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エピローグ

『思い通りになる世界』シリーズのエピローグです。
(エロ描写・要素はありません)

<本編>
第一弾はこちら ~ウェイトレス鈴~
第二弾はこちら ~ポニーガール理恵~
第三弾はこちら ~変態学校~
第四弾はこちら ~オブジェロード~
第五弾はこちら ~広がりゆく世界~
第六弾はこちら ~性奴の行進~
第七弾はこちら ~実演販売会~
第八弾はこちら ~宝石裸婦像~
第九弾はこちら ~人皮服飾店~
第十弾はこちら ~夢のレンズ~
第十一弾はこちら ~愛玩動物販売店~
第十二弾はこちら ~素晴らしき音楽の力~
第十三弾はこちら ~人間家電売り場~
第十四弾はこちら ~家具売り場~

では、続きからどうぞ。


『思い通りになる世界』 エピローグ



 久人はデパートの屋上へと上がってきた。
 夏帆子を初めとした取り巻きの奴隷たちは階下に置いてきたため、現在彼は一人だ。
 疲れた表情を浮かべる久人は、子供連れの主婦や家族で賑わう屋上を歩き、景色を眺めるために設置されているベンチに腰を降ろす。
「ふぅ……」
 大きく溜息を吐き、久人は空を見上げた。先ほどまでの騒動などなかったように、空はどこまでも高く雄大に広がっている。
 久人はそんな空をぼんやりと眺めながら、思考を巡らせる。
(まさか、思い通りになる力が利かない人間がいるなんてな……マジ焦ったぜ……)
 木原留美が言うことを利かなかった時の衝撃は、時間が経った今でも鮮明に思い出すことが出来た。本来当たり前にある『拒絶』。それをされることを『思い通りになる力』を得た久人はすっかり忘れていた。だからこそ知美に拒絶された瞬間、思考に空白が生まれ、彼女に逃走を許す結果になってしまった。
 一歩間違えば全てが終わっていたかもしれないと考えると、久人はうすら寒い物を背筋に感じる。
(今回は相手も混乱していたから良かった。だが、もしも『力を利かない』体質を利用してきていた奴だったら――)
 久人は終わっていただろう。
 後ろから刺すなり、殴るなり、いくらでも久人を害する手段はある。『力が通じない』というだけでその脅威は想像しがたいものになる。
 厄介なのは『力の通じない者を捕まえろ』というような命令が出来ないことにあった。力の通じない者がどの程度いるのかは久人にもわからないが、片端からあぶり出すことが出来ないのは厄介な事実だった。どこに紛れているかわからないということだからだ。
 ある日突然、出会った人物が襲いかかってくるかもしれない。その可能性は零ではない。
 久人は完全に自身の物となったように感じていた世界のことが、脅威に感じられるようになっていた。
 いつ牙を剥くかもわからない。
 確固として存在していたはずの足元が崩れて行くような、そんな不可解な感覚を久人は覚えていた。じわじわと胸の内を焼かれていくような焦燥感がある。
 空から視線を外した久人は、俯いて自分の足元を見て、肩を震わせ始める。
 それは不確定な未来を想い、絶望したから――ではなかった。
「……く、くくっ」
 久人は笑っていた。
 肩を震わせ、喉の奥を震わせ、壮絶な笑みを浮かべながら笑っていた。
「――ははっ、ははは、はははははッ!!」
 楽しい。
 自分の『思い通りにならない』者がいる。それが久人は嬉しかった。
 世界の全てが思い通りになる力を持つ久人は、その力の絶対的優位がなくなったことを逆に喜んでいた。次に出会った人間が突然御祖かかってくるかもしれないという不安すらも、彼は楽しんでいたのだ。それは人間ならばある意味当然の思考である。
 賭けごとに夢中になれる人間――もう少し健全に言うと、勝つか負けるかわからない勝負事を楽しめる者――ならば久人の心情は簡単に理解出来るだろう。
 リスクを抱えてこそ、楽しめることもある。
「思う通りにならない奴か……そういうスパイスがあってこそ、料理も引き立つってもんだ」
 そういった者の妨害をかいくぐって目的を達成する。あるいはその者自体を攻略する。
 それがまた楽しい。
 厳密には――やろうと思えば――『力の通じない人間』を焙り出すことは可能だ。他の全てを操ってしまえば、残っている者が『そう』なのだからある意味簡単な話である。しかしそれを久人はやらずにおくことにした。それはあえてリスクを背負い、より高いリターンを得ようという目論見だ。それで仮に斃されることになったとしても、リスクを背負うことによる喜びや楽しみは捨てがたい。
 久人はひとしきり笑った後、立ち上がって屋上の端へと歩を進めた。転落防止用に張られているフェンス越しに、眼下の景色を見下ろす。
 無数に行き交う人や車を見ながら、屋上にまで聞こえてくる喧騒を耳にしながら。彼は不敵な笑みを浮かべる。
 神のように世界を見下ろす久人は、小さく呟く。

「思い通りにならない世界、か」

 彼の呟きは誰にも届くことなく、世界に響いて消えていった。
 



~『思い通りになる世界』 第一部 完~



Comment

No.467 / Torainu [#CNtCm3fU]

4を読んで、最後は久人が負けてハッピーエンドなのか、とありきたりな結末を想像していましたが、この発想はありませんでした
最後まで楽しませてもらいました

この書き方ということは、第二部に続くのでしょうかね…?
来年も、執筆を頑張ってください

2011-12/31 22:39 (Sat) 編集

No.469 / 名無しさん [#-]

後から承認するとは・・・
夏帆子への命令が解けたのは意識にあったからかな?
「ノートを燃やせば力は消える」と思い込んでいたから、能力自体はもう彼女の中では無くなったことになっていて、意識することもなかったんでしょうね

薬とか機械を使えば落とせるんでしょうか?

