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死神輪舞:第八章

死神輪舞:第八章




 調教。
 その言葉を聞くと、具体的なイメージは全然湧かないのに、恐怖だけが湧いてくる。どんなことをされるのか、されてしまうのか。怖い。恐ろしい。
 怯える僕の前で、悪魔は楽しげに準備を始めていた。
「私に協力するつもりになったらいつでも言ってくださいね。止めてあげますから」
 悪魔が手を地面に翳して呪文らしいものを唱える。すると、彼の影が蠢き、分裂して、立ち上がって、人型を取り始めた。
 目を見開く僕の前で、その人型達は徐々に形を明確にしていって――。
「……ッ!!」
 心臓が止まるかと思った。
 人型達が形を持った時、その人型達は、最悪なことに。

 裏路地で僕を犯した、不良達の姿になっていた。

 不自然に呼吸が苦しくなる。戯れに心臓を鷲掴みにされているかのように、心拍数が乱れて喧しいビートを奏でる。椅子に縛り付けられて動けない身体が小刻みに震えて、全身のいたるところで嫌悪感と拒否感が沸騰する。
「ぃ……ゃぁ……!」
 喉が震えて声が勝手に零れる。こんな、こんなことって。
 レイプされた女の子って言うのは、皆こんな気持ちなんだろうか? 今更ながら、僕はあの出来事が自分の心にどれほどの傷を与えていたのか実感した。抉られたあそこや……肛門、口の中にあの時の苦い味が広がったような気がした。
「こ、来ないで! 近づかないで!」
 まさに女の子のように悲鳴を上げて、僕は唯一動く首を左右に振って拘束を解こうと足掻く。みっともないとか、恥ずかしいとかそんなことは考えられなかった。心が恐怖に塗りつぶされてしまったかのようだ。
 悪魔がそんな僕を見て笑う。すると、その悪魔の影から生み出されたあの時の不良達も全く同じ笑顔で笑う。ぞっとする光景だった。
「まあ、そう言わないでくださいよ。せっかくあなたを苛めるのにふさわしい物を作り出したんですから」
 囁くように不良達が笑う。心の中で恐怖がさらに広がった。怖い。怖すぎる。
 口の中に塩辛い味が広がった時、僕はようやく自分が両眼からボロボロと涙を流しているのに気づいた。
 近づいてきた悪魔が僕の顎を軽く持ち上げ、頬を流れる涙を舐めとった。
 思わず顔を逸らそうとした僕の顎を強く掴んで角度を固定し、さらに悪魔は僕の涙を舐めとる。
「ふふっ、いい味ですよ……恐怖と嫌悪に満ちた涙……ああ、この眼球をえぐり出して食べてみたいですねえ」
 悪魔の舌は頬からゆっくりと涙の跡を辿って顔の上の方へと向かい、ついに瞼に達した。思わず硬く瞼を閉じたけど、無理やり指でこじ開けられる。覗きこむようにしている悪魔の瞳が怪しく光っていた。恐ろしく赤い舌が悪魔の口から這い出てくる。
「ああ、本当においしそうだ……食べちゃいたいですよ」
 舌がまっすぐ伸びてきて――直接眼球を舐め上げられた。間違いなく初めての体験だ。目に悪魔の唾液が沁みて痛い。さらに涙が溢れて零れる。眼球の表面を舌が蠢いている感触が気持ち悪くて仕方ない。
 悪魔はさんざん僕の眼球と流れる涙を舐めた後、唾液の糸を垂らしながら眼球から口を離した。
「お楽しみには後にしますか」
 軽く笑った悪魔が、周囲の不良達に命令する。
「彼女が着てる物を剥ぎ取ってください。調教の邪魔ですから」
 腕が伸びてきて、僕に掴みかかってくる。彼らの手が僕を捕らえた時点で、僕を椅子に拘束していた触手は外れた。
 力任せに服が破られる。レイプされた時の記憶が蘇って、喉の奥から悲鳴が溢れた。途端に頬を殴られ、悲鳴を飲み込ませられる。
