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『思い通りになる世界』 ~愛玩動物販売店~

『思い通りになる世界』シリーズの第十一弾です。
(ジャンル:MC・常識変換・畜化・箱詰め)

<本編>
第一弾はこちら ~ウェイトレス鈴~
第二弾はこちら ~ポニーガール理恵~
第三弾はこちら ~変態学校~
第四弾はこちら ~オブジェロード~
第五弾はこちら ~広がりゆく世界~
第六弾はこちら ~性奴の行進~
第七弾はこちら ~実演販売会~
第八弾はこちら ~宝石裸婦像~
第九弾はこちら ~人皮服飾店~
第十弾はこちら ~夢のレンズ~

<番外・一人旅編>
第一弾 ~ローカル線で~
第二弾 ~田舎町で~

<外伝>
第一弾 ~はじまりは喫茶店~
第二弾 ~新しい学校生活~ その1

では、続きからどうぞ。

『思い通りになる世界』 ~愛玩動物販売店~




 さまざまな動物がケージなどの中に入れられて売り出されているペットショップ。
 動物たちの鳴き声などで賑やかな店内に、若い父親とこれまた若い母親と子供の、明らかに家族と一目でわかる三人が入ってきた。父親は穏やかな笑みを浮かべていて、母親もまた楽しげに笑っている。子供は店内にいるさまざまな動物に目を奪われているようで、楽しげにその表情を緩ませている。『幸せ家族』を体現しているその三人に対して、カウンター越しに店員が声をかけた。
「いらっしゃいませー」
 三人のうち、若い父親が代表してその店員に尋ねる。
「ちょっといいかな? ペットを飼いたいのだけど……初めてでね。色々と教えてほしい」
 娘が目を輝かせているため、どうやら彼女がペットを飼いたいと強く希望しているようだった。
「ええ。もちろん構いませんよ。まず手続きがありますので、そちらの席に座ってください」
 店員はにこやかな笑顔を浮かべて、カウンターに一枚の書類を出した。その書類の上部には『愛玩動物管理証明書』という題名が記されている。
「それでは、まずこちらにお客様のお名前をお書きください」
 店員が名前の欄を指示す。ペンを取った父親はその欄に自分の名前を書いた。それを確認してから、店員はその下の欄へと指を滑らせる。
「次に、お客様はお連れの方がいらっしゃいますので……こちらの『提出愛玩動物』の欄に奥様とお子様の名前をお書きください」
「はいはい」
 若い父親はその欄に、自分の妻と娘の名前を書き込む。店員が朱肉を取り出した。
「では次に、奥様とお子様それぞれの拇印を名前の隣の欄にお願いします」
「わかりました」
「はーい」
 店員の求めに従って、母親と子供がそれぞれ親指を使って拇印を捺す。きちんと滲みなく拇印が捺されていることを確認して、店員は一つ頷いた。
「はい。ご協力ありがとうございます。これで奥様とお子様はこちらの店舗に愛玩動物として提出いただく扱いとなります。愛玩動物を『二匹』提出していただきましたので、お客様は愛玩動物を『二匹』まで無料でご購入することが出来ます」
「へぇ。そういうシステムなんだ。タダでいいなんて得したなぁ」
 若い父親は嬉しそうに顔を綻ばせる。母親と娘も楽しそうに笑っていた。店員は別の書類を取り出す。
「先に提出された愛玩動物の処理から済ませてしまいましょう。この書類に必要事項を記入してください」
 母親がその書類を覗き込む。そこには身長・体重といった基本的な情報を記入する欄から、持病・性癖など内面に関するものまで様々な必要事項を書き込む欄があった。飼い主に対する自己紹介文といったものを三百文字以内で書き込む欄もある。
「結構いっぱいあるわねぇ……」
「面倒くさぁい」
 不満げな声を漏らした妻と娘に対し、店員は恐縮して頭を下げる。
「申し訳ございません。規則でございまして……それに、この書類がないと新しい飼い主の方に貴女方の情報が伝わりません」
「仕方ないわねえ……。あら? 店員さん、この『種類』って欄は何?」
 母親が書類の中で何を書いていいのかわからない欄を指して、店員に尋ねる。店員は簡単な説明を返した。
「ああ、それは『犬』や『猫』など、動物の種類を書く欄ですよ。自由に決めていただいて構いません。その欄に書き込まれた動物として扱われるようになりますので。お薦めは『犬』か『猫』ですね。このあたりの動物なら管理も容易です。あまり特殊すぎる動物にすると、世話をしてくださる飼い主の方に負担をかけてしまいますから」
「じゃあ、パンダはダメってこと?」
 どうやらパンダが好きらしい娘は、そう店員に言う。店員は少し困った顔になった。
「ダメ、とは申しませんが……一般家庭では飼育されていない動物ですし、特殊な餌を購入する手間を飼い主の方にかけてしまうことを考えると、避けた方が無難でしょうね」
「そっかー」
「美紅は猫とかいいんじゃないか? いつも母さんにすりついているし」
 にこやかな微笑みを浮かべて父親が娘に提案する。母親も楽しげに同意した。
「そうね。美紅は昼寝好きだし、猫がぴったりじゃないかしら」
「じゃあそうしよっかなー」
 美紅というらしいその娘は、書類の『種類』の欄に『猫』と記入した。
「私はどうしようかしら。……『犬』、かしらね。私は犬好きだし」
「じゃあそれで決定だな」
 母親も自分の書類に『犬』と記入する。それぞれ書類の必要事項を記入していき、最後の挨拶文まで書き込み終わった。書き終わった書類は店員が回収し、それぞれ『犬』と『猫』と書かれたファイルを取り出してきて、その中に収める。
「はい。オーケーです。これで『二匹』に関する必要書類は以上です。それでは『二匹』はこちらでお預かりします」
