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雑貨店へようこそ ~瓶~ その3

これは以前書いた雑貨店シリーズの『瓶』の続きです。
以前の話はこちら→  

では続きからどうぞ


雑貨店へようこそ ~瓶~ その3





 人生を奪い、我が物にする悪魔の道具――『瓶』。
 俺がそれを使って一人の女子高生に成り代わってから、早くも一ヶ月が経とうとしていた。


「お待たせしました、チョコレートサンデーです」
 その言葉と共に目の前に置かれたのは、いかにも甘そうで、果物やクッキーみたいなものでファンシーな飾り付けがされたパフェだ。
 『スーパーデラックスチョコパフェ』とかいう名称だけどパフェとしては異様な量だった。明らかに普通の一食分よりカロリーが多そうだ。
「ありがとうございます!」
 店員に向けて笑顔で愛想を振り撒きつつ、必要以上に小さいスプーンを使って早速パフェを切り崩し始める。口に入れると、めちゃくちゃ甘くて舌が蕩けそうになる。これが美味しく感じるのだから、女子高生の舌はどうなっているのか、見当もつかない。少なくとも一ヶ月前ならこんな物を食べても甘ったるいだけで美味しくは感じなかった筈だ。そもそも、こんないかにも可愛らしい外見の店に入ることも難しかっただろう。
 『瓶』さまさま、という奴だ。
 僅か一ヶ月で、前の人生では考えられないような幸せや快感を得られた。出来ないようなことも沢山出来た。
 自慰は基本として、援助交際という奴もしてみた。正直脂ぎった男に抱かれるなんて……とやるべきかどうか少し悩んでいたのだが、出会い系サイトを通じて初めて抱かれた男は案外まともで、かつ清潔な男だった。しかもテクニックが優れていたので、こっちは何度も気をやることになった。イキ過ぎて足腰が立たなくなる、なんてことが本当にあるのだと知った。昇天するかと思ったほどだ。
 女として生きるのも悪くない。気持ちよくしてもらえてさらにお金まで貰えるなんて、最高だ。化粧やらなんやら、面倒なことも多いが、それでもその苦労をするだけはある。まだまだやれそうなことはたくさんあるし、だいぶこの体にも慣れてきた。人付き合いの感じもわかってきたし、そろそろ周りも巻き込んで楽しませてもらうことにしよう。
 パフェを一掬って口に含みながら、俺はどうやってこの身体を目一杯使って楽しんでやろうか、それをつらつらと考える。
 端から見れば、女子高生が好物のパフェを食べているだけの光景だが、その内実は全く違う、邪悪で黒い物だった。
(さて……身近な奴を使って楽しむとしても、行動は慎重にしないとな)
 折角奪った人生だ。あまり早くに色んな意味でダメにするのは勿体無い。犯罪行為(まあ、援助交際も十分違法で犯罪だがそれはおいておくとして)はタブーだし、すでにある『戸中直』の人間関係を崩壊させるようなことも控えなければならないだろう。
 そういうのを楽しむのは、この人生に飽きた頃にするべきだ。また、いざという時には、すぐに他の人生に乗り移れる準備をしてからじゃないとな。
 と、なると誰をターゲットにするべきか悩むが……候補としては、近所に独り暮らしをしているらしい青年だろうか? 戸中直の記憶を読む限り、どうやら家族ぐるみで付き合いがあった相手のようだ。両親は仕事の関係で外国に行ってしまったようで、青年だけはこちらに残った。特別仲が良かった……という訳でもないようだが、とりあえず気心が知れた相手であることは確かだ。
 彼を誘惑してみるのは中々面白いかもしれない……出来れば実の兄などを誘惑した方が面白いのだが、いないから仕方ない。次に人生を奪うときはそういう兄弟姉妹がいる者を選ぶことにしよう。
 ともあれ――いまはこの身体を使ってどうするか、が問題だ。
 近所に住んでいる青年を誘惑するとして、あまり突拍子もないことをしては、不審を抱かれるだろう。抱かれたところで問題がないと言えばないのだが、その後この身体で暫く暮らしていくことを考えると、それは避けた方が無難だろう。
 いかにして青年を自然な形で誘惑するか……俺はパフェを食べて糖分補給を行いつつ、頭を回転させ続けた。
 十分後。
「あんまりいい方法がないなあ……」
 俺はそう呟いて、スプーンをくわえたまま、体を後ろに反らした。青年を落とすいい方法が思い浮かばない。出来れば向こうから襲ってくる形がいいのだけれど、記憶を探る限り、それほどがっつくタイプじゃないように思えたし、そもそも家の中にあげてもらうことからして難しそうだった。そういった困難を乗り越えてこそ、至高の楽しみになるとも言えたが、その困難を突破出来る作戦が思いつけなければ、単に面倒なだけだ。
(そういう意味では……援助交際で初めて抱いてくれた男は、色々弁えててよかったな……)
 今考えても、彼のリードは素晴らしかった。あれほどのテクニックを持つ男がなぜ援助交際などと言う物に手を出さなければならなかったのか、それは不思議だったが、まあ、いい出会いがなかったのかもしれない。
(一番最初のに比べて……二番目の奴は、ちょっと酷かったな……)
 俺の希望がそもそも地雷源に足を突っ込む物だったのかもしれないが、あの時は酷い目にあった。考えが行き詰まったこともあって、俺はその時のことを思い返す。