 乱暴に扱われるその感覚は、まさしくあの時と同じで、体の底からわき上がってくる恐怖に歯がかみ合わなくなってガチガチと音を立てた。抵抗らしい抵抗なんて出来ない。喉が凍りついたように固まっていて声が出ない。
 あっという間に下着だけの姿にされ、その下着もすぐに剥ぎ取られる。両手両足をそれぞれ掴まれ、床にあおむけの状態で抑えつけられた。
 手で隠すことも出来ないのに両足を開かされてしまった。無防備な状態になってしまって、恥ずかしくて仕方ない。顔が赤くなるのが感じられる。
「媚薬を使った方が手っ取り早くて好きなんですけどねえ……うーん、しかし死神には薬物系は利かないですし……それ用に調合した薬の影響がどのように出るか分からない以上、使わない方が無難でしょうね」
 笑う悪魔は何か器具を取り出してきた。
「仕方ないですね。刺激を与える方向で快感を引き出しましょうか。苦痛を与える方向で調教してもいいのですが、精神崩壊を起こされると困りますし。快感であなたの心を従属させてあげましょう」
 悪魔が取り出したそれは、色々とそういう類の知識や経験を知らない、未成年の僕でも知っているアダルトグッズ――ペニスの形を模したバイブだった。
「特別に選ばせてあげましょう。これで犯されるか」
 僕を押さえつけている不良達の一人が、股間の物を僕の目の前に寄せてきた。影から作られた人形とは思えない生々しさに思わず目を逸らす。
 その逸らした先に、いつの間にか悪魔が立っている。
「そっちで犯されるか……どっちがいいですか?」
 酷い。どっちも嫌なのに。どっちか選ばせるなんて……。
 僕が涙目になって口ごもっていると、右頬に不良のそれが、左頬に悪魔が手に持つバイブが押し付けられた。
「ひっ!」
 バイブの方はともかく、不良の方は妙に生暖かくて気持ちが悪かった。それが以前僕の体にもついていた物と同じ物だとは思えない。
 目をつむるとその感触がより鋭敏に感じられるし、目を開けると至近距離からそれを見てしまうことになるし……。
 嫌悪感に身体を震わせていると、悪魔が問いかけてくる声が響いた。
「さあ、どっちがいいですか? 希望がないなら、そちらの方を……」
 そう言って悪魔が示す方には、不良の物がある。
「ば、バイブ!」
「バイブが何か?」
 わかっているだろうに、あえてそう訊いてくる悪魔。本当に性質と意地が悪い。
「バイブの方がいい!」
 頬に触れる気持ち悪いものに耐えかねて、思わずそう叫んだ。叫んでから、自分の言葉に気づいた僕は恥ずかしくなった。悪魔は場違いに爽やかな笑顔を浮かべている。
「そうですか。そんなに欲しがられては、求めに答えるしかありませんね。私、悪魔ですし」
 ほとんど無理やり言わせといてなんて言い草なんだ。
 僕は悪魔を睨みつけたけど、悪魔はますます楽しそうな顔をするだけだった。
「さて、濡らさないと痛いですからね。てっとり早くこれを使いましょう」
 この悪魔は、どうやら『手っ取り早く』ということが好きらしい。何やら瓶を持ってきて、その蓋を開けて中身を自分の掌に取り出す。中に入っていたのは液体のようだったけど、やけに粘っこく見えた。水あめよりは粘っこくないけど、少なくとも普通の水じゃないことはわかる。
「これはローションというものです。これを……」
 僕の目の前に立った悪魔が、そのローションという液体でドロドロになった手を僕の股間に押し付けてきた。ぺちゃり、と冷たくて妙な感触がそこから広がる。
「ひゃあ!」
 思わず悲鳴を上げた僕の反応を楽しむかのように、悪魔が丹念に僕の股間を撫でてくる。ぬるりとした粘液がその手の動きを滑らかにしていて、こちらの感覚に与えてくる奇妙な感触を倍増する。
「ぅ、あ……っ」
 変な感触に頭がしびれて、変な声が口から出た。なに、これ?
