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死神輪舞エピローグ

死神輪舞26の続きです。

前回の話はこちら↓
         10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26

 では続きからどうぞ。

死神輪舞25




「さて……と。ここかな? 星斗」
「……そうだな」
「いよいよだねっ」
「……そうだな」
「どんなところなんだろうねー」
「……さあな」
 何を話しかけても、同じような返事しか返してくれない星斗。それを不満に思って星斗の方を振り向く。
「むー。星斗ー。もっとテンションあげていかないと。第一印象は大事だよ?」
 僕がそう声をかけても、星斗は気のりしないようだ。
「そうは言ってもな……」
 そう言って口ごもってしまう。
 僕は溜息を吐きながら、星斗に近づいた。
「ほら、せっかく可愛い顔してるのに、そんな風に眉間にしわ寄せたら台無しだよ? ほら、こんなふうに笑って」
 笑ってみせる僕。今度は星斗が溜息を吐いた。
「いや、これはアルの顔だから。お前のも、シェルの顔だろうが」
「いまじゃ、僕達の顔でもあるよ」
「それはそうかもしれんが……」
 複雑そうな星斗。別に顔が問題じゃない。星斗にとっての問題は別のことだ。その星斗の気持ちはわからなくもないけど、そんなに緊張でガチガチなのはよくない。
「ほら。明るく行こうよ。ここから、僕らの第二の人生が始まるんだからさ」
 そう言って僕は『その場所』を見る。
 広い敷地に、大きな建物。立派な門柱に、大きな看板がかかっている。そこには大きく『高等学校』の文字があった。
 真新しいセーラー服に身を包んだ僕と星斗。手には同じく真新しい通学鞄。

 僕らはこれから、この高校に通えることになっていた。




 僕らが今後のことを決めるために死神界へと出向いてから、早数か月――結論から言うと、僕らは現世でもう一度暮らせることになった。
 理由は一言でいえば簡単で、悪魔を倒した星斗の力が評価されたからだ。
 なんでも、死神の身体に人間の魂が同化した状態だと、飛躍的に死神の力など振るいやすい状態になるらしい。悪魔があっさりやられた理由もそれだ。詳しい理由として、人間の魂は元々物質的な状態に馴染んでいるから、具現化する際の抵抗がほとんどない……というよりも、死神の身体が半ば強制的に具象化させられているようなものなのだそうだ。そして、基本的に現世で行動する際は具現化した方が強力な力が振るいやすくなる。
 いうなれば僕や星斗は半具現化の状態を常に保っているようなもので、そのために生身の状態でも霊的な存在に触れることができるそうだ。具象化には非常にエネルギーを使うらしく、コルドガルドさんのような死神の力に長けた存在でも、それをこなしながら戦うのは難しい。それを無自覚に出来ている僕達は、力の使用をそれ以外のところに重点的に回すことができる。一般的な死神よりも遥かに恵まれた性質を持っているわけだ。ただ、これは現世にいる間だけで、死神界などに行くとその力は振るえなくなるけど。
 あと、星斗や僕の場合は、個人の性質も大きかったらしい。生前、不治の病で寝たきりだった星斗は特に。死神の力を振るう際に必要な想像力というものを、僕も星斗も人並み以上に備えている。だから、星斗はあれだけ強力な力を使えたのだ。
 そういうわけで、僕達の力は普通の死神基準でいえば、だいぶ強いレベルにある。戦闘に特化しているというコルドガルドさんが、自分と同等くらい、と認めるほどだ。
 だから、その力を有効活用しようという流れで、死神達は結論を出した。
 すなわち、僕達を見逃してくれるという方向になった。幸い、星斗も勝手に死神の力を使ったのはそれほど多くない回数だったし、問題はないと判断された。