 俺が戸中直の体を得て二週間くらいの時だった。
 自慰を経て、最初の援助交際を一週間前に済ませた俺は、次の交際相手を捜してネットを巡回していた。
 最初はとにかく慣れていないことをアピールし、優しく行為をしてくれる男を捜していたが、今度は少し条件を変えた。
 最初に自慰をした時から思っていたことーー自由を奪われ、ただ快感を享受するだけの状態になりたいという願望ーー小難しいことを全ておいておいて、それを体験したいと思っていた。
 だから俺は、希望するシチュエーションの欄に「あたしをぎっちりと拘束して自由を奪って、とにかく快感を与えてね。撮影・スカトロNG」と書いて募集してみた。
 すると、次々名乗りがあって、その選別にかなり時間を取られた。
 俺が最終的に選んだのは、30代の男性で、利用回数もそこそこ多い、こう言っていいのかわからないが、ベテランの男だった。最初に選んだ援助交際相手と似た数だったから、ついそれにつられたということがある。
 行うプレイはかなりハード、と自己紹介欄には書かれていたのだが、こういう自己紹介は多少大げさにするものだろうと思っていたので、特に考えずに男にOKの返事を出した。
 そのときの軽い選択が、あんなことになるとは、その時の俺は考えてもいなかったのだ。

 簡単なメールのやりとりの末、俺は待ち合わせ場所にしたショッピングモールの入り口へと向かった。人の行き交いが多く、人混みに紛れることができるので都合がいいのだ。
 知り合い対策で簡単な変装をした俺は、男が目印にすると言っていた赤い帽子を探していた。赤い帽子の男とはすぐ合流でき、挨拶もそこそこに近くのホテルへと向かった。
「まさか、本当にこんなに若いなんて……思わなかったな」
 大抵、ああ言うところでは女はサバを読んでいるもの、と男は言いたかったのかもしれない。少なくとも俺はそう受け取り、あえて年齢相応の無邪気さで茶化してみた。
「あー、ひどいなー。おばちゃんだと思ってたんですか?」
「いや、さすがにそこまでは思ってなかったけど」
 少し慌てた様子で男が首と手を横に振る。気弱そうだが、とりあえず危険な人物ではなさそうだ。
「なんてね。冗談です。単に童顔なだけかもですよ?」
「いや、それはない」
 フォローをしたつもりが、いきなりばっさり言われて、少し驚いた。
「それはない、って……なんで?」
「見ればわかる」
 ……肌の張りや色つやを見てそう感じたんだろうか?
 観察眼があるというか……少し、気味が悪いかもしれない。しかしまあ、それだけ色々な年代の女性と経験があるという風に解釈して、俺はその場は流した。

 ホテルについて、部屋に入った俺は、いよいよだと感じて徐々に鼓動が高まっていた。
「それじゃ、先にシャワーをいただきますね」
「ああ。こっちは準備を進めておくよ」
 男は抱えていた荷物を軽く揺らし、その存在を示す。そこに色んな道具が詰まっているのだろう。
「……『必要ない』って言われたから、あたしは道具をぜんぜん持ってきてないんですけど……良かったんですか?」
「心配されるほど、経験浅くないよ。使い慣れている道具の方がいいし」
 荷物の中から道具を出しながら、男は言う。俺はそれもそうかと納得し、さっさとシャワーを浴びることにした。