「ああ、いい飼い主を見つけてやってくれ」
 父親は和やかな態度でそう店員に求め、対する店員は承知している、とばかりに軽く頷いた。それから店員は母親と娘に対し、ペンを置いて椅子から立つように命じる。そして父親に対して尋ねる。
「お客様。『二匹』に身につけさせている衣類はいかがいたしましょうか? こちらで回収処分することも出来ますが、記念にお持ち帰りいただくことも出来ますよ」
「そうだなぁ、新しいペットには新しい服を買ってあげたいけど……ああ、この『結婚指輪』は高かったな」
 父親は少し迷う気配を見せたが、高額な装飾品を『犬』が身につけていることもあり、『二匹』が来ている服は記念として取っておくことにしたようだ。
「脱がして持って帰るよ。あ、でも袋とか持ってないな……」
「よろしければこちらの紙袋をお使いください」
 店員がすかさずペットショップの袋を取り出してくる。父親はお礼を言ってそれを受け取った。そして、数分前まで妻だった『犬』の服に手をかけ、手際よく脱がしていく。元妻だった女は、朗らかな笑みを浮かべて、元夫が服を脱がしやすいように体をひねったり腕を上げたりして協力する。下着も脱がされて素裸になった元妻は、むしろ『このほうが自然な姿だ』とでも言いたげな満足げな表情で、四つん這いの体勢を取る。ペットショップの店員がその首筋にペットショップの刻印が入った首輪を巻きつけた。
 店員が母親に首輪をつけている間に、父親は娘の服も脱がしていく。こちらも抵抗なくあっさりと全裸になり、四つん這いになってから安心したかのように大きな欠伸をする。
「もう寝たいのか? まぁ、ケージに入れてもらったらいくらでも寝れるさ。もうちょっと頑張れ」
 父親は、動物にするように娘の頭を乱暴に撫でた。撫でられた元娘である『猫』は「ふにゃぁ」と欠伸交じりの鳴き声を上げる。店員がそんな『猫』に対して朗らかな笑みを浮かべる。
「可愛らしい鳴き声ですね。その様子ならすぐに買い手が見つかるでしょう」
「自慢の愛玩動物ですから」
 誇らしげな顔で断言する元父親に対し、店員は納得を示した。
「それでは……ご購入の手続きを進める前に、こちらの『猫』をケージに入れても構いませんか? 『犬』は言うことを聞きますが、『猫』は勝手に外に出て行ってしまうとも限りませんし……」
「ああ、構わないよ。まぁこの子はのんびりとしてるから逃げたりはしないと思うけど、トラブルになったら困るしね」
 承諾を得た店員は、『猫』の首筋を軽く掴んで誘導し、開いているケージの傍に『猫』を連れていく。ケージは『猫』の体より一回り大きい程度のもので、体を丸めて入ったらちょうどすっぽり収まりが良くなりそうだった。
「この中に入りなさい」
「はーい」
 『猫』らしく狭いところがお気に入りなのか、『猫』は嬉々としてケージに入り、体を丸めて全身をケージの中に収める。店員が扉を閉め、南京錠で鍵をかけてしまうと、すぐさま目を閉じて居眠りを始めた。愛くるしい寝顔をで寝る『猫』に対し、店員は優しい笑みを浮かべる。
 一方、服を脱いで首輪をつけられてから放置されていた元母親の方は、じっと『お座り』の姿勢を取ったまま微動だにしていなかった。店員は首輪を巻きつけた時に『待て』という命令を『犬』に出していたのだ。人の命令には必ず従う『犬』は、まさにその命令通り、『お座り』の姿勢でじっと『待って』いた。聞き分けのいい『犬』の様子に、ペットショップの店員は満足そうに感心する。
「いやぁ、大人しくて従順で、理想の『犬』ですね。こちらもすぐに買い手がつくことでしょう」
「そうかい? それなら嬉しいねぇ」
 カウンターの中に戻った店員は、仕切りなおすように「さて」という。
「それではお客様の愛玩動物購入の手続きに入っていきましょうか。まずは承諾書です。最近は動物虐待も問題になっていますし…………まぁ、あれだけ素晴らしい愛玩動物を所有なさっていたお客様なら余計な心配でしょうが、『愛玩動物を必要以上に酷使しない』という承諾書を書いていただきたいのです」
「いや、所有していたといっても、いままでは妻と娘だったからね。愛玩動物を上手く世話できる自信はないなぁ……ええと、その『必要以上に酷使する』っていう基準は?」
「そうですね、おおまかに言うと……『実際に死に至るレベル』ですね。躾の範疇ならどんなことをしても構いません」
 なるほど、と頷いて父親は承諾書にサインする。それを店員は確認し、にっこりと笑顔を浮かべた。
「それでは購入したい愛玩動物の詳細をお聞きしましょう」
「『犬』がいいんだけど、どんな『犬』がいる?」
 その客の求めに対し、店員は棚の中からファイルを取り出してきた。そこには様々な種類の『犬』の写真が収められていた。店員がいくつかの写真を示しながら説明をする。
「この『学生犬』などは毛並みも良く、非常にお薦めですよ。あとはこちらの『OL犬』も人気ですね。そちらの『犬』と似たタイプがよろしければこちらに『主婦犬』もご用意しております」
「一匹一匹全然外見が違うんだね。これは迷うなぁ……」
 楽しげに物色を続ける元夫。それを元妻であるところの『犬』は、『待て』の姿勢のままじっと見つめていた。
 やがて、元夫がどれにするのか決めたのか、ファイルから顔をあげた。
「よし、じゃあこの『学生犬』を見てみたいな。顔つきが美紅とちょっと似てるし」
 そう言って元父親は一匹の『犬』の写真を指さす。
「購入するかどうかは、実際どんな感じか見てから決めてもいいよね?」
「もちろんです。芸も一通り教えてありますので、それをやらせてみるのがよいでしょう」