「はは……感じてくださっているのですね。ひょっとして、あまりここに触れたことはありませんか?」
 本当に楽しそうに笑う悪魔。もちろん、僕はそこに触れたことなんてほとんどない。オナニー……だってしたこともない。お風呂場で身体を洗う時に触れたくらいだろうか? アルちゃんが封じるまでは普通にシェルちゃんの意識もあったし……封じられてからはそんなに時間もなかったし……そもそも、そんなことする必要もなかったし。
 そう考える僕の思考を読んだのか、悪魔はやれやれというような顔つきになった。
「それはもったいないですね。女の快感は底がないという話は聞いたことがありませんか? 男の快感とは全く違いますよ」
 くちゃくちゃと音が響く。なんだか無性にその音がいやらしく聞こえて、僕は目をつむってその凌辱に耐える。
 悪魔はそんな僕の抵抗を笑い、周りの不良達に指示を出す。
「さあ、彼女に全身マッサージをして差し上げましょう」
 その合図に従って、影から生み出された不良達の手が、僕の体の至るところを這いまわる。
「ひっ、あっ、やめ、あぅ!」
 両手両足をからめ取られている以上、抵抗らしい抵抗も出来ない。胸や股間は基本として、耳たぶを舐められたり、うなじにキスされたり、二の腕をさすられたり、お腹を撫でられたり、お尻を撫でまわされたり、太ももを揉まれたり、ふくらはぎに舌を這わされたり。
 胸は乳首をつまんで引っ張られたところを上下から挟みこむようにして潰されて、ガチガチに立った乳首を甘噛みされた。
「ぁっ!」
 悲鳴を上げるこちらに構わず、さらに全身を弄られる。ローションがまんべんなく振りかけられて、そのドロッとした感覚は全身を包みこむように広がっていく。
 ローションが触れたところは一瞬ローションの温度で冷たくなるんだけど、すぐ熱くなって、そのあとはわずかな空気の動きも感じられるほど肌が敏感になってしまう。全身を無数の手が這いまわっているような感覚に支配されて、僕は息も絶え絶えに悶えることしか出来なかった。
「さて、そろそろいいでしょう」
 悪魔がそう言うのと同時に、不良達が動きを止め、僕の両足を限界まで割り開き、両腕は頭上で固定される。僕は抵抗する気力もなくなっていて、されるがままの恥ずかしい格好になってしまっていた。
 開いた両足の間に、悪魔が入り込んできた。
「ふふ……バイブを入れて差し上げますね」
 逃れようと身体をくねらせたけど、弱々しい動きでは抵抗を示すことも出来なかった。
 楽しげに笑う悪魔が言う。
「腰を動かして……そんなに欲しいのですか?」
 いらない、と心の中で叫んでも、悪魔は聞こえているだろうに聞き入れてくれなかった。むしろもっと楽しげな表情になって、ゆっくりとそれを股間に近づけてくる。僕の身体にそれが触れる寸前、悪魔が手を止めた。
「欲しいなら、どうして欲しいか言いなさい」
 僕は言葉に詰まる。そんな、ことを言われても……。
 戸惑っている僕に、悪魔はにっこりと笑顔を浮かべて見せる。
「別に言いたくないならいいのですよ? これは欲しくないみたいですから、そちらの男性根を入れて差し上げます」
 悪魔がスイッと、指差した不良の男性根が、大きくなった。さっきまでの勃起状態より、少しだけ大きくなっている。
 そんなものを入れられてはたまらない。
「ば、バイブを入れて!」
 恥ずかしいのを我慢して、僕はそう宣言した。悪魔はそれで満足しない。
「どこにです?」
「うぅ…………その……前の……」
「ちゃんと名称を言ってくださいね?」
 悪魔が指で合図すると、先ほどの不良が僕の前に立つ。巨大化したそれが歩くのに合わせて揺れる。
「っ…………そ、の……ひ、秘部、に……」
