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『千編万花』 第一章

2012年最初の作品はいきなり新作です(笑)。

・せっかく辰年最初の更新なんだからドラゴンネタで。
・最近TSものの書いてる量が少ないなぁ、書こう。
・書きやすく読みやすい文体で書いてみよう。

以上三点を意識して書きました。
私が思うがままに書くと、なんでこう長編になりそうな話になってしまうんでしょう……?
とりあえず、ガンガン書いてみたいと思います。

2012/01/02:追記
・タイトルを『千編万花』に変更。
・後半部分を新たに追記しました。


それでは、続きからどうぞ。
 
 
 
『千編万花』 ~第一章~
 


 正月の朝。目が覚めたら、私はドラゴンになっていた。
(……んなアホな)
 確かに今年は辰年で、私も辰年だ。その関係で、ドラゴンという物を人並み以上に知ってはいる。知ってはいるがなぜそれで私がドラゴンにならなければならないのか。
 目が覚めたら何かになっていた、というパターンはかの有名なカフカの小説にあり、はっきりいってこれが小説内の出来事だとしても陳腐なものだろう。
(そうか、夢か)
 夢なら話は早い。目が覚めるまでこの夢を堪能すればいいだけの話だ。
 私はそう結論付け、あくびを一つ落とす。
 口の中から噴き出した炎が部屋を半壊させた。これがいわゆるドラゴンブレスと言う奴か。
(凄いリアルな夢だなぁ)
 そう私が思う間に、炎を吹きつけられた部屋はあっという間に燃え、気付けば周りには何もなくなっていた。見渡す限りの平原が広がっている。
 そのことで私はさらにこの世界が夢であることを知る。私の住んでいる街は都会とは言えないまでも、かなり住宅が密集しているところで、部屋一つ焼けたところで周りが平原になるわけがないからだ。
 私はドラゴンの身体を動かして、ゆっくりと周囲を睥睨する。相変わらず夢とは思えないリアルさと爽快感だ。少し視界を上向ければ、青空がどこまでも広がっている。
(空も飛べそうだな)
 そう思った私は、背中に違和感を覚える。長い首を巡らせて背中を振りむいてみると、そこには蝙蝠のような被膜が張った翼が一対存在していた。
(さっきまではないと思ったのに……まあいいか)
 いままでなかったものが生じ、いままであったものが突然消える。夢にはよくあることだ。
 私は背中の翼に力を込め、羽ばたいて空へと舞い上がる。空気を翼が捉える感覚は想像のものとは思えないほどリアルで、私の身体は大空へと一気に舞い上がった。あまりに強い力で羽ばたいたからか、飛び立った場所ではクレーターが出来るほど激しい気流が発生していた。
(なんとも気持ちいいな)
 雲を突き破り、遥か上空を自在に飛ぶ。顔に当たる風はかなりきつかったが、瞳は全くその風の影響を受けていない。まるで分厚いゴーグルでもかけているかのように、風を感じなかった。しかし視界はゴーグル以上にクリアで、遠くの果てまで見渡すことが出来る。
(いい景色だ……こんな景色が見れるなら、夢も悪くないな)
 私は気分が良くなり、ハミングを口ずさみながら空をゆく。
 ふと、私は遥か下に街があるのを発見した。かなり高空のため、とても見えないのではないかと一瞬思ったが、いまの私の視力はとても高くなっているようで、街の至る所で動く人影すら鮮明に見えた。近づいてみようかと思ったが、ふと思いとどまる。
(街か……この姿で降りていったら、街を襲いに来たと思われるかな)
 私はそう考えた。いっそ先ほど窺えた力で街を蹂躙するのも面白いのではないかとも思ったが、物を壊すのはともかく人まで焼き殺すのはさすがに躊躇われる。
(ゆっくり近づいて行っても、この姿じゃ明らかに強面だしなぁ……小さな女の子の姿とかだったらな――)
 ふとそう思う――と同時に。