 店員と元父親はペットショップの中でも少し広めのスペースが確保されている場所に移動する。走り回ったりは出来そうにないが、一通りの動作をする分には不自由しない程度の広さだった。店員は近くのケージの中から、元父親が示した『学生犬』を引っ張り出してくる。おっとりとした雰囲気をしたその『学生犬』は艶やかな黒髪をしており、癖のないまっすぐな髪質はそのまま『学生犬』の気質を表しているかのようだった。白い肌は若さゆえの張りがあり、年相応に膨らんだ双丘の頂点には品のいい色合いの乳首が見える。乳輪も綺麗なピンク色をしており、乳房全体の柔らかさもあって思わず触れたくなるそんな見事な造形をしていた。すらりと伸びた手足は折れそうなほどに細く、さほど運動を好んでいたとはいえないようだ。ただ引き締まった腰を見る限り、最低限の運動をしてスタイルを維持してはいたようである。まだ恥毛はそれほど毛深くなく、未成熟な段階にあるようだった。その頭には髪の色と合わせた毛におおわれた耳があり、お尻からは同じ色の尻尾が垂れ下がっていた。尻尾は肛門に突き刺さっているプラグから伸びており、このプラグは中で広がっているのでどれほど強い力で引っ張っても抜けることはない。細く白い首筋に巻きつく首輪はオーソドックスな赤色をしている。
 元父親は出てきたその『犬』を見て、感心した声をあげる。
「へぇ、『犬』らしく耳と尻尾があるんだね。うちのにはなかったからなぁ」
「色や形が気に入らなければ、別の物も容易しておりますよ。邪魔な時や選択する時は取り外しがききますし」
 ケージから引っ張り出された『学生犬』は、暫く落ち着かなさそうに周囲を見渡していたが、やがてゆっくりと元父親に近づき、軽くその身を擦り寄らせた。『犬』にじゃれつかれた元父親は朗らかな笑みを浮かべる。
「人懐っこいんだね。よしよし」
 元父親が掌を広げて『犬』の頭を撫でてやると、『犬』は満足げに顔をほころばせる。『犬』にとって誰かに撫でてもらうことは至福のことなのだ。
「なかなか相性がよろしいようですねー。では、芸の確認に入りましょうか?」
「ああ、頼むよ。どんな芸が出来るんだい?」
「基本的な芸は大体こなせますよ。ではまず……『お座り』!」
 店員がそう命じると、『学生犬』は両手を前で揃え、足をM型に開いてしゃがみ、お尻は地面につけず、しっかりと胸を張って前を見る、まさに見本のようなしっかりとした『お座り』の姿勢になった。元父親がその様子を見て感激する。
「へぇ。本当に綺麗な『お座り』だなぁ。へたくそな『犬』だと足の開きが小さかったり、背中が曲がっちゃったりするものだけど……これはなかなか」
 元父親は掌で『犬』の背中を撫でたり、乳房の片方を軽く握ってみたりして刺激を加えたが、『犬』の『お座り』の姿勢は一切乱れなかった。それはしっかりと芸の調教が行きとどいていることを示している。さらに店員の命令は続く。
「『伏せ』!」
 足が少し開いた正座の形から、腰から体を曲げ、両手は体に引き寄せるように縮めて揃えた両手のこぶしの上に顎を置くように前を向く。これもまた完璧な『伏せ』だった。綺麗に収まっているため、コンパクトにまとまっている荷物のような印象を見る者に与える。
「『ちんちん』!」
 『お座り』の時よりさらに足を開いて、つま先だけで体を支えるようにし、背筋をまっすぐ伸ばす。両手は軽く握った拳を顔の横に持ってきてバランスを取った。最後に高い位置にある人間の頭部に視線を合わせながら、口を開いて舌を垂らして、『ちんちん』のポーズを完成させた。おねだりをするようなその卑猥な格好と仕草、そしてとても嬉しそうな表情を浮かべている。足を百八十度近く開いているため、当然秘部もほとんど丸見えの状態だ。毛深い『犬』ならそこをおおう恥毛が、多少なりともブラインドの役割を果たすのだろうが、この『学生犬』はまだ若いということもあって毛が薄く、ヴァギナがぱっくりと開いている様子さえ見えてしまっていた。しかしそこは『犬』。人間の女性ならば恥ずかしさで死んでしまわんばかりであろうが、その『学生犬』は全く気にするそぶりもなく、客に向かって『ちんちん』の芸を堂々と披露していた。
 店員は次に客に対して求めた。
「お客様。ペニスをお出しになっていただけますか?」
「ああ、わかった」
 了承した客がズボンとトランクスを下して男性器を露出させる。当然だが特別屹立しているということはなく、力なく垂れ下がっている。
「『舐めろ』!」
 店員の命令に従って『犬』が動く。
 『犬』は元父親のペニスを軽く手で支えると、舌を出して舐め始めた。最初は反応していなかったペニスだが、執拗に刺激を与え続けられれば性的興奮を覚えていなくても次第に反応し始める。それなりに大きくなってきたところで、その『学生犬』は口の中にそのペニスを含んだ。舌を駆使して皮をめくり、刺激を加える。
「ふうん。犬の舌って結構ざらついているとかいう話を聞いてたけど、案外そうでもないね。気持ちいよ」
「人間のそれと同じようなものですからね」
 端的に元父親が感想を述べている間にも『学生犬』は刺激を続ける。すっかり屹立したペニスに与え続けられる刺激に、元父親は実に気持ちよさそうな笑みを浮かべている。しかし、その時元父親は『学生犬』に変化が生じていることに気付いた。
「ふぁ、はっ……むぁ……」
 『学生犬』の息が荒くなり、目が半分閉じて快感を覚えているのがわかるようになっていたのだ。肌が少し赤みがかり、艶のある表情を浮かべている。
「もしかして……この子、興奮してる?」