「おまんこ、の方が通りがいいので、そちらで言ってください。それに誰のものですか? 適当に連れてきてその女のおまんこに突き込めばいいんですか? はい、最初からどうぞ」
「…………っ。ば、バイブ、そのバイブを……ぼ、僕のおまんこに……入れて……ください」
 こんな恥ずかしい宣言をさせられるなんて。
 無性に恥ずかしくなって、顔を上げられない。悪魔はそんな僕の反応を見て楽しんでいる。まるっきり馬鹿にした手つきで僕の頭を撫でてくる。
「よく言えました。ご褒美に入れて差し上げます」
 ぐっ、とそのバイブが押し付けられた。思わず呻く僕に構わず、一気に突き入れてくる。
「ふ、ああああぁぁああ!!」
 ローションと執拗な愛撫で緩んでいたそこは、あっという間にそのバイブを飲み込んでしまった。自分の中が一杯になっているという感じで、得体のしれない感覚は耐えがたい物があった。
「悪魔特製のバイブですからね。ただのそれと同じとは思わないでください」
 そう言った悪魔が何やら呪文のようなものを唱えると、僕の中でバイブが大きくなった。内壁にジャストフィットするように大きさと形を変えたのか、さきほど以上に中が満たされた感覚がある。もちろん、それは気持ちいい類の感覚ではなくてむしろ気持ち悪い。
 気持ち悪いというのに悪魔はそれを動かし始める。そう時間がたたないうちにぐちゃぐちゃという変な音が聞こえてきた。
「そろそろですよ……」
 小さな悪魔の呟きを聞いた僕は、何のことだろうと疑問に思った。
 その答えは、凄まじい衝撃と共に訪れる。
「――い、ぁ!?」
 悪魔はいままでと同じ単調な動きしかしていないのに……股間から感じる衝撃が倍増した。先ほどとはまたバイブの形状が若干違っているように感じる。悲鳴を上げた僕に対し、悪魔は得意そうな表情で何が起こっているのかを教えてくれる。
「このバイブはですね、しばらく動かしているとGスポット……女性が一番感じられる部分という意味ですが……そこを効率よく刺激するように自動的に形状を変更するんです。だからほら。こうして抜き差しするだけで、十分なほどの快感が訪れるでしょう?」
「ひぎっ! あぅ! やめっ! てぇ!」
「ふふ、まだですよ。『微振動』」
「ひぁっ……ひやああああああああ!!」
 僕の中を占領しつくしているバイブが小刻みに震え始めた。細かな動きだったけど、その刺激する度合いはさっきの比じゃない。体が地上に打ち上げられた魚のように勝手に跳ね回った。不良達に両手両足を抑えられているので、何の意味もなかったけど。
「あ、ああ……っ」
 もはや、口をパクパクさせていることしか僕には出来なかった。呼吸困難に陥って死んでしまいそうだ。だんだん感じる快感が強くなっていき、意識が真っ白に塗りつぶされ――る寸前でバイブが止まった。
 限界寸前まで高ぶっていた身体が中途半端なところで投げ出され、僕は行き場のない情動を抱えたまま放置される。
「んっ……ぁ、ああ!」
 酷い。酷過ぎる。
 なんで最後までいかせてくれないのか。
 咄嗟にそう考えてしまった僕は、自分自身の考えに恐れを覚える。
 これは望まないことなのに。悪魔にいかされるなんて、敗北というか、屈辱でしかないのに。イキたいと思ってしまうなんて。
 そう考え、自分自身を戒めている僕に、悪魔が楽しげな笑みを浮かべて顔を近づけてきた。
「イキたいですか?」
「……誰がっ」
 意地で何とか拒絶する。視線を逸らしてしまったのは失敗だった。説得力の欠片もない。心を読まれている以上意味のないことだったけど、自分自身の行動で半ば認めてしまったのは痛い。
「そうですか。……前の穴ではダメのようですから、別のところを責めましょうか」
 勝手なことを言った悪魔は、また二択を突き付けてくる。