「一時はどうなることかと思ったけどねー」
 僕は、死神界で死神大王達に囲まれて審判を待っていた時のことを思い返しながら、そう呟いた。
 学校は静まり返っている。部活などで朝に練習を行う人たちさえまだやって来ていない。まだ朝も早すぎる時間帯だし、無理もないけど。
 本当はもっと遅く来ても良かったんだけど、どうしても待ち切れなくてこんなに早く来てしまったのだ。僕と星斗は学校の中には入らず、外周を歩きながら話していた。
「まあ、な……」
 星斗は乗り気ではないような返答をしているけど、星斗もずっとこの時を楽しみにしていた。むしろ、星斗はこれまで一度も学校に来ていなかったのだ。それが、通えることになったのだから楽しみに思わないわけがない。学校に通っていない星斗は色々と学力とかに不足があったけど、元々星斗は賢い。読み書き計算などの最低限のことは病院で教えられていたようだから、数か月の勉強だけで何とか体裁は整うくらいになっていた。あっという間に追い抜かれそうで、僕もぼやぼやしてられない。
「でもまあ、なんとかなったね」
「……お前の交渉のおかげだろ。度胸があるというかなんというか」
 現世で暮らせるようになった、といっても色々と制約はある。例えばもしもあの悪魔のように、普通の死神では対処できない霊的脅威が現れた際には、力を使って戦わないといけない。その代わりに、一般的な生活を送れるように便宜を図ってもらうことになっている。
 今回通うことになったこの高校がある街……というか、地域一帯はそう言った厄介な霊的存在が集まってくる、一種の心霊スポットらしい。
 いままでは問題が発生した時にコルドガルドさんのような強力な死神を派遣していたけど、今度からは僕達が常に待機しておくことになった、というわけだ。
 下手すれば年がら年中戦い続けることになるけど、前例を見る限り、そう何度も何度も現れることはないという。一年に何度か、程度らしい。その時だけ頑張って、あとは普通に暮らせるとなれば対価としては妥当だろう。元々、僕も星斗も死んでいるんだし。
「それにしても……シェルちゃん達、大丈夫かな?」
「そう悪い条件でもないんだろ? あいつらにとって」
「らしいけどね……」
 今の体の本来の持ち主である、シェルちゃんとアルちゃんの魂は、いまこの体の中にいない。特別な術式で抜き取られて、コルドガルドさんの使い魔のような存在になっているらしい。なお、その外見は猫だった。シェルちゃんが白猫で、アルちゃんが黒猫。
 シェルちゃんは自分の身体を僕に貸すことに難色を示していたけど、憧れのコルドガルドさんについていられるということで許容したのだった。コルドガルドさんの本質を見て、憧れが崩れなきゃいいけど。アルちゃんは、元々星斗の『生きたい』という意思に惹かれて身体を貸していたのだから、その決定に異論は唱えなかった。
 一応、『死神の身体を奪われたのは、その死神の責任でもある』ということで一種の懲罰みたいなものになっているらしい。懲罰といえば、勝手に僕達を襲ってきたあの死神達も罰を受けたと聴いた。けれど、詳しいことは知らない。
「なにはともあれ……僕達はこうして、学校に通えることも出来るようになったわけだし……それを喜ぼうか」
「監視はいるけどな」
「コルドガルドさんだけどね」
 あの死神が監視だと思うと、あまりプレッシャーとかストレスを感じない。なにせ、ああいう性格だし。
 なんだか、監視よりも現世の甘味を探求する方に熱を入れそうな感じだ。とはいえ、真面目なシェルちゃんが使い魔としてついているから、さすがにそれはないかな。シェルちゃんの苦労が偲ばれる。アルちゃんはアルちゃんでマイペースに過ごしそうだし。
「ま、何はともあれ、さ」
 色々と問題は尽きない。不安も、もちろんある。
 けれど。
「改めて、これからよろしくね。星斗」
 きっと、大丈夫。
 星斗と一緒なら、きっと。
 いつの間にか僕達は校門の前まで戻ってきていた。
 その場所で、僕は星斗に握手を求める。
「…………ああ。俺の方こそ。よろしく、亮」
 躊躇いがちではあったけど。
 同じように差し出してくれた星斗の手を僕はしっかりと握りしめた。
 そして、少しだけ笑い合う。
「それじゃ、いこっか!」
 軽く星斗の手を引いて、僕は校門を通り抜けた。