「ええ。『学生犬』だけではなく『犬』にとって飼い主のペニスにフェラチオを行うということは、一種の性的快感を得ることが出来る行為なのです。また、そうすることによって性器の分泌液を増加させ、受け入れやすくする意図もあると言われています」
「ふぅん。さすがは『愛玩動物』。よく出来ているねえ……ところで、このまま口の中に出しちゃってもいいのかな? それとも、性器に入れた方がいい?」
「どちらでも構いません。ただ、ここではベッドもないですし、服を汚しても困るでしょうから、ここでは口の中に出すといいと思います」
「わかった」
 店員のアドバイスを聴き、元父親は口の中に出す方向で決めたようだ。『学生犬』の頭を掴んで、前後運動をさせる。喉の奥まで突かれることになった『学生犬』は苦しそうに表情を歪めたが、しかしそれと同時に快感が高まりもしたようで、とろけるような笑顔を浮かべるようになっていた。苦しくてもちゃんと噛まないようにしつけられていることをこれで元父親は確認したのである。
 最終的に、父親は『学生犬』の喉の奥めがけて射精を行った。喉の奥に精子が直撃した『学生犬』は一瞬むせるようなしぐさを見せたがそれを堪えてなんとか吐き出された全ての精子を飲み込んだ。涙目になってはいたものの、それでも精液を飲めたことが嬉しいのか笑顔を浮かべて元父親の顔を見上げる。
「へぇ。本当によく躾けられているね。気に入ったよ。二匹購入するうちの一匹はこれにするね」
 『学生犬』のけなげな仕草に満足したのか、優しく笑いながら元父親がその『学生犬』の頭を撫でた。
「ありがとうございます」
 購入する二匹のうちの一匹を決めた元父親は、もう一匹は何を買おうか考え込む。店員の許可を得てペットショップの中を見て回った。『犬』や『猫』、『ハムスター』などは基本として、バニーガールの衣装を着ている『兎』、色々なギミックがついた箱に潜り込む『亀』、珍しいところでは腹太鼓を叩く『狸』や必要以上に太っている『豚』などもいた。
「『鳥』もいるんだね」
「ええ。ただ、鳥ですがここにいる種類の物は空は飛べません」
 『鳥』は単純に『鳥』だけではなく、歌を歌うのが得意な『鳥』やオウムのように人の言葉を喋る『鳥』もいる。孔雀のようにきらびやかな衣装を身に纏っている『鳥』までいた。
「『人魚』……はうちには大きな水槽もないし、難しいかな?」
「こう言っては何ですが、『人魚』のみならず『魚』系は広い庭と池を持つ富豪の方用ですね。たまに買い求めにいらっしゃる方もおられますが」
 水槽に半分体を着け、窮屈そうにしている『魚』は元気がなかった。元々泳ぎが得意だということで『人魚』という種類の愛玩動物になった経緯を考えても、泳げない状況は辛いようだ。
「うーん。何か見てて面白い愛玩動物っていないかな? さっきの『学生犬』がいれば一緒に遊ぶ動物に事欠かないとは思うし。見ているだけでも楽しいっていうのがいればいいな」
 その元父親の求めに、店員は少し考え込む。
「そうですね…………ああ、そうだ! 別枠で料金がかさんでしまうかもしれませんが、一匹その条件に合うのがいますよ。こちらです」
 そう言って店員は一つのケージの前に元父親を案内する。店員が元父親を案内したのは『猿』が入れられているケージの前だった。20代半ば頃の女性の姿をしたその茶髪の『猿』は、ケージの前に立った二人のことには目もくれず、ひたすらある行動を繰り返していた。元父親はその『猿』の様子を見て、興味深そうに唸る。
「へぇ……これは中々」
「猿が『マスターベーションを覚えると死ぬまで続ける』というのは都市伝説の類ですが、この『猿』に関しては完全な嘘だというわけではないのですよ」
 そう言って元父親と店員が見つめる先、『猿』はまるで視線を憚るということがなく、自慰に耽っていた。元娘が入ったケージよりは若干大きめのケージに入れられているその『猿』は、ちょうど元父親や店員の腰のあたりに床が来る高さにケージが設置されている。そのため、かかがみ込む必要もなく、ケージの中が良く見えるようになっていた。そんな状態で、その猿はむしろ見せつけるようにして女性器を突きだしながら、オナニーを続けている。弄っている指先が見えやすいようにか、その『猿』の恥毛は全て綺麗に剃られてあった。すでにもう何時間も自慰を続けているのか、すっかり感度が高まっている状態にあるようで、少し指を動かすだけで『猿』は体をはねさせ、あえぎ声をあげている。暫くの間父親は興味深そうにその『猿』のオナニーの様子を見ていたが、ほんの少し不満そうな顔をして店員を見た。
「確かにこれはこれで興味深いけど……さすがにずっと見てると飽きてきそうだよ。基本的に指で弄っているだけだし、飼い続けるにはもうひとつ魅力が足りないかな……」
 『猿』の行為自体は興味深いものではあったが変化がない分、ずっと見ていると飽きてしまうだろう。父親の言葉を予想していたのか、店員は笑顔を浮かべる。
「心配ご無用です。確かに、普通の愛玩動物では自慰の様子を見るだけでは退屈でしょう。しかし、この愛玩動物は『猿』なのですよ」
 言いながら店員は近くの箱の中にあったバイブを取り出す。そして、それをケージの檻越しに『猿』に手渡した。『猿』は嬉しそうにそのバイブを受け取ると、器用にスイッチを入れ、それを自分の中に突き入れる。元父親はその行為に驚く。
「これは……なるほど、道具を使うことが出来るってことかい。手先が器用な『猿』らしいね」
「ええ。ちなみに、他の愛玩動物をその手に持った道具で責めることも出来ますよ。お客様の例でいえば、あの『学生犬』をバイブで責めさせることが出来ます」
「それは……なるほど、新しい道具を買えば変化もつけられるし、見ているだけでも楽しくなりそうだね。別枠で料金がかさむっていうのはそういう意味か」