「胸と肛門、どっちを責められたいですか?」
 まただ。このどちらを選んでも嫌な二択。悪魔は楽しげに説明を続ける。
「ちなみに胸なら疑似乳搾り……搾られ? ですかね? それを体験してもらいます。肛門なら大量浣腸ですね」
 大量浣腸はまだ想像がつく。けど、疑似乳搾り? の方はよくわからない。その疑問は即座に伝わったらしく、慇懃無礼に応えてくれる。
「この乳房に生理食塩水を大量に入れるんですよ。膨らんだら、牛の乳搾りと同じ要領で絞り出します。結構痛いでしょうが……痛みも快感になりますからね。あなたにも、その素質があるかもしれませんし」
 大量浣腸の方はもっとシンプルだった。
「妊婦のような腹になるまで浣腸液を注入します。その後、三十分我慢出来たらご褒美として一回イかせて差し上げましょう」
 する内容も最低なら、ご褒美と称することも最悪だった。
 さあ、どっちがいいですか? とばかりに笑みを浮かべている。当然ながら、どっちも嫌だった。どっちも痛みと屈辱を感じるだけだ。選びたいなんて誰が思うだろう?
「さあ、どっちです? こちらで勝手に決めますよ?」
「うぅ……!」
 決められるわけがない。どっちも人間の尊厳を奪い取るような卑劣な行為だ。どちらかを選べと言われても……選べるわけがない。
 僕がなおも黙っていると、唐突に悪魔が言った。
「決められないようですね。仕方ありません。同時にどちらもやります」
 目を見開く僕。
「そんなっ――!」
「ちょっと黙っててくださいね」
 悪魔の指先が光ったかと思うと、僕は口が開けなくなっていた。いや、それは正確じゃない。正確に言えば……。
「う、うううぁ?! むあう、ああ!」
 何か突然出現した何かによって口がふさがれていた。なに!? これ?
「それはラバーマスクと一体化しているリングギャグという物ですよ。強制開口具とでもいいますか。フェラチオを強制する道具ですね」
 よくよく感覚を探ってみれば、どうやら口をふさいでいる道具は僕の顔の下半分を覆うようなマスクと一体化しているらしい。首を振ると何か鎖のような者が口のあたりから垂れているのがわかった。
 その揺れる鎖を悪魔が掴む。
「これはですねえ。栓ですよ。精液を注ぎ込んだあとに、吐き出せないように穴を塞ぐためのものですね」
 もう片方の手で僕の顎を掴んだ悪魔は、その鎖を引っ張った。するとキュポン、という音がして栓が僕の口を覆っている道具から抜ける。僕の口の中に空気が入ってくる感覚が広がった。その形状はなんというべきか、お風呂の浴槽の栓のようだった。形状を見せつけるようにその栓を僕の目の前で揺らした悪魔は、それをまた僕の口に押し込むようにして装着する。
 まるで物のように扱われている感覚。それを感じた僕は酷い屈辱と羞恥を感じた。
 悪魔は楽しげに笑うだけだ。
「さて、それではやりやすいようにこの人をそこの器具に固定してください」
 そう言って悪魔が示した先には、奇妙な道具があった。一枚の大きな板のところどころに、ベルトのような物がついている。
 それが四つん這いの状態で人を固定するためのものだと察するのにそう時間は要らなかった。
 必死に抵抗したけど、無理やりに抑えつけられ、四つん這いの姿勢にさせられた。足首とひざ辺りがそれぞれベルトで固定されてしまうと、もう逃げられない。
 手は黒くて細長い袋のような物に包まれ、肘のあたりからベルトで腕に密着するように固定された。指はまっすぐ伸ばした状態で開けなくなり、手首の部分で前後に動かさせるだけだ。亀の手みたいだった。袋は革で出来ているみたいで、肌触りが気持ち悪い。ぴったりと密着している。
