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死神輪舞25

死神輪舞24の続きです。

前回の話はこちら↓
         10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24

 では続きからどうぞ。

死神輪舞25





 激しい戦闘音が響く。
 星斗は屋上で死神たちと戦いを繰り広げていた。
(……くそ、キリがねえ!)
 星斗は心中で毒づいた。
 まだ疲れは感じられないが、苛立ちは否応なく募る。いまは亮と別れてしまっているため、そちらのことも気になっていた。
 鎌と鎌が擦れ合い、耳障りな金属音を発生させる。星斗は舌打ちを一つ落とし、素早く後ろに下がった。そこに追撃をかけてくる死神たちの猛攻をかわしつつ、星斗は普段よりも体が遥かに軽く感じることに気づいた。
 かつては軽い、軽くないの前の問題だったが、それにしてもいまの身体の軽さは異常なほどだ。五メートルも離れた別の屋上へ向かって軽々と跳躍し、戦いの場所を変えていく。少しでも有利な場所へと行き、そこで戦いを続ける。首筋を狙ってきた死神の鎌を、紙一重で回避する。身体能力や運動神経だけではない。異様に神経が研ぎ澄まされていた。
 そんな超人的能力を発揮できている状態の星斗だったが、攻めあぐねていた。
 出来ればさっさと死神たちを倒して亮の方に行きたい。だが彼らを倒してしまえば今度はより強力な死神がやってくるだろう。死神と敵対する立場を明確にしてしまう行為でもある。いかに星斗が自分の力に自信を持っていても、さすがに誰よりも強いとは思っていないし、何度も何度も同じように命を狙われるのは避けたかった。なんとかして、この状況を打開できないかと考える。
 しかし、相手は話を聞いてくれるような様子ではない。
「ちいっ」
 大きく鎌を振り回し、死神たちを牽制する。
(しかたねえ……ここは、いったん逃げるか……!)
 倒すことも説得することも出来ないなら、この場から逃げることが唯一できることだ。また襲いかかってこられても、同じ程度の力の持ち主ならいくらでも対処出来る。そう思った星斗は、戦いを続けながら逃げ出すために期を伺う。
 そのとき。

