
(私としてはどっちでもいいわ。悪人であろうと、善人であろうと、アルミールアルミーナの体を奪っていることに変わりはないもの。体が動かせるのなら、いますぐにでもあの魂をアルミールアルミーナからはぎ取りたいくらいよ)
(…………そっか)
 まあ、シェルちゃんの立場にしてみればそうなのかもしれないな。
 僕はどっちも知らなかったから、実際に話した星斗の方に情があるけど、シェルちゃんにとってはアルちゃんは友達なんだから。
(このまま、何事もなく数日を過ごせばコルドガルドさんに見つけてもらえるだろうし……そうするしかないかな)
(……危険はあるわよ)
(どういう意味?)
(あなたねぇ……さっき見ず知らずの人間達にあんなことされたくせに、なんであいつを信じてるのよ。あの男が、自分に対しては酷いことをしないってなんで確信できるの? あの人間達と同じようなことをしてくるかもしれないって、なんで考えないの?)
(星斗はそんな酷い奴じゃないよ)
 むしろ僕を助けてくれた。
 シェルちゃんはあきれた口調で言う。
(人に対して洗脳、なんてことをしてるのに?)
 馬鹿にするような声だった。
 ……確かにシェルちゃんの言う通りかもしれない。
 その洗脳されている玲奈さんの事情が事情だから玲奈さんに同情する気はないけど、星斗が玲奈さんにやっていることは間違いなく悪だ。
 確かに助けはしてくれたけど、これから星斗が僕に対して酷いことをしないという保証はない。
(でも……なんでだろ。僕は星斗がそんなことはしないって気がするんだ)
 絶対呆れられるだろうな、と思いつつ言った言葉だったけど、本当に呆れられた。
 頭の中で、シェルちゃんが深く溜め息を吐くのが聞こえてくる。
(ほんと、馬鹿ね……)
 そう思われても仕方ない。
 シェルちゃんはそれ以降、沈黙してしまった。
 完全に静かになると眠くなってくる。やっぱり身体に疲労が溜まっていたようだ。
 あっという間に、僕は眠りに落ちた。





 目が覚めると、美味しそうな匂いが隣室から流れてきていた。
 まだ眠気が残る目を擦りながらベッドから降り、そちらの部屋に移動する。
 そこでは星斗が広いテーブルについて朝食を取っているところだった。
 僕の姿を認めた星斗は、見ているこっちが元気になれるような快活な笑顔を浮かべた。大人しそうな外見にその笑顔はどちらかといえば似合っていなかったけど。
 でもそんなことは気にならなくなるくらい、気持ちのいい笑顔だった。
「おはよう、亮。よく眠れたか?」
「あ、おはよう。うん、眠れたよ。ありがとう」
「おい、玲奈。さっさと亮の分も朝食を用意しろ」
 背後に控えていた玲奈さんに星斗が命令する。
 玲奈さんは恭しく頷いた。
「かしこまりました。亮さん、そちらの席についてお待ちください」
「あ、どうも……」
 今更だけど、凄くなんていうおか、整った身のこなしだよね……。一部の隙もないっていうのかな。
 彼女は元々メイドか何かだったんだろうか? こんなに完璧な動作が出来るんだから、そうであった方が自然のように思える。
 気になって星斗に訊いてみたら、意外にもそうではないという返事が返ってきた。
「洗脳状態で何かを学ばせると、通常よりも覚えがいいみたいだ。ある意味当然だな。集中力が半端ないんだから。誰だって魂の全力を傾ければ、このくらいのことは軽くやってのけるってわけだ」
 そういうものなのか。
 ……そうかもしれない。
 なんだかんだで、普通は色んなものに気が散っちゃって一つのことに集中できることって稀だし……。
 要するに、スポーツ選手が持つスポーツへの情熱をそのことに対してもてるってことだもんね。
 朝食は典型的な洋風だった。パン食。品の良いそれらの料理はどれも絶品で、洗脳の凄さを改めてしった。
 僕がそれらを感激しながら食べ終わると、それを待っていたかのように星斗が口を開いた。
「ところで亮。お前はこれからどうする?」
「どうするって……」
「行くところ、ないだろ? お前さえよければ、そっちの部屋を使ってくれていいぞ。同類同士、仲良くやろうぜ」
 楽しそうな笑顔を浮かべてそんなことを言う星斗。僕はちょっと迷った。
 と言っても選択肢はないに等しいのだけど、昨日シェルちゃんに言われたことが頭の片隅に引っかかっていたのだ。
 星斗はそんなことをしなさそうに見えるけど……本当に彼が悪人で、昨日暴漢達にされたようなことをされたら……って、星斗も女の子の体なんだからそれはないか。
 洗脳、とかは……するならもうとっくにしてるよね。寝ている間とか、無防備な瞬間はいくらでもあった。
 ここは星斗を信じて頼るしかない、かな……。
「じゃあ……悪いけど、お願いできる……?」
 おずおず、と言ってみた僕に対し、星斗は体の外見と似合わない軽い手つきで僕の懇願を受け入れる。
「あたりめーだ。俺から言い出してることなんだから、悪いなんてこたぁねえよ。言ったろ? 同じ境遇の同類同士、仲良くやろうってよ」
 からからと笑う星斗は、不意に真面目な顔になって僕の方に身を乗り出してきた。
「んじゃあ、さっそくだけどよ。服でも買いにいかねえか?」
「服?」
 急に出てきた単語に、僕は首を傾げる。
 星斗は大まじめに頷いた。
「ああ。せっかく可愛い顔してんのに、ダサい格好じゃなんだろ? こんな姿なんだから、着飾るのが楽しーぜ? な、行こうぜ」
 そこで星斗はにやり、という擬音がぴったり合う笑い方をする。
 それはどこか愛嬌のある顔で、僕に対する親愛の情が無条件に感じられる笑顔だった。
 出会ってから一日も経っていないであろう僕に対して、なんでそんな顔を浮かべられるのかわからない。
(これが演技だったら……? あり得ないよ)
 心の底からこちらに対して親しみを感じているようだ。
 でも、なんで? 同族というだけで、こんなに親しみを向けられるだろうか?