 新しい道具を買い与えるのだとすれば確かにお金がかかってしまう。しかし色々な道具を使う様子が見れる、その上責める側にも回れるということで中々便利に使えそうではあった。
 仮に飼い主が女であれば、『猿』に自分を慰めさめさせることも出来る。実際に猿をペットにしている者も少なからずいることを考えると、他のもっと珍しい愛玩動物に比べれば飼育も簡単だろう。
「……よし、わかった。購入する愛玩動物はこの『猿』にするよ」
「承知しました。それではこの『猿』を買うに当たって、基本的な注意事項をお教えしましょう」
 そう言って店員は一対の手枷を取り出してきた。鎖による遊びはほとんどなく、完全に両の手を一つにまとめて拘束してしまう類の手枷だ。
 それを見た元父親は不思議そうな顔をする。
「店員さん、これは?」
「これはですね、『猿』の手を拘束するためのものです」
「『猿』の手を拘束? なぜ?」
「先ほど少し申し上げましたが、普通の猿はマスターベーションを覚えたからといって死ぬまで続けることはありません。しかしこの『猿』は『手が自由なうちはずっと自慰を続ける』という習性があるんです。ですので、休ませたい時や眠らせる時、長く家を空ける時などはこの手枷で後ろ手に『猿』を拘束してあげてください。そうすれば『猿』は自慰をやめますので。ただ、あまりにも長い間自慰を抑制させていると、それはそれでストレスを感じて病気になってしまったりするので、程よい管理をしてあげてください」
「ああ、なるほどね。わかった。気をつけておくよ」
 納得したように元父親は手枷を受け取る。その後、細かな書類や申請書を書いた後、元父親は『学生犬』と『猿』をそれぞれケージから出して、首輪にリードを着けた。
「そういえば…………犬猿の仲ってよくいうけど、愛玩動物は喧嘩する心配はないのかな?」
「それは、飼い主の態度によりますね。飼い主が片方ばかりを可愛がっていると、もう片方が拗ねてしまうこともありますから……二匹とも平等に構ってあげるのがいいでしょう。ただ、お客様のケースの場合、『猿』は割と自慰が出来ればそれで満足することが多いですから、問題ないかもしれませんね。あ。あとそれとこれはおまけです」
 そう言うと店員は大量にバイブやローターが入った紙袋を元父親に手渡した。普通に買えば明らかに数万円はしそうなグッズの数に父親は純粋に驚く。
「これは?」
「それはですね、その『猿』が自分を提出しに来た時に、一緒に持ってきたグッズなんですよ。どうやら、元々自慰が大好きな人だったらしくて。動物の希望種類欄に迷わず『猿』と書いていましたよ。死ぬその瞬間まで自慰を続けて死にたいという希望を出していましたね。一応、それらの詳細を記した書類もあります。荷物の中に入れておきましたので、興味があればご覧ください」
 バイブと書類の入った紙袋を受け取った元父親は、ひとまず『猿』の手を後ろ手に拘束し、自慰をいったん中断させ、『学生犬』と『猿』の首輪に繋いだリードをそれぞれ手に持った。
「それじゃあ、今日はこれで帰るよ。何かわからないことがあったら、質問しに来るから」
「お待ちしておりますよ。ご提出いただいた愛玩動物はきっちりと次の飼い主様の元に提供させていただきます」
 元妻と元娘をペットショップにおいたまま、元父親は『学生犬』と『猿』を連れて歩きだす。『学生犬』は膝を地面に着けない四つん這いで、『猿』は手が拘束されていることもあってか、普通の人間と同じように、二本の足で立って歩いていた。首輪に繋がれたリードを引かれている様は奴隷のようにも見えるが、それに大して元父親は特に妙に思うことはなかった。
「さて、と……あとはもう寄るところもないし、帰ろうかな」
 腕時計を見ると、まだ時間はあるようだった。この後どこかにいく予定だったような気もしたが、彼はデパートにさほど関心をひかれるものがあるわけではない。仮に『妻や娘がいたなら』二階の服飾店などに寄っていたかもしれないが――妻子を持たない彼がそこに行こうと思うことはなかった。
 エレベーターを使って屋上の駐車場へと向かおうとした時、不意に一人の青年が元父親に声をかけてきた。
「よう。ちょっといいか?」
 いきなりそんな調子で話しかけてきた青年に、元父親は特に気を悪くした様子もなく、普通に応じる。
「なにかな?」
「ペットショップで何を買ったんだ?」
(この子も、これからペットショップで何か買うのかな? すでにたくさん連れているようにも見えるけど……)
 青年の背後には上半身だけスーツを身につけた女性や、様々な特徴を兼ね揃えた全裸の女性たちがいた。いずれの女性も共通しているのは優れた外見をしていることだ。
 元父親は青年の問いかけに答える。
「見ての通り、『学生犬』と『猿』だよ」
「ふぅん。実はあんたが店に入る時から見てたんだけど。その時連れてたのは?」
「ああ、あれは妻と娘だよ。いまは『犬』と『猫』になったけど」
「そいつらは置いてきたのか?」
「置いてきたも何も……ペットショップに連れて行った愛玩動物をショップに提出するのは当たり前だろう?」
 なぜそんな常識を聴くのか、元父親は少し青年を妙に思った。青年はなぜか愉快そうに笑っている。
「そうだな。そうだったな。『そう』したんだから当然だが……。それじゃあな。参考になったよ」
 青年は軽く手を振りながら元父親の前を離れ、ペットショップへと入って行った。
(やっぱり彼も購入するつもりだったのか。それで意見を聞きたいと思ってたんだな)
 元父親は自分の考えに納得しながら、改めて『学生犬』と『猿』のリードを牽いてエレベーターへと向かった。

