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『滴る水』 ~蠢く液体~

息抜きに書いた短編です。
ジャンルは異形物・乗っ取りです。
 
<追記>
この短編は短編連作『滴る水』シリーズの一つに分類されています。
これ以外の『滴る水』シリーズは小説の目次からどうぞ。

 
それでは、続きからどうぞ。
 
 
『滴る水』 ~蠢く液体~




 気付いた時には、すでに『それ』は彼女の目の前に迫っていた。

 突然の事態に彼女の思考が止まる。彼女が『それ』がなんなのか理解する暇はなかった。
 『それ』はまるで獲物に飛びかかる肉食獣のように全体をしならせ、棒立ちになっていた彼女を呑み込んだ。
 悲鳴を上げるために開かれた彼女の口から声が発せられる前に、『それ』と彼女はもろともに近くを流れる河の中へと姿を消した。
 彼女が手にしていた傘がふわりと路上に舞い落ちる。その後、その道を通った者は開いたまま落ちている傘を見て不思議そうな顔をするが、とくにどうするわけでもなく、傘の脇をただ通り過ぎていく。
 道をゆく誰もが、一人の人間がたったいまその場所から消えたことに気付いていなかった。

(なに!? なにが起きてるの!?)
 その時の彼女の心境はその一言に尽きた。何気なく歩いていた帰り道。激しい雨に辟易しながらの帰路だった。
 とはいえ、風がほとんど吹いていなかったこともあり、雨量こそ多いが危険な様子はなかった。
 通学路になっている道の中で、橋の上を通らなければならない河も、普段と変わらない水量で危険なことは何もないはずだった。
 しかし、彼女の確信は突如起きた『何か』によって、あっさりと崩壊してしまった。
 彼女は水中に落ちた時のようにもがくが、どちらが上かもわからない。
(――鉄砲水にでも巻き込まれた……!?)
 水に呑まれたのかと彼女は考えたが、『何か』が押し寄せて来たのは川下に当たる方向からだった。
 いかに予想困難な自然現象とはいえ、水の流れを無視するような動きをすることはない。
 彼女は混乱したまま、翻弄され続ける。
(息が――だめ、苦しい――)
 彼女の全身を包み込む水のような物により、自由な呼吸を阻害されていた。咄嗟に息を止めてはいたが、もがくために力を使ってしまい、加速度的に苦しみは増していく。
 目も瞑っていた彼女にはわからないことだったが、この時、彼女の全身を包んでいる『何か』は、彼女を『中』に取り込んだまま、河の底に着地していた。『何か』は球形を取り、その地に接している部分を変化させてその場所から流されないようにする。さらに外郭を形成し、たまに流れてくる小枝や小石などではびくともしないドームを形成していた。
 つまり彼女は得体の知れない『何か』によって、外界から遮断された水底に閉じ込められてしまっていたのだ。
(もう――だめ、だ――)
 呼吸を我慢出来なくなった彼女は、大きく息を吸い込んでしまう。
 大量の水が彼女の口内に入り込む――と同時に、彼女はあり得ない現象を体験することになった。
(――ッ!? なにこれ!?)
 彼女の口の中に入ってきた水は、その侵入を口の中で勝手に止めてしまったのだ。その非現実的な感覚をあえて現実的な例で例えるなら、開いた口の中に弾力の強いグミを詰め込まれたような感覚に近い。噛み切ろうとして噛み切れるものではなく、飲み込もうと思っても飲み込めない。
「むぐぁ――ぅ……ッ!」
 渾身の力を入れても『それ』を噛み千切ることは出来ず、舌で押し出そうとしても強い抵抗の前にどうしようもない。彼女の顎は大きく開いたまま固定されてしまっていた。
 グミのような弾力ではあったが、『それ』に触れた彼女の舌からは何の味も感じ取れずにいた。
(――な、んなのこれ?)
 自分の力ではどうしようもないことを悟った彼女は、不可思議な現象を前に途方に暮れる。呼吸は相変わらず出来ないため、彼女は意識が徐々に遠くなっていくのを感じていた。
 そんな時、彼女の意識を強制的に覚醒させる現象が生じる。
「――んぐ、ぅっ!?」
 口内で動きを止めていた液体のようなものが動き始め、喉の奥へと侵入し始めたのだ。水よりも遥かに粘性を持った物が彼女の体の奥へと入り込んでいく。彼女の中にあった空気はそれに吸い込まれるように消えていき、彼女が感じたのは自らの体がまるで入れ物のようにその液体で満たされていく感覚だった。
 やがて液体は肺にまで達する。液体を押し出そうと横隔膜が痙攣するが、液体の前には何の意味もない。あっという間に肺の中までも液体が満たしてしまった。体の中、本来ありえない箇所で蠢く感触を覚えた彼女は、身を震わせて怖気を払おうとしたが、全身をその『何か』に包まれた状況では意味のない行為だ。
 その時、不意に彼女は呼吸が出来るようになっていることに気付く。かなり違和感のある形だったが、彼女が息を吸うと酸素が彼女の肺に吸収され、循環する血液によって体の各部へと運ばれて行っていた。
 どういう理屈かはわからなくても、とにかく窒息だけはせずに済むことを感じて彼女はほんの少し安心する。
 だが、それで事態が好転したわけではない。呼吸が出来るようになったがゆえに生まれた余裕で、彼女は考えてしまう。これは一体なんなのか。どうしてこんなことになっているのか。しかし、情報が少ないゆえに、彼女には何もわからない。
 途方に暮れる彼女を包む液体に、再び動きがあった。
「――むあっ!? んぁっ……!」
 彼女の中に入った液体が、肺だけでなく、胃の方にも流れ込み始めたのだ。
 彼女は無理矢理食道を押し広げていく液体の感覚に悶えるが、全身が液体の中ではまともに動くことすら出来ない。液体はどんどん流れ込む量を増し、彼女のお腹は食べ過ぎたときのように丸く膨らみ始めていた。
「うぁ……ぐう、ぇ……」
 体の中から圧迫感が広がり、彼女は苦しげに呻くことしかできなくなっていた。
 さらに液体の侵入は続き、胃の膨らみはすでに限界だった。このままでは彼女の胃は破裂してしまうだろう。