2012-01/01 09:09 (Sun)

No.470 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

Torainuさん、コメントありがとうございます!

> 4を読んで~
よくよく考えると穴がある話(久人や留美の行動的に)かもしれませんが、とにかく久人が思い通りにならずにいらいらする話を書きたかったのです。
ハッピーエンドはハッピーエンドでも、『久人にとっては』がつくでしょうね(笑)。
これを書きたかったのは、次の展開のためでした。

> この書き方ということは~
上記に書いた通り『次の展開』、つまりは第二部の構想も練ってあります。
ただ、書き始めると延々時間がかかりそうなこともあり、書き始められるのがいつになるかはちょっとわかりません。
とりあえずは他の作品に手を回し、その間に第二部はきっちり練っておきたいと思います。

> 来年も、執筆を頑張ってください
別記事でも抱負を述べましたが、時間と気力とネタの続く限り頑張りたいと思います!

2012-01/01 09:48 (Sun)

No.471 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

12/01/01の方、コメントありがとうございます。

> 後から承認するとは・・・
一応、『誰かが書く』→『久人が認める』の流れなのでルール違反ではないはずです。
久人が文面を確認していなかったため、もしも留美が『元に戻る』以外のことを書いていたらまずかったでしょうね。

> 夏帆子への命令が解けたのは意識にあったからかな?
そうなりますね。久人がもっとも『操っている』ことを意識している相手だったため、全てを元に戻すときの大賞に含まれたのでしょう。留美の方も夏帆子を一番意識していたこともありますし。

> 「ノートを燃やせば力は消える」と思い込んでいたから~
留美としてはあのメモ帳が力の源だと考えていたために、久人本人が力を持っていたとは考えていなかったようです。
作中では触れませんでしたが、彼女がそう考えたのは『死神のノートがキーとなる漫画』の影響であると考えられます(笑)

> 薬とか機械を使えば落とせるんでしょうか?
力の効かない範疇がどこまでか、ということはまたいずれ書くことがあるかもしれないので割愛し、質問にダイレクトにお答えします。
結論から言えば落とすことは出来ます。
ただし、彼女に効く薬や機械という物は『現実にあり得る物』に限られます。
たとえば『人間家電売り場』のところで書いたような、オーディオ装置などは、留美には『単なる音がうるさい機械』としか認識されません。
薬も、『問答無用で人に言うことを聞かせる薬』を久人が作り出したとしても、それは留美には効きません。単なる睡眠薬なら効きます。
ですので、既存の薬や機械を使えば、留美を落とすことも可能かと思われます。
(確実なものではないでしょうけど……)

それでは、またどうぞお越しください。

2012-01/01 09:58 (Sun)

No.474 / 十里一元 [#-]

お疲れ様でした。
周囲の異常さに気付きながら生きていく人間、というのも面白いでしょうね。
小市民として生きるものあり、制度に乗って楽しむものあり、戦おうとする者あり。
ペット売り場の回の父親と同じ立場で、喜ぶ者もいるかもしれません。

2012-01/02 17:33 (Mon)

No.476 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

十里一元さん、毎度コメントありがとうございます。

> お疲れ様でした。
当初の予定より終了までだいぶかかってしまいました。
今後はもっとテキパキ進めたいと思いますが……どうなる事や(笑)。

> 周囲の異常さに気付きながら生きていく人間、というのも面白いでしょうね。
或る意味恐怖ではありますが、自信に影響がなければ状況を楽しもうとする者もいると思われます。
その視点が入ったりする話は外伝でぼちぼち書いて行こうと思っているので、書いたらぜひご一読ください。

それでは、どうもありがとうございました!

2012-01/02 22:48 (Mon)

No.477 / 疾風 [#ew5YwdUc] 感想です

 遅くなりましたが感想です。
 展開的に久人と留美のどちらが勝ってもおかしくなかったので,最後までドキドキワクワクしながら読めました。木原留美は結局どうなったのか明確に言われなかったのも含めて楽しかったです。
 後,新年明けましておめでとうございます。
第二部や外伝,番外編。あるいは全くの新作等,楽しみにしています。では失礼しました。

2012-01/07 14:12 (Sat) 編集

No.478 / 光ノ影 [#-] Re: 感想です

疾風さん、感想ありがとうございます。

>展開的に~
ギリギリまでどちらが勝ってもおかしくないと思わせるように頑張りました。
最後までドキドキワクワクしていただけたなら、それに勝る喜びはありません。

>木原留美は結局~
思いっきり書いているように見せつつ、断言はしないでおきました。
実のところ、久人が留美をどうしたのかということは第二部冒頭で明らかにしようかな、と考えていたりします。実際に書きださないとわからないところではありますけど……。

>後,新年明けまして~
あけましておめでとうございます。
今年も夜色世界をよろしくお願いします。
一杯書きたいものがあるので、それらを一つでも大きくかけるよう頑張りたいと思います。

それでは。またどうぞお越しください!

2012-01/08 00:49 (Sun)

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