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『滴る水』 ~豪雨の底~

短編連作『滴る水』シリーズの新作です。
ジャンルは乗っ取り・TS・MCです。
 
『滴る水』シリーズは一つ一つの話が独立しているので、この話から読んでも問題ありません。
  
それでは、続きからどうぞ。
 
 
『滴る水』 ~豪雨の底~
 


 雨が降っている。
 最近ほとんど降っていなかった分を埋め合わせるかのように降る雨は酷く激しく、視界を遮るほどの勢いになっていた。
 誰も彼もがその激しい雨に辟易して歩いている中、その女子学生達が駅から外に出て来た。
「うわー、すげえ降ってる。うざー」
 品のない物言いをしながら、女子学生達は傘を広げ、激しい雨の中を歩き始める。
「そういやさぁ。知ってるー? マユミの奴、彼氏と別れたらしいよ」
「マジで? ざまぁみろって感じだけどー」
「なんで別れたのかなぁ?」
「詳しくは知らないけど、バイト先でいちゃこいてるのを店長に見つかったとかでさぁ――」
 三人で横一列に並び、迷惑な歩き方をしているという自覚もなく、三人の女子学生達は他愛のない話をしながら道を進んでいた。
「……そうだ、近ごろさー、なんか、変な事件多いね」
「さっきまでいた人が突然いなくなったりとかする奴でしょ? あんなの、良くある都市伝説じゃないの?」
「あたしもそうだと思ってるけどさぁ。マジらしいよ。実際、友達の友達がいなくなったっていう話もあるし……」
「でもまあ、あたし達には関係ないっしょ。あたしはこれでも合気道初段だし」
「まあ、気にしたって仕方ないしね」
「そういう話って、大抵なにかそれを避けられるおまじないとか、方法があるもんじゃないの?」
「えー、もしかして、紗伊奈ビビってんの?」
「なによぅ。私がホラーとか苦手なのは二人とも知ってるでしょ?」
 頬を膨らませて、友人二人に向けて抗議する紗伊奈。
 ごめんごめん、と友人二人はそんな彼女に向けて謝る。
「でもさあ、この話にはそういう対処法みたいな物はないんだよねえ、そもそも、都市伝説ってわけじゃないし」
「そうだねー。結局、そういう不可解な失踪事件が多いってだけの話」
「現代の神隠しって奴?」
「むしろマジな意味で現代の神隠しだったらどうする? イっちゃってる奴がやってる誘拐だったりして」
「やめてよー。怖い話は苦手なんだってばー。リアルな怖さも勘弁してー」
 怖がる紗伊奈をからかうつもりか、友人二人は怖い話を続けていく。
「あ、そうだ。失踪事件だけどさ。夜に多いのは基本だとして……」
 話を、続ける。
「雨の日にも、多いらしいよ」
 そう例えば。
「こんな風に、激しい雨が降る日とか――」
 ざあっ――と。
 まるでその友人の言葉に応えるように雨の勢いが増した。傘を持っている手が雨の重みを感じたほどで、とっさに紗伊奈は両手を使って傘を支えなければならなかった。
 あまりに激しい雨の勢いによって、一瞬、周囲から断絶された気さえした。視界はわずかすぐ隣にいるはずの友人二人すら見えないほど狭くなっていた。
「ちょっと……タイミング良すぎ……」
 紗伊奈は思わずそう呟いたが、あまりに激しい雨音にかき消された。
 激しくなった雨脚は一時的な物だったらしく、すぐに元のような激しさに戻る。
「もぅ……驚かせないでよ、二人……と、も……」
 そのことに気づいた紗伊奈は、絶句した。
 つい先ほどまで、一緒にいたはずの、隣を歩いていたはずの。
 
 友人二人が、忽然と姿を消していたのだ。
 
 周りを見渡してみるが、隠れられるようなところはない。紗伊奈を驚かそうとしてどこかに隠れているということはなさそうだった。そもそも雨が激しくなったのも偶然のようなものだった。二人が示し合わせて隠れようとするほどの時間はなかった。
「え……? 嘘……でしょ……?」
 友人二人は、どこにもいない。
 立ち尽くす紗伊奈。その足下、マンホールの蓋が、音もなく開いていた。
 紗伊奈が何気なく足下を見て、その開いたマンホールのことに気づいた次の瞬間。
 