――これから始まる愛玩動物達との生活に想いを馳せながら。




 世界の全てが『思い通りになる』力を振るう久人は、デパートの中にあるペットショップを彼好みに改変していた。そのペットショップに入った久人は、自身が作り出した現実的にはあり得ない光景を満足そうに確認する。客として訪れた女性を『愛玩動物』として販売するペットショップは、それを開始して数時間ですっかりその様相を変えてしまっていた。
 敷地内に積み上げられた大型のゲージの中には、自らをショップに提出した、あるいは共に来店した男性のパートナーによって提出された女性が入れられていた。つい数十分前まではお洒落な服を着て幸せ一家を満喫していた元娘は、ゲージの中で安らかに眠っている。素裸で丸まってゲージの中に収まっているため、一見普通の動物に思ってしまえるくらいだ。それくらい元娘はペットショップの風景に馴染んでいた。
 久人はその元娘を一瞥するだけで済ませ、カウンターへ向かう。自覚もないまま異常なペットショップを経営することになった店員に久人は声をかけた。
「おい、ファイルを見せろ」
「はいはい。少々お待ちを……はい、どうぞ」
 ファイルを受け取った久人は、これまでにどんな『愛玩動物』が提出されたかチェックする。
「ふぅん……まあ色々と提出されてるな……しかし、あまり変わり種はいないか……」
 どんな珍妙な『愛玩動物』が提出されるか楽しみにしていただけに、久人は少々残念な気持ちになっていた。実は「ショップを訪れた女性は、『愛玩動物』として提出されるように」としか久人は定めていないため、常識的に考えて飼育しやすい動物の種類を選びがちになってしまうことを意識出来ていないのだ。
 その時、ちょうどペットショップに来店があった。四人組の女性グループだ。中々に整った顔立ちをしている。お揃いの制服を身に付けていることから、学生仲間ではないかと推察することが出来た。
 四人の中でも姦しい他の三人に比べて、一人だけ妙に気弱そうな女性がいた。その女性の容姿は他の三人に比べて、一ランク下に位置していた。おそらくだが三人組が自分たちの引き立て役としてその女性を利用しているのだろう。とはいえ人間関係自体は良好のようで、その気弱そうな女性も混ぜて楽しげに会話していた。
「可愛いの買おうなー」
「どんなのがいるだろー」
「うわぁ、この子可愛いー」
「マキー。どの子にするー?」
「えっと……ハムスターがいいな」
「あー、ハムスターいいよねー」
「可愛いしねー」
 そんな風に姦しいガールズトークを繰り広げながら、店内を見て回っている四人組を暫く見ていた久人は、面白い趣向を思いついた。このままだと全員ペットショップに提出されることになるので、店員に指示を出す。店員はその指示を了承した。
 やがて、異常な光景のペットショップを楽しく見回っていた四人組が店員のいるカウンターのところにやってきて、店員に声をかけた。久人はカウンターの端の椅子に座り、四人組の動向を観察していた。
「すいませんー。ちょっといいですかー?」
「はいはい。いらっしゃいませー」
「あたし達、っていうか、マキがハムスターを買いに来たんですけどー」
 四人組の中で、一番気弱そうな女性の名前がマキというらしい。
 店員は、さっそく久人に言われた通りのことを四人に提供する。
「ありがとうございます。それでは一つ提案があるのですが――当店では提出された『愛玩動物』の数分、無料で『愛玩動物』を購入することが出来ます」
 ですので、と店員は続ける。四人組の中で一番気の弱そうな女性――マキを指示しながら。
「そちらのお客様が提出者となり、他に提出された皆様をそのまま『愛玩動物』のハムスターとする――とすることが出来ますよ」
「え? まじ?」
「それなら、タダで手に入るじゃん」
「良かったねー。マキ?」
「う、うん。嬉しい」
 店員の提案は、満場一致で受け入れられたのだった。
 四人組の女子達はさっそく書類を書く。マキを購入者として、他の三人は自ら自分たちを『ハムスター』として一端ペットショップに提出し、その三人をマキが購入する運びとなった。
「マキー。ちゃんと飼ってよねー?」
「ほっとかないでよ?」
「ちゃんと餌頂戴ね? 粗末な餌は嫌よ?」
「が、頑張る。……だから、出来るだけ長生きしてね。すぐに死んじゃったら悲しいし……」
 すでに認識上はマキが飼い主であり、他の三人は彼女のペットとなっている。つい一瞬前まで『仲のいい友達』という関係だった四人組の変わってしまった関係を、久人は傍から楽しげに眺めていた。
 暫くして書類の記入が終わり、マキを除いた三人はさっそく身に着けていた制服を脱ぎ、人間から完全に別れを告げて『愛玩動物』となる。全裸の三人は、主人となったマキにじゃれるように体を擦り寄らせた。むき出しの胸がマキに押しつけられて歪む。一見すればレズ行為でもしているかのような光景だった。しかし彼女たちには異常だという認識はなく、飼われている動物が飼い主にじゃれついている程度の認識しかない。
「くすぐったいよー」
 『ハムスター』達にじゃれつかれて、マキはくすぐったそうに笑う。『ハムスター』達はそんなマキの様子を見て、さらに楽しそうに体を擦り寄らせていた。
 書類を纏めていた店員が、ふと気付いたようにマキに向かって問いかける。
「ところでお客様。『愛玩動物』のお持ち帰りはいかがいたしましょうか?」
「あ、そうですね……さすがにこの『ハムスター』は手に提げて持って帰れませんし……」
 普通なら手提げの籠にでも入れれば十分持って帰れるのだが、もちろんそれは普通のハムスターの話であり、人間大の『ハムスター』を手に提げて持って帰るわけにはいかないとい。先ほどの『犬』と『猿』は首輪にリードをつけていれば十分連れて帰れたが(交通手段が車ということもあった)、『ハムスター』に首輪をつけて連れまわすというのは常識的にあり得ない。
(そうか、そういう矛盾が生じるのか。……どう解決するのかな)
 久人は自分が想定していない事態になったことを察し、興味を持ってその推移を見守った。
 店員がマキに向かって提案する。
「直接お客様のご自宅に配達いたしましょう。……もちろん配達代がかかってしまうことになりますが」
 マキは少しの間考えていたが、自力で持って帰ることはできないし、応援を呼ぶのも難しいと結論を出したようだ。
「……そうですね、仕方ないです。配達でお願いします」
「かしこまりました。それではこちらの書類に住所と電話番号をご記入ください」