 これから始まる新たな生活への期待に――輪舞を踊りたい気分だった。




~死神輪舞・了~






あとがき

 死神輪舞はこれで終了です。
 最後がかなり強引な一文になってしまいましたが、これはこれで、ということで(笑)。

 ふと振り返ってみれば、このブログを始めてから一年くらいかかって、ようやく終了までこぎつけることができました。長い間付き合って下さった方、本当にありがとうございます。
 色々行き当たりばったりな感じでやっちゃって、かなり稚拙な物になってしまいましたが、少しでも楽しんでくださっていれば幸いです。
 亮と星斗の話は一応はこれで終幕ですが、ひょっとしたらまた彼らの話を書くかもしれません。その辺りは他の作品との兼ね合いと私自身の気分で決まります(笑)。
 もしも続きが読みたい、という人がいらっしゃったら、アンケートやコメントなどで教えてくださいね。

 ここまで読んで下さって、本当にありがとうございました。
 よろしければ、また別の作品でもお付き合いください。


光ノ影

Comment

No.264 / 名無しさん [#-]

完結乙であります!
あまりの急展開に呆然としてますよ、いろんな意味で

・・・亮は最後まで死神の力を使わなかったんですね

2009-09/02 07:48 (Wed)

No.265 / 秋葉流水 [#-] TT

終っちゃったぁTT
(ズット読んでたのですが、気の利いたコメント できないので、黙ってました。
 ごめんなさい><)


悪魔との戦いとか、コルドガルドさんの秘密的な事とか、もっと広がって行くと思ってたのに、残念です><

稚拙なんてとんでもないです。

お願いします!
続編書いてください!
待ってます。

2009-09/03 04:09 (Thu)

No.266 / ++@ [#-] もうおしまいですか、、、

完結おめでとうございます。
最後は急展開だったんで鳩が豆鉄砲を食らったような感じです。
ハッピーエンドなんですよね。
後日談がもっとあると納得感が上がるかも。

次回作も期待しています。

2009-09/06 18:37 (Sun)

No.267 / 光ノ影 [#-] コメント返し

> 完結乙であります! あまりの急展開に呆然としてますよ、いろんな意味で ・・・亮は最後まで死神の力を使わなかったんですね

 名無しさん、ありがとうございます!
 最後、ちょっと急展開でしたよねえ。我ながら……。もう少し分量を取るべきでしたか……。
 亮は最後まで死神の力を使用する機会がありませんでした。最初の頃に単純なワンピースを生み出しただけでしたね。
 悪魔に対抗できるだけの力を振るうことは、たぶん出来ないだろうな、と考えた結果、なんだか主人公が情けない感じになってしまいました。
 続編を書くとしたら、もっと亮が活躍出来るような話にしたいと思います。


> 終っちゃったぁTT(ズット読んでたのですが、気の利いたコメント できないので、黙ってました。ごめんなさい><) 悪魔との戦いとか、コルドガルドさんの秘密的な事とか、もっと広がって行くと思ってたのに、残念です>< 稚拙なんてとんでもないです。 お願いします! 続編書いてください! 待ってます。

 秋葉流水さん、コメントありがとうございます!
 ずっと読んでいてくださったとのことで、本当にありがとうございます。コメントはもらえないのが普通だと考えていますので、全然気にしません。でも、くれると嬉しいなー、みたいな気持ちでして……(笑)。
 話はもっと広げられる要素がありあまったまま、終わっております。
 続編希望ありがとうございます。いまのところ続編を書く予定がありませんが、書いてみたいという気はあるので、頑張ってみます。
 本当にコメントありがとうございました!


> 完結おめでとうございます。最後は急展開だったんで鳩が豆鉄砲を食らったような感じです。 ハッピーエンドなんですよね。 後日談がもっとあると納得感が上がるかも。 次回作も期待しています。

 ++@さん、コメントありがとうございます!
 本当に最後急展開過ぎて申し訳ない……本当にもっと分量を取るべきだったかもしれません……早足になってしまって、勿体なかったかな、と思います。
 一応ハッピーエンドで死神輪舞は幕を下ろしました。もちろん、彼らのこれからの生活がどうなっていくかはわかりませんが、とりあえずは幸せになったと言えるでしょう。
 後日談ですか……ちょっと考えてみます。続編と違って、後日談ならすぐ書けそうですし……。
 次回作も、さらに良い物に出来るように精進します!

 ではでは、皆さん本当にありがとうございました!