 マンホールから噴き出した『液体』が、紗伊奈へと襲いかかった。
 
 とっさにあげかけた悲鳴も、逃げようとした紗伊奈の体も、全て『液体』は絡め、飲み込んで、マンホールの中へと消えていった。
 最後に自動的にマンホールの蓋が閉まり、そこには、誰も、何も、残らない。
 
 
 
 
 紗伊奈がふと気づくと、そこは薄暗い空間だった。かなり広い空間であることはわかるが、何があって何が行われる空間なのか知ることは出来なかった。
(ここは……?)
 体を動かそうとして、紗伊奈は体が思い通りに動かないことに気づく。感覚的には、壁を背にして立たされている状態だ。腕は左右にまっすぐ引き伸ばされ、足は揃えてまっすぐ下に伸ばされている。いわば、十字架に張り付けられているような体勢だった。
(いったい……どうなって……? もしかして……本当に、イっちゃってる奴に誘拐された……とか)
 拘束されている状態が、その予感を補強する。どういう意図であれ、無理矢理ここに連れてこられたのは事実だ。
 何とか拘束を緩められないかと軽く暴れてみたが、手足の拘束はびくともしない。
 これから何が行われるのか恐れながらも、紗伊奈にはどうすることも出来なかった。
 その時、静かだった部屋に、突然物音が生じる。紗伊奈がそちらを見ると、部屋の壁が開いて、そこから大量の水が流れ込んでくるところだった。
(水!? そんな!)
 死んでしまう、と思った紗伊奈だったが、その予想はあっさりと覆された。部屋の中に流れ込んできた水は、部屋の中心までくると、不自然に渦巻き、まるでCGのように『立ち上がった』のだ。水の渦が人間ほどの高さで立ち上がっている様は、この世の物ではありえない、不思議な光景だった。不思議と薄暗い部屋の中でも、水の様子はよく見えた。若干ながら、水は自ら光っているようだ。
 固唾を飲んで見守る紗伊奈の前で、その水の渦は形を変え、一人の男性の形へとなる。
 至って平凡そうな男性の姿だった。水が変化してそうなったとは思えないほど、しっかりとした服を身につけている。敏腕サラリーマンのようなピシッとしたスーツに身を包んだその男は、紗伊奈が自分を見ていることに気付くと、それに答えて笑顔を浮かべる。
「やぁ、どうも。目が覚めたのかい? こんな薄暗くてじめじめしたところで悪いね。いま電気を点けるから、少しはマシになると思うんだけど」
 男は何気ないしぐさで指を振る。すると、手の届かない位置にあった電灯のスイッチが作動し、部屋が明るい光に包まれた。突然の明かりに、思わず紗伊奈が目を瞑る。瞼を閉じてもなお目に突き刺さるような明るさに、辟易しながら徐々に目が慣れてきたのを感じて、恐る恐る目を開く。
 その部屋は、大体学校の教室くらいの広さだった。壁際に棚などが置いてある以外は特に特筆すべき点はない。壁はコンクリートがむき出しになっていて、地下にある倉庫などを彷彿とさせる。
「ところで紗伊奈ちゃん、手足の枷は痛くないかな? キツかったらいつでも言って。緩めてあげるから」
 壁際の棚の前に立って何やら道具を選んでいるらしい男が、紗伊奈に向かってそういう。問われた彼女は、そこで自分が壁際に拘束されていることを思い出した。
「は、外してください!」
「ダメだよ」
 紗伊奈の第一声はあっさりと却下された。
 半ば予想は出来ていたことだったので、紗伊奈は別のことを聞く。
「な、何が目的なんですか……?」
「目的……目的ねえ。色々あるけど、まあそれはあとのお楽しみってことにしといてよ。紗伊奈ちゃん」
 もう一度名前を呼ばれた彼女は、そこでおかしなことに気付く。
「……どうして、私の名前を?」
 勝手に荷物でも漁られたのかと思い、紗伊奈は不快感に顔を顰める。
 しかし男の答えは彼女の想像を超えるものだった。
「どうやって知ったのかっていえば……君の友達に教えてもらったんだよ」
 その男の言葉で、紗伊奈は消えてしまった二人の友達のことを思い出す。
「……二人に、何をしたんですか」
「んー、まあ、あっちの二人を残しておいてもよかったんだけどねえ。三人の仲では君が一番清楚そうだったから。他の二人はいかにも気が強そうっていうか、見た目が好みじゃなかったからさ。男女差別するつもりはないけれど、やっぱり女の子はお淑やかであってくれた方が嬉しいしね。その方が話すのも楽しいし」
 男は紗伊奈の質問に答えているようで答えていない言葉を返す。
「気の強いのを残して、ぎゃんぎゃんやかましく騒がれるのもあれだしねえ。……最初は、君が二人のパシリにでも使われているのかなと思ったりもしたんだけど……案外そうじゃなかったみたいだね。幼い頃からの親友だったとは」
「……そんなことまで、二人に聞いたんですか?」
 紗伊奈は違和感を覚えていた。
 彼女の友達二人は得体の知れない男に質問されて、素直に応えるほど従順な性格をしていない。どれくらい長い時間気を失っていたかはわからないものの、それでも数時間程度のはずで、その間に聞き出せるとは思えなかった。
 男は意地悪い笑みを作る。
「別に聞いたわけじゃないさ。『教えて』もらいはしたけどね。この違いは重要だよ」
 訳のわからないことを、さも誇りあることのように男は言う。紗伊奈は混乱するしかない。
 男はにやりと笑う。その輪郭が、崩れた。どろりとした液体の如く蠢き、渦を描く。
『つまりさ――』
 どういう方法なのか、男の声がその渦の中から聞こえてきた。水越しに話しているように不明瞭だが、その声はやけにはっきりと聞こえる。
 渦巻く速度がさらに加速して、渦自体が細くなる。徐々にそれは人型に近づいて行って。
『こういう――――こと」
 その言葉の途中で、渦は完全な人型へと変化した。
 そして、その変化した人型を見て紗伊奈は絶句する。
 現れたその存在は、くるりと小気味よく一回転し、スカートを翻す。
「ふふっ――どう? いい感じでしょ?」
 それは先ほどまでいた男の姿とはまるで違う姿だった。声すら低い男の声から変わっていた。