 さらに、腕に骨折した時のように棒が添えられて固定され、肘が曲げれなくなる。その棒の先は、足を固定しているベルトが装着されている板に空いていた穴に差し込まれて動かせなくなった。 
 完全に四つん這いの状態で固定された僕は、これからされることへの恐怖心で震えていることしか出来なかった。手も足も肩幅以上に開かされていて、胸や股間を隠せない。おそらく後ろからみたら何もかもが晒されているだろう。
「……!」
 羞恥心と戦っている僕の背後に、悪魔が立つ。手には何やらホースのような物を持っていた。先端に奇妙な形状のノズルが嵌められている。
 悪魔はそのノズルにさっき僕の全身に振りかけたのと同じローションを垂らして――いきなり、僕の肛門にそれを突き入れてきた。
「ひぐぅ!!」
 思わず悲鳴が飛び出すけど、口に嵌められた枷に吸い込まれて声にならない。悪魔はなにやらノズルに向けて呪文を呟いているようだった。
 すると、突然お腹の中でそのノズルが大きくなったような感覚が生じる。気持ち悪くて吐き気が込み上げてくる。
「これで抜けなくなりました。あとはまあ楽しんでください」
 言うやいなや、刺し込まれたものの先から生暖かい何かが噴き出すのを感じる。ぞくぞくとした感覚が背筋を這いあがった。浣腸の経験なんてない。その初めて味わう感覚に、震えながら耐えるしかなかった。
「さて、次はこちらです」
 そう言った悪魔が、重力に従って垂れさがっている胸を触ってきた。ぷるぷると揺れて、奇妙な感覚が湧きあがる。そもそも、胸には触ったことは何度もある。着替えるときや、入浴中などだ。でも、裸で四つん這いの体勢になったことなんてなかったから、その状態で揺れる胸の感覚は初めて感じるものだった。
 突然、悪魔の指先が胸の先端……乳首を摘まんできて、生じた痛みに身体が跳ねる。乳首をつまんでいる方とは別の手に、悪魔はその責め具を持っていた。それは、針。細い管が繋がっている針だった。それをどうするつもりなのか、見つめる僕の脇の下を通して、悪魔がその針を僕の身体に近づけ、乳首に垂直に突き立てた。
「ぎぃ!!」
 敏感なそこに生じた激しい痛みに、拘束しているベルトを弾け飛ばす勢いで身体を暴れさせるがしっかり固定された手足は動かない。じんじんとした痛みが乳首から胸に渡って広がっていく。もう片方の乳首にも同じように針が差し込まれ、同じように暴れる。でもどうにもならない。
 悪魔が呪文を唱えると、針の先端が広がったのか、乳首が押し広がられるような感覚が走る。
「これで抜けなくなりましたよ。この針に繋がっている、この管はここにつながっています」
 そう言って悪魔が僕に見せてきたのは、病院などでよくみかける点滴の袋だった。中身には何か液体が詰められている。繋がっている管にはコックがついていて、まだ管へ液体は流れ込んでいなかった。乳房に生理食塩水を注ぎ込むという話を思い出して、僕は戦慄した。本気、なのか。
「もちろんですよ。巨乳にしてあげますね」
 すぐ傍に立っていた棒の上の方にその点滴の袋をひっかける。そして、実に無造作にコックがひねられた。
「……!」
 そうすると、自然と液体は重力に従って乳房の中に流れ込んでくる。乳房の中を押し広げて、液体が広がっていく感覚が生じる。
「……っっふぁめて……」
 自分の身体がおもちゃのようにされている現実。注ぎ込まれていく液体にお腹と乳房が膨らんでいく。前に差し込まれたバイブは相変わらず微振動で快感を生じさせ、それは電撃のように僕の脳を責め立てる。
「口も犯してあげなさい」
 びくり、と身体を震わせた僕に構わず、不良のうち一人が僕の前に立ち、口枷の栓を引き抜いた。そして大きく膨張したそのペニスを、枷のせいで閉じられない口の中に突き入れてくる。
「えぁ……!」