2009-09/08 23:28 (Tue)

No.272 / toshi9 [#YK3S2YpI]

25から後、エピローグまで読みたくともなかなか読める余裕が無かったのですが、ようやく読ませてもらいました。
完結おめでとうございます!
そしてとにもかくにもハッピーエンドに終って良かったです。
亮はほとんどやられキャラ(というか、お姫様的存在かなあ)になってしまって、星斗がナイト的活躍をしてくれましたね。
最初の頃の彼の暗い謎めいた存在感が少しずつ違う印象に変わっていきましたが、多分もう一度最初から読み返すと、また違う印象を受けることでしょう。
それにしても25から後は急転直下、悪魔のあっけないこと。それだけに星斗の強さが際立ちましたが、懸命にお話をまとめようとする光ノ影さんの思いも伝わってきました。長編をきちんと完結させるってもの凄くエネルギーの要ることですから。
ほんとお疲れ様でした、そして二人の未来に幸と活躍のあらんことを。

全般を通せば、個人的には終盤の陵辱シーンはもう少し軽めでも良かった気がします。あそこだけは読んでてつらかった。
でも素敵な作品でした。こんな素敵な作品を読ませてもらってありがとうございました。

2009-09/22 09:02 (Tue) 編集

No.274 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

 toshi9さん、身に余るお言葉、ありがとうございます!

 死神輪舞はブログ開設時から続けてきた長編で、なんとか終わることが出来てほっとしております。
 実は続編っぽいものも考えていたりするのですが……どうしようかなあ、と悩み中です。ひとまずは既存の作品を一通り落ち着かせてから……ということになるでしょうか。

 亮は結局最後までお姫様的ポジションで終わってしまいました。あそこまで凌辱されてしまう時点で、少年漫画や少女漫画のヒロインではありえませんが(笑)。
 本当に最後辺りは急展開になってしまって勿体なかったかな、と思っています。もう二章くらいかけたら、さらによくなっていたような気もします。
 二、三年後に気になったら書きくわえたりするかもしれません。
 二人の未来の一部は後日談として近日中に各予定なのですが、予定は未定なので……(笑)。あまり期待せずにいてくれると助かります。

 凌辱シーンはもう少し軽めでも良かったですか……。確かに、全体の雰囲気からちょっと浮いていたかもしれないですね……。今後、気をつけます。
 素敵な作品とのこと、ありがとうございます。これからも、これを上回る作品を書いて行きたいと思いますので、どうぞお付き合いのほどをよろしくお願いします。
 ではでは、またどうぞお越しください!

2009-09/27 21:55 (Sun)

No.456 / Torainu [#CNtCm3fU]

亮と星斗の友情に感動させられました
人間、本気で大切な人を思うと、あのような行動をすることが出来るのでしょうかねぇ
素晴らしい物語に出会えて、嬉しく思います

悪魔の食事シーンだけ、ちょっと絶えられない感じでしたけどね…

執筆、お疲れさまでした

2011-11/27 23:38 (Sun) 編集

No.458 / 光ノ影 [#-] Re: タイトルなし

トライヌさん、感想ありがとうございます。
前に書いたものに感想がくると、こういう形で作品を公開しておいて良かったと思います。

>亮と星斗の友情に~
死神輪舞はとにかく亮と星斗の関わりを重視して書きました。
この二人はそんなに長い時間一緒にいるわけではないので、どういう形で二人の絆を表現するかが課題でした。
トライヌさんにそう言った感想を頂けたことで、なんとか最低限は表現出来ていたかな、と安心しています。

>悪魔の食事シーンだけ~
悪魔の食事シーンは物語全体の雰囲気から考えると失敗だったかなぁ、と反省しています。
次回の長編からはあまりにも外れた要素は入れないようにしたいと思います。

>執筆、お疲れさまでした読んでくださりありがとうございました。
良ければ今後の拙作にもお付き合いください。

それでは。

2011-11/28 17:01 (Mon)

No.558 / 名無しさん [#-] No Title

あのシェルちゃんとアルちゃんが途中から逆になってますが……

2012-03/14 05:22 (Wed)

No.561 / 光ノ影 [#-] Re: No Title

> あのシェルちゃんとアルちゃんが途中から逆になってますが……
おお、ご指摘ありがとうございます。
すぐに修正しておきますねー。

2012-03/15 23:54 (Thu)

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