 その姿や声は――消えた友達のものだった。
 
 紗伊奈は絶句していた。その目の前で、彼女の友達の姿をした『何か』は自分自身の身体を見分している。
「うーん。やっぱり若いっていいよねえ。熟女は熟女でいいんだけど、やっぱりこの肌の張りは若いうちにしかないものだから」
 友達の顔をして。
 友達の声をして。
 友達の姿をして。
 その『何か』は友達の言葉でない言葉を紡ぐ。
 紗伊奈はその目の前で起きている現実に吐き気を覚えた。
「なん、なの……?」
 その言葉を聞き付けた『何か』は、紗伊奈の方を見る。
「なんなの、か。酷いなあ。紗伊奈は友達の姿も忘れてしまったの?」
「あなたは――っ」
 友達じゃない、とそういう意味の言葉を紗伊奈は口にしようとした。
 しかし、その口が突然背後から伸びてきた手によって塞がれる。
「――っ!?」
 驚く紗伊奈。それもそのはず、彼女は壁を背にした状態で壁に直接拘束されており、背後に誰かが入り込む隙間などないはずだからだ。
 紗伊奈は何とか首を捻って背後を見る。
 するとそこには、恐ろしげな光景が広がっていた。彼女が壁だと思っていたものが、液体状になって蠢いていたのだ。そしてその壁から直接腕が生え、彼女の口を塞いでいた。
 目を剥き恐怖に震える紗伊奈に対し、彼女の友達の姿をした『何か』が愉快そうに説明する。
「ああ、食ったりしないから安心していいよ、紗伊奈ちゃん。――まあ、友達は食っちゃったけどね」
 ぺろり、と舌で唇を舐める『何か』。
 紗伊奈はその化け物の言葉に身体を震わせるしかなかった。
 紗伊奈の友達の姿をした『何か』は、ゆっくりとした動きで彼女に近づいて来た。元々拘束されていて動けない紗伊奈だったが、いまは背後の壁がただの壁ではないことを知ってしまったため、余計に動けなくなっていた。下手に動いた瞬間、ぱくりと食われてしまうような気がしていたのだ。『何か』の言葉を信じるのならばそういうことはしないはずだが、それを鵜呑みに出来るほど、彼女はその化け物のことを信じられなかった。
 彼女が硬直している間に、『何か』はすぐ傍まで近づく。
「ふふっ、怯えなくてもいいわよ。ちょっと遊びに付き合ってもらうだけなんだから」
 それは手を伸ばし、紗伊奈の頬を軽く撫でる。
「中々いい肌をしてるわね。結構気を使ったりしてるのかしら」
 『何か』は少し目を細める。
「んー。普段はナチュラルメイクって感じね。元の素材がいいって得よねー」
 その物言いに紗伊奈は目を見開く。まるで、普段の自分を見て来たように――言っている。
 実際に見て来たように。
(もしかして……記憶を……っ)
 紗伊奈が思ったことを表情から読み取ったのか、『何か』は笑みで持って応える。
「そう、この子の記憶を読んでるの。便利でしょ?」
「正確には――」
 突然紗伊奈の背後で声がした。
 驚き、口を塞がれたまま紗伊奈が何とか背後を振り返ると、いつの間にか壁は消えていて見覚えのある顔がすぐ傍にあった。
 それは、彼女よりも先に消えてしまった二人の友達の内、目の前にいるのとは別の友達。
「記憶を引っ張り出してるんだけどね」
「だってもう『自分の記憶』なんだから」
 二人の友達は、まるで一人の台詞を二人で言うように、交互に喋る。
 紗伊奈は二人に挟まれ、身動きが取れなかった。サンドイッチするように二人の友達がさらに紗伊奈に近づく。壁は消えたものの、拘束具は消えておらず、両腕は相変わらず左右に伸ばした状態で固定されていた。壁に直接ではなく鎖が左右の壁まで伸びて引っ張っているため、壁に直接繋がれていた時よりは動くことが出来たが、それは何の意味のない僅かな自由だ。