 私は落下していた。

 何が起きたのかわからない。
(え――っ?)
 先ほどまで力強く感じていた翼の感覚はどこにもなく、私はいつもの人の四肢をばたつかせる。否、いつもよりは細くて小さな手が視界の端に映った。
(まさか――)
 落下するスピードという物は、私が想像していたよりも遥かに速かった。私が何が起こっているのか理解する前に私の身体は地面に達し、全身をシェイクされるような衝撃が私を襲う。
 意識がどこかに吹き飛び、私は気を失った。




 周りの騒がしさで、私は目を覚ました。
(――っぅ、何がなんなんだ、一体……)
 私が何とか瞼を開くと、やけに高い位置にいる人達がこちらをやけに怯えた目で見つめている。私が動いたことがそんなに恐ろしいのか、一斉に見えなくなってしまった。
 どうやら私は高空から落下し、その衝撃で生じたすり鉢状のくぼみの中心に寝転がっているようだった。夢ながら生きているのが不思議なほどの状態だ。
(まあ、夢だからこそ、なのかもな……)
 私は節々が痛む身体を何とか起こす。
 そして、絶句することになった。
 身体を起こした結果見ることになった、私自身の身体は――。

 小さな、女の子の物だったからだ。

 細く手折れそうな手足といい、ふっくら柔らかそうな腹部といい、未成熟な胸部といい、陰りが薄いあそこといい――それはどうみても『幼女』と呼べる女の子の姿だった。
 私は幼女趣味ではないはずなのだが。というか、百歩譲って幼女趣味だったとして、その『幼女自身になりたい』などと考えはしないだろう。たぶん。実際にその手の趣味を持つ者がどういう風に考えているのかは私にはわからない。
「……どうなってんだ」
 何気なく呟いた言葉は、やはり幼女のような高い声音で紡がれた。傍で聞いている分にはさぞ微笑ましくて和める声質なのだろうが、自分自身がその声の発生源となれば違和感しかない。
 私が自分の手を見て茫然としていると、すり鉢状の側面を滑り、一人の中年男性が近づいて来た。やけに古めかしい……というか、まるでファンタジー系のRPGの世界に出てくる農夫ような服装をしている。
 思わずそちらの方に目を向けると、男は自分に敵意がないことを示すように、微笑みを浮かべた。
「言葉はわかるね? 話を聞いて欲しいのだが……」
 落ち着いた渋みのある声だった。とりあえず話を訊きたいのは俺も同じだったため、男の言葉を受け入れて頷きを返す。
「キミは『チキュウ』という言葉に聞き覚えはあるかい?」
 チキュウ、つまり『地球』のことだろうか。
 そう思った俺がふと気付くと、すり鉢状のくぼみの縁にいつの間にかたくさんの人が戻って来ていて、俺の動向を窺っているようだった。その目にはどことなく不安げな光がある。
 その視線は気になったが、聞き覚えがあるかないかでいえばある言葉だったので、もう一度頷きを返した。
 すると、途端に周囲に漂っていた不安げな空気が一掃される。安堵しているのがこちらにも伝わってくるような、あからさまな変化だった。
 最初に話しかけて来た男も緊張していたらしく、さきほどの微笑みよりもさらに自然な微笑みを浮かべ、私のすぐ傍まで近づいてくる。
「よくぞここに来てくれた! 街をあげて歓迎するよ!」
 半ば無理やり手を取られて立たされ、大きな掌で包み込まれるように握手される。
 私が戸惑う間にも、周りに集まっていた者達が次々近づいて来ては握手を求め、私はそれになし崩し的に付き合わされた。
「今日は歓迎の宴を開かないとな! ぜひうちに来てくれ!」
 とりあえず歓迎を受けることは出来たようだ。出来たようだが……。
「……とりあえず、服をくれませんか?」