 それは液体もわかっているのか、胃を通り越してさらに先へと流れ込む。
「――いぎッ!」
 ボコン、と音がして、彼女の腹部が波打った。小腸へと入り込んだ液体は、さらに彼女の体を拡張しながら奥へと進む。液体が奥へと進んでいく様子は、外からでもはっきりとわかった。明らかに異常な動きで腹部がうごめいているためだ。
 着衣の上からでも察することの出来る動き、ということからその異常さは明らかだろう。
 さらに液体の侵攻は進み、大腸の形に彼女の腹部が盛り上がる。風船のような、という比喩が使えないほど歪に彼女の腹部は盛り上がっていた。
「おあ、あ……あぉ……ぅ……」
 体が内部から限界以上に押し広げられる感覚に、彼女の意識は途切れかけていた。
 そんな彼女の状態など考慮せず、液体はついに出口へとたどり着いた。
 すなわち――彼女の肛門である。
 排泄器官を内部から刺激される感覚は、当然ながら彼女にとって未知の感覚だった。出てしまいそうになる感覚に、生理的な反応として肛門に力が入り、出さないようにするが、普段と違って、排泄されようとしているもの自体に出て行こうとする意志がある。
 いつまでも抵抗出来るわけもない。僅かに彼女の力が緩んだ瞬間、液体は彼女の肛門から吹き出した。
 飛びだした液体は下着を押し下げ、彼女の恥部を晒してしまうが、彼女にはそんなことを気にしている余裕はない。無理矢理割り開かれた肛門の痛みを堪えるのが精一杯だった。
 その時、不意に彼女の目から圧迫感が消える。僅かに空気の滞留を肌で感じた。彼女は恐る恐る目を開く。
 目を開いた彼女の前には、有り得ない光景が広がっていた。
 液体は彼女の体を覆うほどのドームを形成していた。そのドーム状の空間の中には空白が確保されており、その内壁からは細長い触手のような形状になった液体が飛び出していたのだ。その内の一つが彼女の体を貫通し、肛門から飛び出している。
 その状況を彼女が見るのと同時、液体の触手は一斉に彼女へと襲いかかった。それらは液体であり、物理的な制約を受け難い。そのため、服を着ていることなど関係なく、触手は直接彼女の体に触れることが出来た。
 ブラジャーのような分厚い布も関係なく、液体の動きが直接乳房に影響を与えてくるのを彼女は感じていた。至るところを触手は触れ回り、彼女は突如として与えられた快感の渦に戸惑いながらも、腹部の苦しみからの逃避として、その快感に身を預ける。
「んっ、んあっ……うぅ、ん……」
 触手が動き回る度に、塞がれている彼女の口から官能的な喘ぎ声が漏れる。それは触手による愛撫が極めて高い快感を生み出している証拠だった。
 彼女に知るよしもなかったが、彼女の体の中に入った液体は彼女の体へと吸収され、媚薬と同じように快感を高める手助けをしていたのだ。
 刺激によってあっという間に硬くなった乳首を、液体は包み込むようにしてさらに刺激を与え続ける。そのことによって彼女はさらに悶えることになった。
「んぅ、あっ、ああっ、ぅう……ッ」
 刺激を与えられているのは乳房だけではない。耳の後ろや鎖骨、脇腹に太股など、性感帯になりそうなところには徹底的に刺激を与えられていた。
 そして液体の効力によって敏感になっている彼女の肌は、それら全ての感覚を快感として認識する。全身が性感帯になったかのような快感の渦が彼女自身を翻弄する。
 彼女の前の穴からはすでに大量の愛液が零れ出しており、それは彼女の身体を包み込む液体に吸収されて行く。それが何か関係しているのか、液体の動きは激しくかつ繊細になり、彼女の性感をどんどん高めていく。
「うぁあ、あっ、むぁあっ!」
 何度も気をやり、ぐったりと彼女が疲れた頃。液体はついに直接は触れていなかった彼女の秘部へ触れて来た。力が抜けていた彼女の身体に、瞬時に力が入る。
(そ、そこは……だめっ……いま触られたら……おかしく、なっちゃう……!)
 触れてくる触手から逃れるため、腰を引こうとするが全身が囲まれている中で逃げることなど出来るはずもなかった。
 出入り口に触れた触手の先端が、一息に彼女の身体の中へと入り込んでいく。
 ちなみに、彼女はいまだ処女だった。処女膜もまだ残っている。それを破られると想像し、彼女は聞きかじった知識にある処女喪失の痛みに備える。
 だが、彼女の予想を裏切り、触手は彼女に痛みを与えなかった。処女膜の中心に開いている穴、その太さに合わせて変化した触手が、処女膜を破ることなく彼女の奥へと侵入を可能としていていた。ただし、その場所を通り過ぎた後で質量を増しているため、彼女にしてみれば処女膜すら破れないうちに『身体の奥が広げられる』という不可思議な体験をすることになった。
 子宮の中にまで液体は入り込み、その中を強制的に広げていく。彼女の腹部はただでさえ膨らんでいた状況から、さらに膨らんでいく。
 その苦しみは拷問にも近い。彼女は腹部が限界以上に膨らむことによる激痛を味わうことになり、気絶寸前の状態だった。
 だが、彼女の意識が遠のくたびに、身体の中に詰まった液体はその全体を震わせ、彼女の体内から刺激を与えては彼女の意識を覚醒させる。相当乱暴な形ではあるが、確実に彼女の意識は覚醒させられる。
 ほとんど白目を剥きかけ、しかし気絶し切れない彼女の意識は崩壊寸前だった。
 そしてトドメとばかりに、彼女の子宮を満たす液体が最後の動きを見せる。
 子宮の内部をかき回すように、その全体を回転させ始めたのだ。彼女には経験ないことだったが。それは言うなれば振動するバイブを中で回転させるようなものだ。膣道ですら経験のないことを、処女のまま、子宮の内部でやられた彼女は溜まったものではない。
「――! ――ッ、っ――!」
 口を塞がれているという理由ではなく、声なき悲鳴をあげた彼女は、そのまま全身から力を抜き、気絶した。
 一度液体が彼女を起こそうとしたのか、彼女の中に注ぎ込んだ自身の体を動かしたものの、彼女は目覚めなかった。
 半円状を保っていたドームが崩れ、彼女の体を覆い尽くす。
 誰も知らない河の水底で、液体は彼女を完全に飲み込んだ。