 半ば荷物扱いで配達されることになった三匹の『ハムスター』達だったが、それをわかっているのかいないのか、にこにこと幸せそうな笑みを浮かべている。
「それでは、今日中には届けられると思いますので」
「わかりました。……それじゃあ、お願いします。じゃあ、皆。後でね」
 まるで学校で友達と別れるときのように軽く『ハムスター』達に声をかけたマキは、店員に向かってぺこりと頭を下げて店から出ていく。
 久人はそれを追いかけた。彼女に質問しておきたいことがあったからだ。
「なあ、お前」
 ぞんざいに声をかけると、マキは必要以上に体を震わせて驚き、体を竦ませながら振り返った。男性に声をかけられるということに慣れていないのだろう。
「は、はい?」
 体を竦めているその仕草は、どことなく誰かの背に隠れるような仕草だった。おそらく先ほどの三人組が人間として傍にいた頃はその背に隠れていたのだろう。
(ほう……そういう『習性』は関係性をなくしたままでも、残ったままになっているのか)
 久人の『思い通りになる』力でも、彼が『思っていない』ところがどう変化しているのかはわからない。全てが『思い通りになる』がゆえに、そう言った『思いがけない変化』を久人は少し楽しんでいた。
「お前さ、さっきペットショップで『ハムスター』購入してたろ」
「え、えっと。はい。購入した……というか、一緒について来てくれた皆が『ハムスター』になってくれたっていうか……」
 常識から考えればあり得ない言葉。それを当然のこととして口にするマキ。久人はさらに質問を重ねた。
「どんな名前をつけるんだ?」
「え? そ、そうですね……まだ考えてないですけど……三人並べて呼んでも語感がいいような……ルウ、ルナ、ルリ……みたいな……そんな感じにしようと思ってます」
 ハムスターとしての名前を、さっきまで友達だった『ハムスター』に名づける。その異常性を理解しているのが自分だけということに、久人は笑いを堪えられなかった。聞きたいことは全て聞き終わった。
「そうかそうか。まあ、大事にしてやれよ」
 きょとんとしているマキを置いて、久人はペットショップに戻った。
 久人が再びペットショップに戻ると、そこではペットショップの店員が何やら悩んでいる様子だった。久人はそれに興味を惹かれ、店員に話しかける。
「何を悩んでいるんだ?」
 そう問いかけられた店員は、相変わらず悩み続けながら応えた。
「いえ、それがですね。先ほどお客様の購入した『ハムスター』達をお客様のご自宅まで送らなければならないのですが、普通に送ろうと思うと、凄く大きなケージが必要になってしまうのです。個別ケージにするにしても、やはり大型のケージで運ぶしかありませんし……そうなると配達代がものすごいことになっちゃうんですよ。……さすがにこれはまずいな、というレベルで」
「どれどれ……まあ、人間大の『愛玩動物』を運ぼうというんだから、これも当然か」
 料金明細を見た久人は苦笑を浮かべるしかなかった。この金額では確かに悩むのもわかる。
(ふむ……別に関係ないといえば関係ないが……)
 ふと、久人は店内を見渡して、その打開策を思いついた。
 もちろん、常識的に『正しい』方法ではなかったのだが。久人は店員をかわしてカウンターの中に入ると、『それ』を手にとって中身を適当にそのあたりに放りだした。別に自分が片付けるわけではないがゆえの暴挙だ。
 『それ』を手にした久人は、店員に向かってそれを掲げる。
「これを使えよ」
「これ、ですか? ……なるほど、確かにこれならさほど料金がかからなくていいかもしれませんね。ずいぶんお安く済みます」
 嬉々として店員は『それ』を――程よい大きさの段ボールを久人から受け取った。
 久人の提案は、その『人が体を丸めてギリギリ収まるくらいの大きさの段ボール箱』に、『ハムスター』達を詰めて送ればいいというものだった。無論、本来なら生きた動物をそんな段ボールに詰めて送るなどということはまずあり得ないが、久人が『やれる』というならばそれは実行に移される。
 店員はまず三人の『ハムスター』のうち、一番小柄な『ハムスター』を傍に呼んだ。
「この中に入って、体を丸めて」
「はーい」
 床に段ボールの中に足を入れた『ハムスター』は、体育座りの形で腰を降ろし、極力体を丸めながら、店員にも手伝ってもらいながら段ボール箱の中に寝そべった。ぴったりと隙間なく収まった状態を見て、店員は一つ頷く。
「うん。大丈夫かな。サイズ的にはギリギリってところだけど……」
 もうひとつ大きめの箱を出すかどうか悩んでいるようだ。
「たぶん死にはしないから、さっさと蓋を閉めてみろ」
 速く次に進んで欲しい久人がそう声をかけると、店員は言われたとおりに段ボールの蓋を閉じた。ほんの少し蓋が持ち上がりかけたが、無理やり上から押さえつけるようにしながら、ガムテープできっちり蓋を閉じてしまう。先ほどまでいたはずの一人の『ハムスター』は、完全に小さな箱に収まってしまって、その場から姿を消した。久人は抱えられる程度の大きさの段ボール箱を眺め、この中に裸の女性が詰まっているのだと想像して笑みを浮かべる。
「ふぅん……人間って、こんなに小さくなるもんだな」
 ペットショップの店員は、その段ボール箱をかなり重たそうにしながらも持ち上げ、台車の上に置く。段ボール箱には普通持ち上げるための持ち手があるが、そこを持てば確実に破れることがわかっていたのか、箱の底に手を入れて持ち上げる形だった。
「ふぅ……ほんと重いですね」
「『愛玩動物』一匹が詰まってるんだから無理もねえよ。それより、他の二匹もさっさと詰めてしまえ」
 久人が見守る中、残った二人の『ハムスター』も窮屈な段ボール箱の中に詰められ、最初の段ボール箱が乗せられている台車の上に積み上げられた。重さのせいで一番下の段ボールに詰められた『ハムスター』は苦しい思いをしていると思われたが、久人はそれを指摘することなく、ただ見守った。
「……この中に裸の女三人が詰められていると思うと、なんとも笑える話だな」
 その久人の呟きが聞こえたのか、店員が不思議そうな顔をする。
「何を言っているんですか? 裸の女の人なんているわけないじゃないですか。そんなことしてたら犯罪ですよ。いま詰めたのは『愛玩動物』です」
「ふ、ふふっ。そうだったな」
 久人はやってきた配達員に三匹の『ハムスター』が運ばれていくのを見届けた。窒素などの要因で死ぬことがないようにだけ、久人は力を使っておいた。