 背後から口を抑えていた手が外れ、紗伊奈に発声の自由が戻る。
「っ――!?」
 何か言おうとした紗伊奈の口は、すぐさま再び塞がれた。
 今度は口で。
 背後に現れた友達が彼女の首を固定し、その唇を重ねて来ていた。
「唇も柔らかくて……本当にいい身体してるわね」
 背後の友達ではなく、紗伊奈の前にいる友達の方がそう感想を口にする。まるで自分が紗伊奈とキスしているかのように。
「その点に関してはこの子達も結構嫉妬してたみたいよ? いえ――嫉妬してたのよ、かしら」
 紗伊奈の口内を貪るように、背後の友達のディープキスは続く。二人の間で唾液が行き交い、長い舌がうねるように紗伊奈の口内を蹂躙していく。
 体内を舐めまわされる感覚は、彼氏のいない紗伊奈にとっては初めての経験であり、それをしている相手が自分の友達であるということに思考が追い付かない。
 さらに背後の友達は空いた片手を使って、紗伊奈の身体を触り始めた。表面を撫でるように、彼女の身体のラインに沿って手を動かす。
「身体のボリュームに関してはもうちょっと欲しいってところかな。ちゃんと食べてる?」
 背後にいる友達に合わせて、目の前の友達が肩を撫で、紗伊奈のお腹に巻きつかせるようにして腕を動かして行く。
 二人がかりで蹂躙される紗伊奈は身体の至るところで生じる感覚に翻弄されていた。
 キスをされているために呼吸が自由に出来ず、酸欠に近い状態になって気が一瞬遠くなる。
「はい。すっぽーん、ってね」
 瞬くほどの間の出来事だった。
 紗伊奈が気が遠くなったそのほんの一瞬で、身に纏っていたはずの制服が消え、それどころか下着までも消えていて、紗伊奈は全裸に剥かれていた。
(――!?)
 彼女はその事実に驚愕する。紗伊奈はずっと両手をそれぞれ真横に伸ばしており、制服の袖から手を抜くことすら出来ないはずだった。なのに、気付けば彼女の身体を覆っていた服は一つもなくなってしまっている。
 まるで手品でも見せられているかのようだった。
 突然の事態の変化に呆けていた彼女だったが、咄嗟に股を閉じようと脚を動かし――その脚が床に呑み込まれた。より正確に表現するなら、彼女の脚があった場所の床が僅かにせり上がり、彼女の脚を呑みこんだ。まるでセメントの中に脚を突っ込んでしまったかのような状態だ。紗伊奈自身はまるでイソギンチャクが何かの生物に脚を咥えられたような感覚を覚えていた。
「脚を閉じないでね。もっとよく見たいから」
 脚を包み込んだそれは、柔らかくも強い力で彼女の脚を左右に広げてしまう。
 大開脚をすることになった紗伊奈が裸である以上、当然その股間が見やすく広げられてしまったということである。秘めるべきその場所を暴かれているという恥ずかしさに、紗伊奈はその顔を真っ赤に染めた。そんな彼女の反応を友達の姿をした『何か』は楽しんでいる。
「真っ赤になっちゃって……可愛いわよ、紗伊奈ちゃん」
 前にいる方の友達がひざまずき、紗伊奈の股間と顔の高さを合わせる。友達とはいえ、当然のことながらそんな場所をこれほどはっきりと見せたことはない。さらなる羞恥に紗伊奈は耳まで赤くする。
「ふむ。全体的に見て中々綺麗な形ではあるけど……ヘアの手入れしてないの?」
 紗伊奈のそこは大人しめの外見にそぐわず、かなり生い茂っていた。手入れをさぼっていたことを紗伊奈は後悔する。