 汗を落とすつもりで軽くシャワーを浴びて、バスタオル一枚の姿で外に出ると、男はなにやら太いバイブを柔らかそうな布で念入りに拭いているところだった。あがってきたことにも気づいていないようだったので、背後からこっそり近づき、その背中にしなだれかかるようにして胸を相手の背中に当てる。
「出ましたよー」
「ん、そう。わかった。もうちょっとだけ待ってて」
 思った以上に淡泊な反応で、俺はちょっとがっくり来た。せっかく憧れの「あててんのよ」をしたのに……俺が男の時に同じことをされたら、さぞかし気分がよくなっただろうに……。
 この男は、さすがに手慣れている。
 待つこと数分。男が振り返って笑った。
「よし、準備完了。それじゃ、さっそく始めようか」
「……あれ、シャワーは浴びないんですか?」
「ああ。メールで言ったろ? セックスはしない。俺はこれらの道具を存分に使って、君にひたすら快楽を与えるだけだ」
 そういえば、そうだった。女性を拘束して、ただ悶えさせることが大好きな人だった。
「……それじゃあ……よろしくお願いします」
 一応頭を下げておく。
「ああ。それじゃあ、その邪魔なバスタオルは脱いで。こっちに敷いた防水シーツの上に立って」
 本来行為の舞台となるはずのベッドはスルーされ、俺は床の上に敷かれた防水シーツの上に立つことになった。一糸纏わぬ全裸で部屋の中心に立つ、というのはなんだか奇妙な感覚だった。
「それじゃあ、いくぞ。手を後ろに」
 太い荒縄を手にした男が背後に立つ。回した手が捻られ、背中で右手と左手が交差する。交差した手首は肘より高い位置にある。そこに縄がかけられ、手は前に戻せなくなった。
「これは高手小手縛り、といってな……これでもう肘から動かないだろ」
 確かに、両腕は肘すら動かせなくなり、腕と上半身は完全に一体化してしまったかのように、ぴったりと動かなくなっていた。縄が前にも回され、胸の上下を絞めあげて強調する。さらに胸は別の縄によって根本からくびり出されるようにして縛られ、鬱血してしまうのではないかというほど縛り上げられた。
「ぅ……!」
 少し体を揺するだけで、張りつめた乳房の感触が感じられ、まだ上半身しかデコレーションされていないというのに、声が抑えられなくなっていた。
「次は足……の前に、ここだな」
 背後から回ってきた腕が、いきなり股間に潜り込み、全体を揉むようにしていじってくる。
「んんっ!」
 先ほど手入れしていたバイブらしきものが、頬に当てられた。
「これがこれから、君のここに潜り込んでいくんだ。よく見ておきな」
 それはかなり柔らかい素材のようだったけれど、その太さはかなりの物があった。そんな物を入れられたら、はちきれてしまうのではないだろうか? そう思ったが、いまや手の自由を奪われた俺にはどうすることもできない。
 股間を触っている男の手は、その場所の濡れ具合も同時に確かめていたようだった。
「濡れてはいるが……少し、足りないか。仕方ない」
 股間を触っていた手が放れ、目の前に出されたままのバイブに、ローションのようなドロリとした液体がかけられた。ローションをしっかりバイブになじませると、バイブはすっかりベトベトのヌルヌルになっていた。
「これでよし、と。さあ、入れるぞ」
 少しの不安と大きな期待とを抱えながら、俺はそのバイブが自分のラビアに触れるのを感じた。そして、それが穴を徐々に広げながら俺の中に押し入ってくる。
「ん、んぁ、はぁ……ぁん……!」
 最初に太くなっていた箇所が入ると、そのあとは少し細くなっていたのであっさりと中に浸入してくる。最初の部分が太かったので、常に圧迫感のような物を体の奥に感じていた。
 そのバイブはちょうど奥まで入る長さで、バイブはしっかり奥まで入っていた。
「あ、あの……これ、終わったあと、ちゃんと抜けるんですか……?」
 普通、バイブというものは持ち手があり、差し込む部分が奥まで入っても手持ち部分は外に出ている。しかし、このバイブはそもそも持ち手に相当する部分がなかったらしく、少しは外に出ている部分もあるが、下手をすれば抜けなくなることも考えられた。
 しかし、男はこともなげに答える。
「それは大丈夫。ちゃんとその為の突起もついているし」
 それを示す意図でか、俺からは見えなかったが、その突起に指をかけ、軽く抜いて、再度差し込んで見せる。バイブが体の中で動く感触に思わず体が跳ねた。
「んっ……!」
「そして、次はこれ」
 男が取り出したのは、ゴムで出来たパンツのような物だった。それの内側、ちょうど股間に当たる部分には長さが小指の先ほどで、百円玉くらいの大きさの円形の突起があった。
「……それ、を……履くんですか?」
「そう。足をあげて」
 指示に従って、そのパンツのような物に足を通す。そのゴムの感触はどうにも慣れない類のもので、違和感が抜群だった。
 肌との摩擦で多少手間取りながらも、ふくらはぎまでそれはあがってきた。そこでいったん上げるのを止めた男は、先ほどバイブに使っていたローションをそのゴムのパンツの突起にまぶす。