 幸い寒さは感じなかったが、全裸で居続ける趣味はない。




 ドラゴンというか、中国の龍になるが、その系統のドラゴンには『色んな生物に変化出来る』という特性があるものがいるらしい。有名なのは『ドラゴンが交尾する際には蛇の形を取って交尾する』という話だ。そういうわけでドラゴンになれるということはそれ以外のものにも成れる――ということになるのだが、一体これはどういうことなのか、私は混乱しきりだった。
 最初は夢だと考えていたが、空から落ちた時の痛みと言い、『気絶から覚める』という感覚といい、どうやら単なる夢だとは言えないようだ。
 私は目の前の姿見に映る自分の姿を見て、溜息を吐いた。
(これが私とは……夢ではないとしたら、どうしてこんな姿になったんだろうか?)
 よくよく自分の姿を見るにつれ、それが本当に自分自身なのかがよくわからなくなる。
 その鏡に映っているのは本来の私とは似ても似つかない、愛らしい姿をした小さな女の子だった。ふっくらとした頬は微かに赤みが差し、思わず愛でたくなりそうな柔らかいものだ。腰まで届くほどに長い、触れるとさらさらとした髪は明るい金色で、まるで中世の貴族のように上品なウェーブがかかっている。なによりその整った顔立ちは人形よりも綺麗で、しかし無機質な冷たい感じはせず、活き活きとした子供の生気を感じさせる。細い手足は枯れ枝のように頼りなさそうであるからか、思わず守ってあげたくなるような姿だ。
 もっとも、それが自分自身とあっては、そんな気は全く起きないが。
(……どうしてこうなったんだ?)
 元々の私とは似ても似つかないこの子供の姿は、一体どこから現れたのだろうか。
 私が最近見た漫画や小説には、このような容姿をしている登場人物はいなかった。
(いや、最初は……ドラゴンになっていたんだったか)
 ドラゴンになっていたということの原因はわかりやすい。恐らく辰年だったからだ。
 昨年の暮れから大晦日にかけて、やたらとドラゴンのデザインやらなんやらを目にしていたから、ドラゴンの姿に変わったというのはまだわかる。
 『どうしてこうなった』のかは、相変わらずさっぱりわからないのだが。
(まあ、まずは話を聞いてみるか……)
 それで何かがわかるかもしれない。
 私は着替えのために用意された部屋から、人々が待つ大きな部屋へと向かう。