「ダメよ。ちゃんと手入れはしないと……仕方ないわね」
 そう言いながら、紗伊奈の股間に指を触れさせる『何か』。触れられた箇所からムズムズする感覚がすることを紗伊奈は感じた。
 指はすぐに離れた。
「はい、完了っ」
 楽しげに笑う友達。紗伊奈は何のことかと思ったが、すぐに違和感に気付く。妙に、その場所が涼しいことに。
 再び指が触れて来たことで、その違和感の正体は紗伊奈にも理解出来た。
「うん、つるつるになったわね」
 指が一撫でしただけで、彼女のそこから陰毛が全て消えてなくなっていた。紗伊奈のあそこはまるで子供のように何もなくなっていたのだ。
 単に剃ったというわけではない。どんな高性能な剃刀を使ったのだとしても、そこまで綺麗になることはない。
 ほんのわずかな産毛に至るまで、全ての毛がそこからは無くなっていた。どうやったのか紗伊奈には見当もつかない。だからこそ、その相手が異常な方法で行ったということは嫌でも理解出来た。
「ふふっ、それじゃあ、味を見させてもらうわね」
 つるつるになったそこを満足そうに眺めていたそれが、顔をさらにその場所に近づける。途端に紗伊奈は弾けるような快感がその場所から走るのを感じた。
(舐め……っ、舐められて、る……!?)
 紗伊奈のこれまでの経験上あり得ないことに、彼女はさらに混乱してしまう。
 その間にも友達の姿をした『何か』は、さらに紗伊奈の奥へと舌を伸ばす。
 じゅるじゅる、と妙に大きい水音がした。
「く、ぅ……っ」
 舌があっという間に奥まで到達してくる。明らかに普通ならば届かない領域にまで舌が伸びている。
「むふっ。結構、いい味ね」
 紗伊奈の身体の中を舐めている友達がそう言う。至近距離から吐息が秘部に直撃することなど、彼女の経験上ほとんどなかったことだ。その妙な感覚に紗伊奈は身体を細かく震わせて耐える。しかし、そんな些細な感覚など押し潰すように、さらに舌の動きが活発化した。
「むぁ……っ、あっ、あぁ、ッ……」
 友達の姿をした『何か』に前後から責め立てられる。
 紗伊奈はその異常な状況に翻弄されつつも、的確に与えられる刺激によって徐々に絶頂へと導かれていた。
 口内を嬲られ、胸を揉まれ、あそこを舐められ、体中を撫で擦られる。
 性感帯になりそうなところを徹底的に、二人掛かりで責められて、紗伊奈は何度も気をやった。
 身体から力が抜け、彼女の身体を拘束する鎖によって空中に繋ぎとめられている状態になっても、さらに責めは続く。お尻の穴や耳の裏側まで、責められ続けた。
 やがて紗伊奈に完全に力が入らなくなった頃、二人は同時に彼女から離れた。鎖で空中にぶら下げられている状態になった紗伊奈はふらふらと揺れる。
「うーん。紗伊奈ちゃん、エロくて可愛いよ」
 楽しげに観察している片方が囁く。
「ほんとほんと。食べちゃいたいくらい」
 ぺろりと舌を出してもう片方が呟く。
 紗伊奈はその言葉に恐怖を覚える余裕もなく、与えられ続けた快感の余韻が引くのを待っていた。
 霞む視界をなんとかあげ、『何か』の姿を捉える。
「それじゃあ――」
「仕上げと行こうか――」
 紗伊奈の見ている前で、友達二人の輪郭がぼやけて溶ける。
 二人の友達の身体は透明な液体状になって、アメーバの捕食行動の如く、紗伊奈へと覆いかぶさってきた。
 悲鳴もあげらない紗伊奈の身体があっという間に呑み込まれる。その液体が触れて来た瞬間、紗伊奈は異常な快感の渦に巻き込まれ、絶頂の嵐の中に呑み込まれて行った。