 そして、さらに上に上がってきた時、俺はその突起がどこにもぐり込むものかわかった。
「ま、まさか、後ろの……?」
「ああ、そうだ」
「スカトロはなしって……!」
 NG項目にあげていたはずなのだが、まさか見ていなかったのだろうか。抗議する視線を送ったが、男は全く動じない。
「スカトロが目的じゃない。これがあった方が気持ちよくなれる。だまされたと思って試してみてくれ」
 言うだけいうと、男は一気にパンツを上へずり上げた。突起物はねらい違わず肛門へともぐり込む。
「あ、ああ……!」
 本来排泄をする場所である肛門を割り開かれる感触に悶える。腕は全く動かなかったため、自由になる頭を左右に振って、異様な感触を堪えた。
 パンツはぴったりとその場所に納まり、常に突起物が肛門を攻めてくる。前のバイブもゴムの弾力によってより中に埋め込まれ、両方から生じる感触に耐えなければならなかった。
「あとは……これだな」
 両足を揃える形にされた俺は、足首のあたりと、膝の上あたりをテープのようなものでしっかりと拘束された。普通の粘着テープとは違い、粘着性もないし、痕は残らないというが、それを巻かれただけで全く足が開けず、動かせなくなる。
 膝や股関節を前後に曲げられるとはいえ、身体が一本の棒になってしまったような、そんな状態だった。当然ながらいくら力を込めても、どこも緩まない。完全な拘束の完成だった。
 そう思っていた俺の心を読んだのか、男が意地悪く笑って見せた。
「まだ仕上げが残ってる」
 まだ何かされてしまうのか。
 戦慄を覚えながらも、どこかでそれを期待している自分がいた。
 男が取り出したのは、喋る自由を奪う物――ボールギャグ、だった。赤い球体のそれが、部屋の光を反射してまがまがしく俺の目に映る。
「口を開けて……よし」
 口にボール部分をくわえさせられ、頭の後ろに回ったストラップを絞められると、口が割り開かれ、完全に言葉が形にならなくなった。口の中を占領するボールによって、舌が抑えられ、舌が回らず、言葉が形にならなくなる。
「んぅ、っ……んんっ……んーっ」
 口の中を占領される苦しみに呻いていると、目の前が突然真っ暗になった。
「んぁっ!?」
「ああ、目隠しだよ。見えない方が、感度いいって言うだろ?」
 確かにそれは聞くけど……それならそれをするときちんと言ってほしい。びっくりしてしまったじゃないか。
 目が見えなくなったからか、確かに感度が良くなった……のか、心臓が激しく鼓動しているのが感じられた。まるで、喉元まで心臓が出かかっているかのような、激しい鼓動。何も見えない暗闇でそれを感じ続けていると、それだけで自然と興奮が高まってきた。
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
 ボールギャグの隙間を塗って、荒い呼吸を繰り返す。涎が溢れ、垂れ流しそうになり、慌ててそれを啜った。しかし、ボールギャグで開きっぱなしになった口では、うまく唾液が処理出来ない。苦労して唾液を啜っているを察したのか、男が声をかけてきた。
「垂れ流しで構わないぞ。舌にはシーツ敷いてるし。……どうせすぐそれどころじゃなくなるだろうし」
 何やら不穏な言葉が聞こえたような気もしたが、ぼーるギャグを噛んだ状態で唾液が流れるのを堪えるのがしんどくなっていたので、そのまま流れ落ちるのに任せることにした。目隠しされているので、その唾液がどこに落ちるかわからなかったけど、唾液が落ちる感触がすると同時に、張りつめた乳房に熱い液体がかかる感触がした。思いがけない刺激に、思わず仰け反って呻いてしまう。
 そろそろ身体の中に入っているバイブを動かしてほしかったのだけど、まだやることがあるのか、男は道具を取り出しているようだった。
 これ以上何をするのかと思っていたら、やけに大きな物を広げているような音がした。さすがに不安になっていると、突然身体が持ち上げられた。
「んむっ!?」
 驚く俺に構わず、尻を地面につける形で座らされる。体育座りに近い。
 そして、足に何やら先ほど履いたようなゴムの感触がする。
「んぁっ、んっ、んあっ、んんぁ!」
 何をされるのかが不安で、声の限りに呻くと、男が疑問に答えてくれた。
「ラバーの袋を被せてるだけだよ。これを使うと、ぴっちり身体に吸いついて、一ミリも身体を動かせなくなるぜ」
 そこまで完全な拘束をされてしまうのか。
 さすがに震えがくる。いまでさえ十分なほど自由は奪われているというのに……これ以上拘束されてしまったら、どうなるのだろう。
「あと、全頭マスク……っていってわかるかな? まあいいか。頭を全部覆うのもあるから。その上で身体の各所でベルトを絞めれば……本当に、全く動けなくなるよ。脱出は絶対に不可能だ」
 すでに不可能じゃないか。そう思ったけど、そんな些細な言葉を形にすることすら、いまの俺には出来ない。
 耳元に、男が口を寄せてくるのがわかった。
「君が願っていた通りに、悶えるだけの肉袋になって……存分に快感を覚えるといいさ」