 ざばり、という水音と共に、河の中から岸に上がる者がいた。
 全身ずぶ濡れのその者は、両手を使って何とか体を岸に持ち上げると、二本の足を使って全身を水から引き上げる。
「ふぅ……」
 濡れた前髪を掻き上げながら、彼女は嘆息する。
 彼女がいままで沈んでいた河の方を振り替えると、その中から不思議な液体に包まれた鞄が上がってきた。それを手に取った彼女は、軽く服装を正すと何事もなかったかのように歩き出す。
 道中、降りしきる雨にも関わらず、傘を差さずに歩く彼女を訝しげに見る者もいたが、特に声をかけられることもなく、彼女は自宅へとたどり着く。
 鞄の中から鍵を取り出し、玄関のドアを開ける。
「ただいまー。お母さん、ちょっと来てー」
 そう彼女が家の中に向かって呼び掛けると、台所の方から、帰ってきたばかりの彼女が十数年歳を経たような女性が顔を出した。どうやら、母親のようだ。
「おかえ――ってずぶ濡れじゃない! 傘はどうしたの?」
「急に強い風が吹いて……飛ばされちゃったの」
 その淀みない説明に納得したのか、母親は呆れ顔を作る。
「もう、ドジね。タオル持ってくるから、ちょっと待ってなさい」
 母親はそう言って家の奥へと歩いていく。その背後から、帰ってきた娘は母親の体を見つめていた。
「……いい体してるな。あとであっちも頂くか」
 ポツリと呟かれた言葉。それは小さな声だったが、母親は耳がいいようだった。
「なにか言ったー?」
 内容までは聞き取れなかったようで、洗面所からタオルを持って来た母親は聞き返す。
 玄関にいる娘は年相応の笑顔を浮かべている。
「なにも言ってないよ――お母さん」

 その体の端で、雨水ではない液体が蠢いた。
 
 
 
 
『滴る水』 ~蠢く液体~ 終
 
 
 
 

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