――そして、紗伊奈はふと気付く。


 傘を叩く激しい雨音がすぐ近くから響いていた。差している傘に雨粒が当たっている。
「え?」
 茫然と紗伊奈は呟く。思わず声が出てしまっていた。
 彼女はいつのまにか道路に立っていた。視界が悪くなるほどに激しく降る雨の中、一つぽつんと佇んでいる。
「……え? あれ?」
 紗伊奈は自分の姿を確認する。いつもの学校の制服だった。鞄も肩に提げている。
 何一つおかしなところなどない姿だ。
(なんだった、の……? 白昼夢――とか?)
 そう思って自分自身の手を見詰める彼女の視界に、割り込む影があった。
「紗伊奈ー?」
「何見てんの?」
 その二人の顔を見た紗伊奈は息を呑む。
「二人とも……っ!?」
 紗伊奈と共に帰っていた、二人の友達だった。彼女の脳裏に二人に責め立てられた記憶がフラッシュバックする。
 思わず身構えてしまった紗伊奈に対し、二人の友達は不思議そうな顔を見合わせる。
「どーしたの紗伊奈?」
「なんかあたし達の顔についてる?」
「え……?」
 普段通りの様子の二人に、紗伊奈は混乱する。
 何事もなかったかのように二人の友達はそれぞれ体を起こして歩き出した。
「ついてこないと置いていっちゃうよ?」
「雨凄いからねー。立ち止まりたくなる気持ちもわかるけど。さっさと帰ってシャワーでも浴びたいー」
 いつも通りに、日常そのままに。
 二人の友人は先を歩く。
 紗伊奈は二人の様子を見て、自分の姿を改めて確認し、自分自身を無理やり納得させる。
(夢……だったのよね。そう、あんなのが現実なわけがない……)
 紗伊奈は歩き出そうとして、足元にマンホールがあることに気付く。
 思わず身体を固くしたが、マンホールはきちんと蓋が閉まっており、その中から何かが出てくる様子はない。
(なんであんな白昼夢……いや、もう忘れてしまおう……)
 紗伊奈はそう決めて二人の友人を追いかけて歩き出す。
「待ってよ、二人とも」
 しかし彼女は『異常』に気付いていなかった。
 彼女の服装は外見からすれば普通だが、ブラジャーとショーツという下着類が消えていたこと。
 また、彼女が手入れを怠っていた秘部の茂みが無くなってしまっていること。
 その身体の感覚で明らかに分かるはずの、それらの異常に紗伊奈自身が全く気付けていなかったこと。
 そして何より。
 
 先を行く友達二人が、口元に歪んだ笑みを浮かべていたことに――紗伊奈は気付いていなかった。
 
 
 
 
『滴る水』 ~豪雨の底~ 終
 
 
 
 

Comment

No.545 / [#] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2012-03/09 00:50 (Fri)

No.547 / 名無しさん [#-] リクエスト

人間と犬の首が入れ替わるのも見てみたいですね。
犬と人の体格逆転も好きですぅ

2012-03/09 18:15 (Fri)

No.549 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

管理人のみの表示となっていましたが、非常にありがたいコメントをくださったので返信させてもらいます。
『望み』シリーズに関しては、正直私自身『ややこしいなぁ』と思っていました(笑)。
確かに副題を付けた方がいいかもしれませんね……。
とはいえ、いい副題がとっさに浮かばないので、更新する際に改めて考えたいと思います。

お気づかいありがとうございます!
参考にさせていただきますね。

2012-03/10 00:07 (Sat)

No.551 / 光ノ影 [#-] Re: リクエスト

コメントありがとうございます!