 わずかに耳に感じる、男の息づかい。熱い吐息が耳にかかるのと、そして、その言葉の内容……『悶えるだけの肉袋』という単語に……興奮が一気に高まる。
「んぁう、むぁ、んあああっ!!」
 触れられて刺激を与えられたわけでもないのに、身体が勝手にうずいて、気をやってしまった。そんな俺の姿を、男は笑いながら見ている。見ていることが、肌の感覚を通じてわかった。けれど、どうしようもない。暗い視界の中、唾液がこぼれ落ちて行く。自分の身体が自分のものでなくなってしまったかのように、制御が出来なかった。
 悶える身体を、徐々に、足下からラバーの感触が覆い尽くしていく。手際がいい男は、あっと言う間に腰から下をラバーで覆ってしまったようだ。さらに男はラバーを上へ、上へと引き上げていく。下半身はかなりぴっちりとなっていたが、上半身の方には多少余裕があった。
 荒縄によって縛り上げられた上半身も完全にラバーによって覆われて、背中側にあったらしいジッパーのようなものが引き上げられていく。それにともない、多少余裕があった上半身の部分も完全にラバーが密着し、拘束感がより増す。ちょうど首に当たる部分もきっちり締まるようになっていたのか、少し息が苦しいくらいに締め付けてくる。
(しかし、これ、相当蒸れそうだな……)
 ラバーだから当然機密性は皆無。ぴったりと肌に吸いついてくるから、わずかな空気の流れもない。サウナのように暑くなるのは確実だった。
 それを知ってか知らずか、男は耳にかかっていた俺の髪を指で耳にかかるようにする。何のつもりかといぶかった俺の疑問は、すぐに行動で示されることになった。
 耳の中に、柔らかい綿のような物が入ってきたのだ。
「うぅ!?」
「ああ、ただの耳栓だからきにしないで」
 耳栓!? 確かに柔らかい物が詰められた側の耳はいっさいの音が遮断され、何も聞こえない。
「それじゃ、残りの方にも入れるから」
 待って、などという言葉が通じるわけもなく。
 もう片方にも耳栓が詰められ、完全にすべての音が聞こえなくなった。
 自分が呻き荒く呼吸する声、身じろぎした際に生じるゴムが伸び縮みする音、そして、高く鳴り響く鼓動……それしか聞こえない。
 ふさがった耳の上から、いや、頭全体を覆うマスクが被せられるのが触覚を通じてわかる。
 完全に全身を覆われてしまった。もう何も見えない、何も聞こえない、何も喋れない、何も出来ない。確かに俺が望んだ通り、快感を、貪るだけの状態になっていた。
「んぁ……んっ……」
 身体が折り畳まれるのがわかる。体育座りの形にされ、その状態で身体が固定される。コンパクトに纏められ、本当に微塵も身体が動かせなくなった。
「ふぅー……ふぅー……」
 身体が折り畳まれて、ただでさえ苦しい呼吸がさらに苦しくなる。
 横向けに寝かされたのが感じられた。そこそこ固い場所みたいだったから、おそらく防水シーツが敷かれた場所にそのまま寝かされたのだろう。
 ここからどうするつもりなのか、待っているといきなり乳首のあたりに激しい刺激が走った。
「ぁふっ!?」
 激しい刺激すぎて、一瞬何をされているのかわからなかったけど、どうやらバイブみたいに振動する何かが押し込まれたようだった。刺激が強すぎて、痛いくらい。
 さらに反対側の乳首にもそれが押し込まれ、刺激が二倍となる。
「ん……んぁ……あぁ……っっ、んっあ……!」
 わずかに、本当にわずかに動く体をくねらせ、快感に悶える。
 突然、ほとんど存在を忘れていた股間のバイブが蠢き始めた。
「ふぅっ!? んぅっ! んんっ!!」
 胸の方に意識が行っていたタイミングだったから、完全に不意打ちの形になった。湧きあがる凄まじい快感が身体全体に瞬く間に広がり、頭を侵略していく。余計なことを考えることも出来ないほどの快感に、意識が押しつぶされていく。僅かに押し広げられた肛門の感覚も、意識を押しつぶす感覚に加わり、快感に気が狂いそうだった。
 ラバーに包まれた身体が熱い。噴き出た汗がよりラバーの感触を際立たせ、不快感も上昇するが、拘束感も上昇する。
 不意に、奇妙な現象に気づいた。上半身にかけられた縄。それの締めつけ度が増して来ている。最初は気のせいかと思ったけど、そうじゃない。汗という水分を吸って、縄が縮んで来てしまっている。
 どこかで聴いた話で、水を吸うと一気に縮む縄のことを思い出したのだ。もしもそれと同じで、縮んで行くのだとすると……下手をすれば、縛られている場所が壊死する可能性があった。
「んぁっ!! んむっ!! んーっ!! んんーっ!!!」
 さすがに両手・両胸切断みたいな状況になるのだけは勘弁してほしい。想像するだけで怖くなる。
 なんとか知らせようと試みるが、全く微動だに出来ない状態でどうやってそれが伝わるというのか。
 男がどう感じているのかわからないが、一切解く気がないのは、股間のバイブが別の振動パターンで動きだしたことでわかった。
「んぁ、んぁあっ! うぅあっ!!!」
 いくら心が焦っても、全身から感じる快感に抗い続けることは出来ない。
 さらに締めつけてくる縄の感触も相まって、頭の中が真っ白になり、破滅的な快感に溺れ続けた。