 仲のいい四人組だった彼女たちが、その後どんな生活を送ったのか――それは久人の知るところではなかった。




『思い通りになる世界』 ~愛玩動物販売店~ 終



Comment

No.363 / 名無しさん [#-]

すごく妄想が広がるし、外伝が楽しみな内容です!

質問なのですが、愛玩動物になった後は会話できるんですか?
あと、外伝の学校編と関係はありますか?

2011-02/13 02:38 (Sun)

No.364 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

> すごく妄想が広がるし、外伝が楽しみな内容です!
> 質問なのですが、愛玩動物になった後は会話できるんですか?
> あと、外伝の学校編と関係はありますか?

 返信が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
 愛玩動物との会話が出来るという問いですが……そうですね、『出来るけどしていない扱いになる』という感じでしょうか。なにせ久人以外の一般人は愛玩動物をただの動物だと思っています。ゆえに、ペットに対するように話しかけはしても、返答に期待はしていません。まれに会話のようなものが成立することがあっても、おそらく人間側は動物の『しぐさ』や『鳴き声』から推察したみたいな扱いになるでしょう。愛玩動物側も基本的になった動物らしい声しかあげませんし。
 外伝の学校編との関係は、現段階では特に考えていません。

 この話の外伝を書くのがいつになるかはわかりませんが、気長にお待ちいただけると幸いです。
 それではコメント&質問ありがとうございました!
 

2011-02/16 18:50 (Wed)

No.369 / 白ぱんだ [#H.b0A3CQ] いい^^

ネットをブラブラしてたら素晴らしい小説サイトを見つけてしまったようだ…。

奴隷化とかいじめとか好物なんでw^^
それ以外も好物です^^

作者様ありがとう。
期待してます^^

2011-03/26 16:12 (Sat) 編集

No.370 / 光ノ影 [#-] Re: いい^^

> ネットをブラブラしてたら素晴らしい小説サイトを見つけてしまったようだ…。
 白ぱんださん、うれしいお言葉をありがとうございます。

> 奴隷化とかいじめとか好物なんでw^^
> それ以外も好物です^^
 私も大好物ですw(作品は体を表す)
 それ以外も好物だと言ってくださってありがとうございます。統一性のないサイトだなあ、とは我ながら思っていますので……。

> 作者様ありがとう。
> 期待してます^^
 最近は中々更新出来ない時が続いていますが、期待に添えるように頑張ります。

2011-03/28 01:03 (Mon)

No.373 / 名無しさん [#-]

自分的には娘が母を飼うという設定のほうがいいですね。だけど、これはこれで好きです。あと人間だった時の能力というか、たとえば料理が上手とか機械につよいとかそういうのは、反映されないんですか?

2011-04/07 21:31 (Thu)

No.374 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

 返信が遅れに遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。娘が母親を飼う設定……確かに美味しいシチュエーションですね……。
 人間だった時の能力ですが、基本的に反映されないものであると思われます。動物は料理や機械いじりはしないので……あくまで『動物』になってしまうため芸として教えてもそういったことはできないかと思われます。(とはいえ、普通の動物よりは複雑な命令を理解することは理解しますが)
 それでは。コメント、本当にありがとうございました!

2011-04/14 23:35 (Thu)

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