> 人間と犬の首が入れ替わるのも見てみたいですね。
> 犬と人の体格逆転も好きですぅ

おお……なんか『ビビッ』っとインスピレーションが来ちゃいましたよ……?(笑)
ああ、でもこのネタで書いたものはこのブログに載せていいんでしょうか。異形化はだいぶこれまで書いてきた作品とはだいぶ趣きが違うので、ブログ読者さんを不快な思いにさせてしまわないかと心配です……。
個人的には書いてて楽しかったんですが、『死神輪舞』の最後辺りとか、『牛』のその10辺りとか、全然読者さんの受けがよくなかったことがありましたからね……。
この話もそうなりそうでちょっと不安です。
もう少し考えてみます。

それでは、どうもありがとうございました!

2012-03/10 00:16 (Sat)

No.553 / Torainu [#CNtCm3fU]

執筆お疲れ様です

きっと神髄が理解できていないのでしょうね
もっとインパクトのある終わりにするか、主人公が最後どうなったのかもっとはっきりと書くといいかな~、なんて思ってしまいました
この終わり方も嫌いではないですけどね(笑)

小説家デビュー、実現できると良いですね!

2012-03/13 00:10 (Tue) 編集

No.554 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

Torainuさん、コメントありがとうございます。

> きっと神髄が~
ええと、乗っ取りとか取り込みの神髄が……という意味でしょうか?
すいません、おっしゃられている意味がよくわかりませんでした。

> もっとインパクトのある~
確かに。最初思いついたイメージが完全ホラーっぽかったので曖昧にするように書いてしまったのですが、もっとはっきりインパクトが出るように書いても良かったかもしれません。
力不足を痛感いたします。

> 小説家デビュー、実現できると良いですね!
短編でこの体たらくなので先行きはかなり不安です(笑)。
でも、頑張りたいと思います!

それでは、どうもありがとうございました!

2012-03/13 00:19 (Tue)

No.555 / ごんべー [#-] No Title

こんばんは、今日も楽しく拝見しています。

ダメ・・というより、『惜しいなあ』と感じた作品でした。
責める存在が『親友』という攻め手をイマイチ生かしておらず、親友なのに親友でないという戸惑いや羞恥心が足りてない気がします。
水の責めも戸惑ったり、秀逸だったり。
床が膨張する、と読んでJOJO三部のオランウータンを思い出しました。恐らくターミネーター2のT-1000が平べったくなって床に化けてるようなもの、とは思うのですが。
瞬間剃毛や水の舌はいいですね。時間があれば全身をローション・水責めも見れたかな?

前半とオチはやはりいいものだと思います。
次に期待しています。

2012-03/13 00:27 (Tue)

No.556 / [#] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2012-03/13 00:34 (Tue)

No.557 / Torainu [#CNtCm3fU]

すみません、書き方が悪かったですね

きっと僕が光ノ影さんの書きたかったことを理解できていないのでしょうね、特に最後…

↑ということが言いたかったのです

2012-03/13 07:28 (Tue) 編集

No.559 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

ごんべーさん、いつもありがとうございます。

> ダメ・・というより~
> 責める存在が『親友』という~
そうなんですよね……せっかく責めるときに『親友』という存在を乗っ取ったのに、そこをうまく書けなかったのが酷く心残りです。最初から別人だとわかっているのではなく、最初は親友だと思ってたのに別人としか思えない……みたいな流れにした方がこの形をするならよかったかなぁ、と反省です。

> 水の責めも~
水の責めもより激しく複雑な内容にすればよかったかなぁ、とも思ったのですが、あまりいい責めが思いつきませんでした。とっさに思いつく内容は以前書いた『蠢く液体』のところで結構書いちゃってたので……。

> 瞬間剃毛や水の舌は~
全身ローションは基本ですが盲点でしたね……水責めもやりようによったら特別な責めが出来てたかもしれませんね……もったいないことをしました……。

> 前半とオチはやはりいいものだと思います。
ありがとうございます。今回の話で一番書きたかったところがその部分ですので、そこが評価されると嬉しいです。

> 次に期待しています。
このシリーズの次回作はいつになるかわかりませんが、また書く気でいますので気長にお待ちください。

それでは、どうもありがとうございました!

2012-03/14 23:08 (Wed)

No.560 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

Torainuさん、なるほど。そういう意味でしたか。
表現力が足らなかったようで、力不足を痛感します……。

日々精練していきたいと思いますので、お付き合いくださると幸いです。

2012-03/14 23:11 (Wed)

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