 話を訊き始めて早々、私は訝しげな声をあげることになった。
「救世主?」
 うさんくさい響きだと私は感じたが、彼らにとってはそうではないらしく、しきりに頷いている。
「はい。この国には昔からそういった言い伝えがあるのです。『十二の怪物現れる時、同時に十二の救世主が現れる』と」
 十二、という数に私は少し引っかかりを覚えたが、話はまだ続いていた。
「怪物の力は強大で、対抗出来る者は救世主だけだと言われています。そしてその救世主と言う存在は、『チキュウ』というところからやってくるのだと伝えられているのです」
「……その伝説がいつから、どこから語り継がれているものなのか、ということはわかりますか?」
「残念ながらわかりかねます。しかし、旅人などの話を聞く限り、この世界でならどこにでも伝わっているようですね」
 私は腕を組んで考え込む。謎は多いが、少し見えて来たことがある。
 まず私の知る世界と、この世界は別の世界であること。この世界はいわばファンタジーの世界だ。怪物と言う存在がまことしやかに語り継がれる程度にはそれが当然と認められている。
 そしてこれは恐らくだが、私は別に救世主として召喚されたのではないということ。『チキュウ』からやってくる救世主というのは、同じ『チキュウ』からやってきた怪物に対処するための存在なのだろうということだった。不思議な話だがこの世界は怪物と救世主を同じ世界から召喚しているのだ。それがどういうシステムの元で行われているのかまではわからないが、とにかくそれは理解出来た。
「…………この世界には魔法、と呼ばれるような技術はありますか?」
「もちろんあります。一般的には『魔可』と呼ばれる技法ですがね。『火を灯す』のが一番簡単な魔可です。魔法は古代生物や最上級魔可師が使う魔可のことです」
「なるほど……」
 その魔法だか魔可を使って、この世界に誰かが私を召喚した可能性がある。元の世界に戻るなら、いや――どうしてこんなことをしたのかをはっきりさせるためには事情を知る者を探す必要がありそうだ。
 私が考え込んでいると、突然説明をしてくれていた男性が立ち上がり、勢い込んで頼み込んで来た。
「不躾なことを承知でお願いします! 救世主様! 怪物を倒し、我々の世界を救ってはくださいませんか!? 出来る限りのお礼はしますし、衣食住に不便はさせません! この町を怪物から守っていただきたいのです!」
 私はあまりの男性の勢いに、思わずのけ反ってしまう。
「お、落ち着いてください。……そもそも、どうして私を救世主だと思うんですか? 全然関係ないかもしれないじゃないですか」
「それは……正直、確証があるわけではないですが、出現の仕方、子供らしからぬ落ち着いた態度、この辺りでは見られない容姿――どれをとっても、怪物の出現と同時に現れるという救世主であると思うのです」
 落ち着いた態度に関しては、単に自分の処理能力が追い付いていないだけの気もするが、置いておこう。
「そう、ですね……」
 確かに救世主として活動出来ないことはないだろう。ドラゴンの姿で発揮したパワーがこの姿でも発揮できるのかはわからないが、あれだけの強さがあれば何とかなるかもしれないという想いはある。この世界の力の基準がどういう物かはわからないが、救世主という肩書に遜色しない働きくらいは出来るだろう。
 だが問題は、私が元々単なる一般人で、試合と言う形ですら戦闘経験が欠片もないことだ。仮に怪物と呼ばれる者と戦うことになった時、その点で気遅れし、やられてしまう可能性は高い。しかし、どうあっても衣食住は確保しなければならない問題ではある。
「…………わかりました。私に出来る限りのことはします」
 そう私が口にした時、一斉に人々は湧いたが、それを遮って私は声を張り上げる。
「ですが! 見ての通り、私は決して戦いに慣れているとは言えません。もしかしたら、敵を目の前にしたら怖くなって逃げ出してしまうかも……そうならないよう、出来る限り頑張るつもりですが、過度の期待はしないでください」
 人々の間にざわめきが広がる。それは私に対する不安と、諦めにもにた許容によるものだった。いまは幼女そのものの姿をしている私を、戦いの場に駆り立てることになる罪悪感もあるのかもしれない。
 ともあれ、私としても出来る限りの努力はするつもりだ。自らが持つ力の確認などは出来る限り早くしておこうと思う。
「救世主様……そういえば、まだあなたのお名前をお聞きしていませんでしたね」
 そういえばまだ名乗ってすらいなかったんだった。
 しかし、私の名前をそのまま名乗るとこの姿には不自然な状態になってしまう。そこで私はこう答えた。
「アルファ、です。よろしくお願いします」
 これが、私が救世主として活動していくことを決めた瞬間だった。

 この決断がどういう結末に繋がるのか――いまの私には何もわからない。
 
 
 
 
『千編万花』 第二章 に続く
 
 
 
 

Comment

No.484 / nekome [#lWxbDKCI] No Title

「あくびを一つ落とす。
 口の中から噴き出した炎が部屋を半壊させた。」
の時点で盛大に噴きだしました。冷静さと行動の結果のギャップが良い掴みになっていますね!

小松左京の『地球になった男』を連想する導入でした。予想以上に面白い始まり方だったので、今後も非常に楽しみです。

2012-01/18 07:46 (Wed) 編集

No.485 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

> 「あくびを~
彼自身まさかそうなるとは思っていなかったと思います(笑)。
あくびの動作がたまたま火を吐く動作と被っていたのでしょう。慣れればあくびだけしたり、火だけ吐いたりは出来るようになるはずです。

> 小松左京の~
掴みはオッケー、なのに後ろはグダグダ……にならないように気をつけたいと思います。

コメントありがとうございました。頑張って書いていきたいと思います。

2012-01/18 23:33 (Wed)

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