 結局。
 その後、プレイが終わって拘束が解かれたのは十分か二十分後のことだった。
 ちゃんと男は縄が汗で締まることも思慮に入れていたらしく、暫く痕が残ることになったものの、特に深刻な後遺症は残らなかった。
 とはいえ、手が腐り落ちるかもしれないと感じて、さすがに少し怖くなったので、縄を使ってのプレイはあれ以来出来ないでいる。
 本当にあのときは酷い目にあった。本当に手が壊死してしまっていたらと思うとぞっとする。確かに拘束されることによる快感は凄かったし、『手が壊死するかも』と思った瞬間の衝撃は凄まじいものがあったのだが。
「……まさか、そういう趣味じゃないよな」
 これから落とそうとしている相手が、そんな趣味を持っていたら、本気で嫌だ。彼がノーマルであることを祈りたい。
 スプーンから手を放すと、それがパフェが入っていたコップに当たってカランと軽い音を立てた。
 たっぷりパフェを食べてお腹が一杯になっていた。少し腹ごなしに外を歩いた方がいいかもしれない。
「ごちそうさまでした」
 会計を支払う時に、店員の人にそう言って、俺は店の外に出た。
 軽く身体を伸ばし、ほぐして、歩きだす。
(ま……適当に迫ってみるか。駄目なら駄目で構わないしな)
 俺はそんな風に軽く考えながら、足取りも軽く、街を歩く。




~その4に続く~



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