「戦いを止めなさい!」

 空からの鋭い声が、死神たちの動きを止めた。星斗はその闖入者の方に目を向ける。その視線の先、空中に新たな死神が浮かんでいた。その死神の姿を見た死神達が、恐れを抱いたかのように動きを止める。
「全く、勝手な行動をして。懲罰ものよ」
 屋上に降り立ちつつ、その死神が星斗の方を見る。視線からその死神の強さを感じた星斗は警戒心を強めた。
「アルミールアラミーナ……いえ、赤城星斗くんだったかしら?」
 最初に死神が呟いた妙に長い名前は、おそらく自分が同化している死神の名前だろうと考えつつ、
「そうだ」
 と星斗は頷いた。この場で嘘をつくメリットが感じられなかったからだ。
 死神は静かに頷き、自分を示す。
「私はコルドガルド。死神の中では、上位死神と呼ばれているわ」
 その言葉を聞いた星斗が、さらに身体を緊張させる。亮からその名前を持つ死神のことは聞いていた。
「……あんたも、俺達を殺しに……いや、地獄に落としに来たのか?」
 星斗は半ば確信を持って聞くが、意外にもコルドガルドは首を横に振った。
「いいえ。あたしはあなたを保護しに来たのよ。死神の身体を乗っ取って力を使ったあなただけど、ちゃんと話を聞いて事情を把握し、どうするべきかはそれから決めよう、と。死神大王も結論を出したわ。なのに……」
 ちらり、とコルドガルドが死神たちを見やる。そのコルドガルドの視線に、死神たちは怯えたように後ずさった。
「誇りの高い、融通の効かない死神たちが独自の判断で勝手に動いちゃって……」
 何かしら反駁しようとしたのだろう。死神たちが口を開きかけたが、コルドガルドの一睨みで沈黙した。改めてコルドガルドが星斗の方を向く。
「とにかく、いますぐあなたたちをどうこうしようって気はないから、ひとまず鎌を納めてくれる?」
 星斗はよく考える。このコルドガルドの提案が嘘だった場合。あるいは、罠である可能性。戦った場合にどうなるか。良く考えて――
「……信じるぜ、あんたの言うことを」
 鎌を納めた。
 コルドガルドは、ほっとした息を吐き出す。
「ありがとう。ところで、シェルフェールフールと同化した、青木亮くんは?」
 尋ねられた星斗は、不愉快げに顔を歪めた。
「……別れたんだよ。そこの奴らが襲ってきやがったからな俺ほど荒事になれてなかったあいつは、逃がした」
「……コルドガルド様。その『逃亡者』は――」
 死神達の内の一人が何か言おうとしたが、それをコルドガルドが遮る。
「あんた達がおいやっておいて、逃亡者はないでしょ。まあいいわ。それで?」
「……テルナカルドーマが、追尾を試みたようです」
「なに!?」
 星斗は焦った。確かに一人減っていたのは知っていたが、亮を追いかけているとは思わなかった。目の前の死神達の攻撃に対処するのに精いっぱいだったということもある。
「なるほど。……となると、早く止めないと」
 そう言ってコルドガルドが懐から鏡を取り出す。
 コルドガルドがそれを空目掛けて投げると、鏡はくるくると旋回しながら空に止まり――その大きさを増して、屋根のように広がる。鏡の表面には何も写っていない。
「……? おい、なんなんだこれは?」
 星斗が訊いたがコルドガルドは答えず、行動で示した。
「写せ」
 鏡の表面がボンヤリと光り出し、その光が鏡の中央に集まっていくつかの光点となる。
「これは、いわば探査機よ。これで死神が今何処に何人いるかがわかるわ。死神界には、全世界を網羅するものがあるけど、これはその簡易版ね」
 言いつつ、コルドガルドは探査機に対する指示を出す。
「探査範囲拡大、半径二キロ!」
 中央に集まっていた光点――恐らくはそれがコルドガルド達を示していたのだろう――が、小さくなっていく。やがて、小さな点がもうひとつ鏡の上に出現する。
 それを見たコルドガルドは、眉を潜める。
「おかしいわね……やけに力の度合いが……あんたたち、力は探れた?」
「いえ、分かりません」
「テルナカルドーマの反応が……」
 ざわめいている死神達を、星斗が苛立った声で急き立てる。
「……おい! 何が起きているのか説明しろ!」
「なんだか、感じられる力の波動が小さいのよ。テルナカルドーマは中々優秀な方だったと思うんだけど……」
 コルドガルドは半瞬考え込み、死神の一人に指示を出した。
「転移魔法を。とにかく、この力が感じられる場所に向かうわ。急いで」
 慌てて死神の一人が呪文を唱え始める。
 コルドガルドが星斗の方を向いた。
「あなたはどうする?」
「いくに決まっている」
 星斗はいささかの躊躇もなしにそう答えた。罠である可能性を考慮に入れなかった訳ではないが、そもそも、星斗は亮がいないのに現世にしがみつくのも馬鹿らしいと考えていた。
 まともではない星斗は、今後亮のように友達になってくれるような者が現れるとは思っていなかったし、何より星斗は亮のことをすでに親友だと思っている。危険を犯してでも助けに行くのが当然だった。
 コルドガルドは、その星斗の決定を軽く笑って受け入れる。
「オーケー。それじゃ行きましょう」
 コルドガルドの傍に行った星斗を含めて、転移魔法が発動する。星斗が気が付くとそこは薄暗い路地裏だった。亮と初めて会った時のことが思い返される。
 コルドガルドは地面に膝を突き、指先で地面を調べていた。
「これは……まさか、血?」
「まさか亮のか!?」
 血相を変える星斗。だが、コルドガルドは首を横に振る。
「これだけじゃ、なんとも……死神の血であることは、確かね。力を感じるわ」
「コルドガルド様、これは……この力は、テルナカルドーマの物です」
 死神の言葉を聞いたコルドガルドが、顔をしかめる。
「本当? まずいわね……死神に傷を負わせられる存在……まさか、とは思うけど」
 何か思い至ることがあるのか、コルドガルドは考え込む。
「そんなことはどうでもいい! 亮はどこへ行ったんだ!?」
 焦る星斗だったが、コルドガルドもまた焦っているようだった。
「感知ができないとなると……探しようがないわ……どこに連れて行かれたのか……」
 星斗は舌打ちをして、周囲を見回す。別れるんじゃなかったという後悔がわきあがってくる。
(……亮!)
 亮の姿が脳裏に浮かぶ。焦りと怒りで脳が沸騰したように熱くなる。

 まさに、その瞬間だった。

 まるで天恵のように、頭の中にビジョンが広がる。それと似たような感覚を、星斗は知っていた。
 最低な人間のところに捕まっていたとき。初めて死神の力の使い方が分かったときと同じ感覚だった。新しい感覚が――力が出来たと言う感覚が生まれていた。
「……!」
 その感覚が、広がり、そして。
 星斗は鎌をその手に生み出す。
「赤城星斗くん!?」
 突然の行動に驚くコルドガルドと、身構える死神たち。それら全てを無視して、星斗は鎌を地面に叩きつけた。
 鎌が地面を切り裂いて、そこに真っ黒な『穴』が出現する。
「な、これは……! 異空間への道!? 隠されていたのに……なぜ、わかったの?!」
 驚嘆するコルドガルドに構わず、星斗はその『穴』の中に飛び込んでいく。
「待ちなさい! 赤城くん! 危険だわ!」
 コルドガルドがそう叫んだが、星斗は聴いていなかった。
 ただ、亮の存在を感じる方向へ、向かう。
 途中、禍々しい姿をした化け物や変な機械が襲いかかってきたが、全て一刀の元に切り捨て、先へと進む。
 やがて、たどり着いた建物の壁をも、問答無用でぶち破り――ついに星斗は亮を見つけたのだ。

 悪魔によって、凌辱されている亮の姿を。



~26に続く~


Comment

No.259 / 名無しさん [#-]

コルドガルド様ktkr!これで勝つる!

・・・シェルフールフール・・・?

2009-08/24 22:43 (Mon)

No.260 / [#] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2009-08/25 00:04 (Tue)

No.261 / 光ノ影 [#-] コメントありがとうございます(色んな意味で)

 死神の名前やら、同化している対象やら、思いっきり間違ってました。修正しました。
 作者が間違えてどうする……すいません。以後気をつけます。

 では、続きを頑張って書いてきます!

2009-08/25 00:09 (Tue)

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