 生暖かいそれが口の中でびくびくと動いている。喉の奥を突き破ろうとしているかのような、乱暴な挿入に、僕は吐きそうになるのを何度もこらえなければならなかった。そうこうしているうちに、胸やお腹が痛いくらいに膨らんでくる。このまま破裂してしまうんじゃないだろうか。
 一瞬頭をよぎったその想像に恐怖する。胸の方もいやだけど、お腹が爆発したら、死ぬ。
「んんんん! んあああああ!!」
「しっかり舐めろ!」
 涙目になって暴れる僕を怒鳴りつけてくる目の前の不良。
 恐怖に支配された頭では大人しくその命令を聞くことしか考えられなかった。
 それを見てか、悪魔が優しく僕の耳元に囁く。
「この状況から逃れたいですか? その方法は教えましたよね……私に協力すると約束してくれればいんです。大丈夫、悪い様にはしませんよ。バイブを突き入れられて動かされたとき、気持ち良かったでしょう?」
 言いながらバイブを抜き差しする悪魔。その動きに従って快感が頭の中に広がる。
「私に協力してくだされば、こんなのよりもっと凄い快感を与えてさしあげますよ……それに」
 悪魔が大きく膨らんできたお腹をさすってくる。また、膨らみ続ける乳房を触られると、普通の状態からどれくらい膨らんでいるか嫌でも実感させられた。体が膨らんでいく気色の悪い感覚と、迫る破裂の恐怖が一瞬生じた快感を押しつぶして広がっていく。
「こんな風に苛めることはしないとお約束しましょう。私に協力するだけで、快感を享受し続けられるんです。安いものでしょう?」
 そんな……そんなのは……詭弁……。
 理性はそう叫んでいる。快感を与えているのが悪魔なら、苦痛を与えているのも悪魔だ。この交換条件はどう考えてもおかしい。
 でも、乳房とお腹が膨らんでいく恐怖と気持ち悪さ、膣から与えられる快感に板挟みになった頭はぼんやりと霞がかかったように上手く働かない。とにかくこの板挟みの状態から逃げたい。早く決断しないとお腹と乳房が破裂してしまう。
 ぐるぐると思考が回る。どうしよう。どうすればいい?
「協力を誓ってくださればいいんですよ……ほら、示してください。頷くだけでいいんです」
 口の中に挿入されていたペニスが抜き取られて、僕は首の自由を取り戻す。
 悪魔が囁く。
 優しく、暖かな声音で。
「青木亮さん――私に協力しなさい」
 その悪魔の囁きに対して。
 僕は。
 うなづ

――破砕音が轟いた。

 その驚いて、ぼやけていた思考が一気に鮮明になる。
 自分がいま何をしようとしていたか、冷静な頭で考えて、戦慄した。危ないところだった。もちろん、誓ったからといって絶対に協力をしなければならないという道理はない。けど、どんな状態であれ協力を誓ったという事実が生じるのはまずい。相手は悪魔だ。そういう些細なことから僕の心を完全に堕とすことができるだろう。
 心を強く持たなければと思い、僕は気を引き締め直す。全身から感じる不快感は圧倒的な感覚を持って迫ってくるけど、なんとか耐えて見せる。
 それにしても、さっきの破砕音はいったい?
 とりあえず周りに気を向ける余裕が出来た僕は、破砕音の正体を知るために周囲を見回した。
 僕の視界に、破砕音の正体と、その破砕音を引き起こした主の姿が映る。
 思わず目を見開かずにはいられなかった。
 破砕音は、壁が崩れた時に生じた音だった。僕が固定されている場所から少し離れた位置にあった壁が大きく崩れている。
 そして、その瓦礫の中に、大きな鎌を携えて、立っていたのは。

 僕と同じ境遇の仲間であり、友達の――星斗だった。




最終章へ続く

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