 訳がわからないまま、僕は彼と一緒に、街へ買い物に出ることになってしまった。




~12へ続く~

Comment

No.69 / 名無しさん [#-]

罪、かぁ・・・・
そういえば無知は罪なりとか言う言葉がありましたね・・・・

ちょっとだけ欲を言うなら、一話の長さがちょっと短いような気もします
酷く言えばドラマとかでCM毎に切られてるような
話をまとめて投稿した方が複線を仕込みやすいかもしれません

まぁ素人の意見なのであまり気にしなくても良いですよw

2008-09/07 00:42 (Sun)

No.70 / 光ノ影 [#-]

コメントありがとうございます。

うーん、やっぱり短いですよねえ……。自覚はあります。せめてこの二倍程度の長さは欲しいんですが、そうなると更新速度がガタ落ちすると思うので、悩み所なんですよね……。

いっそ定期更新にしましょうか。三日に一回とかにして長さはそれなりのものにする、という感じで。
とりあえず大前提としてプログを長く続けられるように、色々頑張ります。

2008-09/08 00:06 (Mon)

No.144 / toshi9 [#YK3S2YpI] 今更ですが、面白いですね

死神輪舞は2話以降全く読めてなかったんですが、3話から11話まで一気に読ませていただきました。
いやあ面白かったです。
青と赤の符号って何かあるのかなとちょっと気にさせる部分とか、死神世界と人間世界の関係がうまく説明されてるなとか、いろいろ楽しみながら読ませてもらいました。
お話はようやく序盤が終ったところかなって印象なので、勿論お話はまだまだこれからでしょうけれど、亮がこれからどんな体験をしていくのかまた先を読むのが楽しみですね。
いろいろ書かれて大変でしょうけどがんばってください。

2009-02/08 09:49 (Sun) 編集

No.145 / 光ノ影 [#-] Re: 今更ですが、面白いですね

 toshi9さん、感想ありがとうございます。
 『死神輪舞』、最近全然更新してなくてすいません……。
 ご指摘の通り、この話はまだ序盤がようやく終わったかなー、というくらいです。起承転結でいえば起の部分。それもまだ終わっていないという……。
 色々手を出し過ぎてパンク寸前ですが、出来る限り頑張っていきたいと思います。

2009-02/09 18:54 (Mon)

Comment Form
コメントの投稿
HTMLタグは使用できません
ID生成と編集に使用します
管理者にだけ表示を許可する

Page Top

Trackback

Trackback URL

http://kuroitukihikari.blog60.fc2.com/tb.php/25-402d08a9

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Page Top

カウンター
投稿先サイト
『小説家になろう』ノクターンノベルズ
(ユーザーページに飛びます)
運営サイト
暁月夜色
 どんなジャンルでもOKな投稿小説サイトです。お知らせには必ず目を通してください。

黎明境界
 自己満足小説の展示サイトです。
 注意事項には必ず目を通してください。
 以下、連載中の作品概要


『私の名前はまだない』
(MC物、ペット化、女性視点)
(最終更新日:2013/12/07)

『思い通りになる世界 ~forガール~』
(カオスジャンル、世界改変系)
(最終更新日:2016/02/28)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
プロフィール

光ノ影

Author:光ノ影

連絡先は kuroitukinokage×yahoo.co.jp (×を@にしてください)

つぶやき
作品紹介
検索フォーム
FC2アクセス解析
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。